北の詩と人―アイヌ人女性・知里幸恵の生涯

  • 岩手日報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872014174

感想・レビュー・書評

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  • 知里幸恵さん、と言えばあの「銀の滴降る降る・・・」に始まる「アイヌ神謡集」の著者として、またアイヌ語辞書などを著した知里真志保氏の姉としても知っている。

    ただ、思えばそれ以上のことはあまり知らなかった。
    その知里幸恵さんの生涯を描いた小説である。

    この本を知った新聞の書評には、事実とは異なる描写がある・・・とあって若干の割引は必要なようだが、それでも当時のアイヌ民族を取り巻く状況や、幸恵さんの祖母や伯母から受け継いだ特異な才能といったものが垣間見られて、非常に興味深く読んだ。

    中んづく、当時においてさえアイヌ語と日本語の両方を自由に操る人は希少だったこと、文字を持たなかった(裏を返せば文字を必ずしも要しなかった、のかも知れない)記憶力・構造力に優れたアイヌ民族の中でも飛び抜けた能力であったこと、キリスト教に根ざした他を思いやる気持ちや高潔な生活態度などには心打たれるものがあった。一部採録されている書簡や日記(なんと丁寧で豊かな文章)も、貴重な記録だろう。

  • 文字を持たないアイヌの叙情詩、ユカラを金田一京助に伝えたアイヌの少女、知里幸恵の評伝です。幸恵の手紙や、日記などの資料も使い、リアルに表現されていました。
    幸恵は、その並外れた記憶力で、ユカラをローマ字で書き起こしていきます。それが「アイヌ神謡集」としてまとめられました。日記は青空文庫でも読むことができるようです。

    心臓の弱かった幸恵は、わずか19年の生涯を終えますが、金田一家に逗留したときの暖かい様子が描かれ、救われたような気持ちになりました。
    とても平易で読みやすい評伝です。

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