- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784871884976
作品紹介・あらすじ
メメックス、チューリング・マシーン、NLS、ザナドゥ、AI、ダイナブック、インターネット-キーマンの論文によって1940年代から現代までのコンピュータ設計の「思想」を読み解き、近未来のヒトと機械のあり方を探る。ヒトは「パソコン」に何を夢見たのか?「知」は増幅されうるか。
感想・レビュー・書評
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とりいそぎ編著者の西垣通氏の序章”思想”としてのパソコンを読んで。非常に思想史的にパソコンについて整理されている。
・IAを目的とするパソコンは1960年代末~80年代初めにアメリカで生まれた。AIを求めるメインフレームが全盛の1970年代にである。
・無料で市民が交信できるインターネットは、ある意味でネルソンの思想と重なっている。WWWを一種のハイパーテクストとみなすこともできるだろう。だが周知のように、それはいまや自由な討論の広場というより、むしろビジネスの欲望の修羅場となりつつある。
・パソコンが誕生するまでの経緯には二つの流れがあった。パソコンには「使いやすいこと」ならびに「安いこと」が要求される。両者が完全に一つになったのは一九八〇年代以後のことだった。第一の流れは対話型のマンマシン・インタフェース技術を発達させた。そして現在のいわゆるGUIを生みだしたのである。
・ケイはコンピュータをダイナミック・メディアとして捉えていた。本がスタティック(静的・受動的)であることに対してである。だからケイの理想は「ダイナブック(動的な本)でなくてはならなかった。
・半導体の集積回路が出現すると、コストが劇的に下がる可能性が出てきた。さらに集積回路を記憶装置として使えば、対話型インターフェースに不可欠な大容量記憶装置も大幅にコストダウンできることになる。
・マイコンは一九七五年「アルタイル」として、電子工作マニアのためのホビー用キットとして発売された。
・革命のきっかけは一九八一年のIBM/PCの発売といってよいだろう。
・一九九二年、マイクロソフト社からウインドウズ3.1、九五年にウインドウズ95が発売された。一九九〇年代に起こったいま一つの本質的変化は、パソコン同士がネットワークで結ばれたことだった。そこに九〇年代半ばから爆発的に広まっているインターネットがある。いまやパソコンのもっとも魅力的な用途はインターネットの利用なのである。
・コンピュータを使って人の能力を伸ばすこと、またはコンピュータをメディアとして皆で共同思考・共同作業すること、といった方向に移っていったのだ。 -
機械は知性を持ちうるのか?
知性を記号の操作と捉えた上でのAI(Artificial Intelligence)の開発は失敗に終わる。
機械と人間との協同での知的営みとは?
人間の創造性をサポートするIA(Intelligence Amplifier)としての機械の構想が立てられる。 -
良書
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【書誌情報】
『思想としてのパソコン』
編著訳者:西垣通(1948-)
出版社:NTT出版
発売日:1997.05.13
定価:3,630円
サイズ:A5判
頁数:298
NDC:007.13 情報科学 >> 情報理論 >> 人工知能.パターン認識
ISBN:4-87188-497-X
ヒトはなぜ『思考機械-パソコン』をつくりつづけ、何をもとめているのか? 40年代からのキーマンの論文をたどり、次世代のヒトと機械のありかたの行く末を探る。
[https://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100000662.html]
【簡易目次】
序章 “思想”としてのパソコン
1章 われわれが思考するごとく
2章 コンピュータと知能
3章 ヒトとコンピュータの共生
4章 ヒトの知能を補強増大させるための概念フレームワーク
5章 インタラクティブ・システムとバーチャリティ設計――未来の芸術であるインタラクティブ・システムの設計は、新たな哲学的原理にもとづく
6章 協調活動の設計における言語/行為パースペクティブ
7章 サイバースペースの陥穽
あとがき
索引 -
ヴァーネヴァーブッシュのメメックス論文
パソコンは人の道具として発展させてきた
人類の膨大な知識を入手しやすくするための大プロジェクトに参加すべき -
分類=パソコン。97年5月。