食はイスタンブルにあり: 君府名物考 (気球の本)

著者 :
  • エヌティティ出版
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784871886017

作品紹介・あらすじ

東西文化の交錯する古都イスタンブル。その知られざる豊かな食の世界へ、オスマン帝国研究の権威であり、イスタンブルっ子よりも彼の地の食に通じた著者が誘う。歴史文化随想。

感想・レビュー・書評

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  • 価格表や帳簿などの資料を紐解いて、オスマン帝国時代のイスタンブルの食の様子を、貧者から庶民、イェニチェリからスルタンに至るまで描いてくれる。それとともに、統一的な市政がなく、ワクフが都市の建設・維持に重要な役割を果たしていたこと。貴重品ながらも、夏でも、ブルサ近郊のウルダーから氷が運ばれていたこと。イェニチェリたちへの俸給としての大鍋のスープが重要だったこと。租税が太陽暦ベースで年に4回だったのに、俸給は太陰暦ベースで年4回、太陽暦に直すと年5回の年もあって「消え去り年」と呼ばれていたことなどが語られる。筆での料理、食材づくしの様は、目で美味しいと言いたくなるほどの絢爛豪華さ。特に気になったのは下記二つ。/バラ水(ギュッラーブ):バラのエッセンスに、肉桂粉、丁子、ロングペッパー、砂糖を加えた/スルタン風蜂蜜水(マーイ・アセリ・スルタンー):水に蜂蜜、肉桂、丁子、サフラン、ナツメグの皮、印度アロエなどの各種香料、さらに高価な香料の双璧、麝香と竜涎香を加えた複雑微妙な香りの飲み物。

  • 文語調で、ちょっと取っ付きにくいところがあるが、
    現代の料理を歴史的視点から考察してるので、文化史としても、
    娯楽としても楽しめる一冊。

  • オスマン帝国の料理が、美味しそうに描かれている。思わず作ってみたくなってしまう。

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著者プロフィール

1947年生
1982年 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、法学博士
東京大学東洋文化研究所教授などを経て、
現 在 東京大学名誉教授

著書:
『オスマン帝国――イスラム世界の「柔らかい専制」』(講談社現代新書、1992年)
『オスマン帝国の権力とエリート』(東京大学出版会、1993年)
『オスマン帝国とイスラム世界』(東京大学出版会、1997年)
『世界の食文化(9) トルコ』(農村漁村文化協会、2003年)
『ナショナリズムとイスラム的共存』(千倉書房、2007年)
『文字と組織の世界史』(山川出版社、2018年)
『オスマン帝国の解体――文化世界と国民国家』(講談社学術文庫、2018年)
『文字世界で読む文明論――比較人類史七つの視点』(講談社現代新書、2020年)
『食はイスタンブルにあり――君府名物考』(講談社学術文庫、2020年)
『帝国の崩壊――歴史上の超大国はなぜ滅びたか』(編著、山川出版社、2022年)他

「2023年 『オスマン帝国の世界秩序と外交』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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