フランク・ロイド・ライト全集 (第1巻) Frank Lloyd Wright Monograph 1889-1901

  • A.D.A.Edita Tokyo
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784871405126

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  • ライトの研究者が最後に行き着く本がこのMonographだそうだ。この巻はライトの初期の作品を辿れる貴重な資料である。各作品に短いテキストは付随しているが、詳細な情報はなく、どちらかというと作品に関するエピソードが中心である。これだけの作品の写真を並べるのであれば、テキストが少ないのは読む人のことを考えてもいたしかたないとも思える。

    この時期の代表作として、まえがきにはWinslow(1893), McAfee(1894), Heller(1896), Husser(1899), Dana(1900), Bradley(1900), Hickox(1900), Willits(1901)に加え、ライトがサリヴァンに雇ってもらうために作成した設計図(1887)を挙げられている。これらはライトのプレーリースタイルへの成長とデザインセンスを感じさせるものばかりだが、年号を追っていくとこの過程が必ずしも順調でなかったことも分かる。

    例えば、1887年のサリヴァンに向けた設計図では既にプレーリースタイルに通じる強調された水平線が見られるが、その後の1893年のWinslowまでの6年間の作品ではこのような優雅なデザインの作品は見受けられない。また、Winslowも1887年の設計図と比較すると、さほど水平線は強く出ていない。

    また、奇跡的とも思えるWinslowの後も凡作が多く、前述の1887年の設計図に匹敵するデザインを持つものとしては1894年のMcAfee、1899年のHusserなどがあるが、数は少ない。実際に完璧なプレーリースタイルのWillitsが建てられるまでに14年経っている。

    天才的な建築家であるライトでも、そして110のプロジェクトのうち40作品だけ未完、それ以外は建築されたというプロジェクトの成功率が高いこの時期でも、これだけの試行錯誤が繰り返されているということである。サリヴァンから独立して最初の作品であるWinslowでいきなり代表作を建ててしまっているが、これは天才の証であると同時に、名作は計画されたものではなく、土地や予算、施工主など各条件が揃ったときに偶発的に実現するもののように見える。

    また、ライトはサリヴァン以外はその影響を認めない傲慢さで知られているが、初期では非常に謙虚で自分独自のデザインや設計思想を編み出そうとしてもがいている姿も垣間見ることができる。

    ライトのプレーリースタイルがどのように確立されたかを理解したいのであれば、必読です。

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