本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872330908
感想・レビュー・書評
-
飛鳥時代を舞台に、苦しむ一人の皇子蜂子。顔が西方系の鳶色であることから、生まれながらに、恐れられ、忌避される存在。山にこもり修行した後で訪れる悟り。
指導者、真岳はかたる。
「自分の思いのままに生きられよ」
「そなたの姿に寄せる皆の思いは
、そなたのものでなく、皆のものだ。それを拒むことがそなたの心からの思いならそうされよ」
蜂子はハッと気づかされるものがあった。それを察したように真岳は静かにうなづいた。
「人々の思いがいかなるものであっても、それを受け入れるかどうか否かは、自分の思い一つじゃ。そこにそなたのまことの生がある。人の思いと己の思いとを、一つとするか否か。己の思いで、誰の思いを受け止めるか。そして、それを選び取った時、思いは溶け合い、互いの生が溶け合って、新たな一つの生となるのだ」
この年1992年に作風ががらりと変ります。思い惑っていた作者がある悟りを得たのだと解釈しています。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私の中で榊原さんの最高傑作。
中世日本の貴族社会を舞台にした、ものすごく救われない話なのだが、ひたすらに美しい。
全3件中 1 - 3件を表示