第三帝国と音楽家たち―歪められた音楽 (叢書・20世紀の芸術と文学)

制作 : 明石 政紀 
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784871984669

作品紹介・あらすじ

第三帝国時代のドイツ・クラシック音楽界の全貌を俯瞰する代表的著作、待望の日本語版。新たに掘り起こされた事実が凝縮されているケイターのこの著書は、第三帝国時代の指揮者やその他の音楽家たちに関する最高の情報源となる。一九九八年、カナダ歴史協会Wallace K.Ferguson賞受賞(カナダ人著者によるカナダ以外の歴史的事項に関する最優秀図書)。

感想・レビュー・書評

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  • これは、もはや喜劇だ。

    タイトルどおりの内容(なお本書においては、音楽=クラシック音楽を指す)を、大量の資料を渉猟して徹底的に洗い出した、重厚・陰鬱・大部(A5判/300ページ/二段組/字組みツメツメ)な本。
    なのだが、読み進むうちに乾いた笑いが浮かんでくる。「純アーリア」とは何ぞや、「ユダヤ人」とは誰を指すか、何が「頽廃音楽」か…このあたりをめぐるドタバタ、醜いエゴとエゴとのぶつかり合い(体制側・芸術家側問わず)、いやしくも一国の問題にもかかわらずまるで学生サークルのごとき内輪ノリ。何もかもがお粗末で、本来深刻な話なのに笑いがこみあげてきてしまうのだ。このあたりの印象は、「暗殺の政治史」(リチャード・ベルフィールド)にも似ている。
    そのためかどうか、予想していたよりはるかに読みやすかった。読後感としては「ナチってひどい!」より、「人間ってどいつもこいつもどうしようもないなぁ」ではあるが。

    (それにしても欧米における、かのチョビひげのおっさんの絶対タブーたること、さすが悪魔を信じる人々である。本書の筆致はだいぶ理性的だが、それでも特有の激烈さの一端はある。そもそも「ナチ化」という言葉に恐怖と嫌悪を感じながら、「非ナチ化審判」なるものに同じ感情を覚えないのが、個人的にはふしぎでならない。いったいこの世に「正しい洗脳」などというものは存在するのだろうか…)

    2014/6/2~6/5読了

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