檻のなかのダンス

著者 :
  • 太田出版
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872334012

作品紹介・あらすじ

体をジッと大人しくさせ、脳は意識過剰で狂わす監獄社会に対して起きた、ダンスという暴動。将来よりこの一瞬!優越感より体の快感!!幸せはクスリで!!!覚醒剤所持で逮捕された『完全自殺マニュアル』の著者がその監獄体験から、現代社会の生き苦しさの正体を明かし、楽に生きる哲学まで示した、渾身の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 食べて、踊って、風呂入って、寝る!
    それが一番キモチイイ。
    最小少数の最大幸福。
    世界の嘘や不条理に軽傷でいられない人が、幸せに生きていくための指南書。

  • 発売当時に読んだ、僕の人生にとんでもない大きな影響を与えてくれた本。
    生きづらい世の中で、頭でなく体を開放することで快感を得る生き方を具体的に伝えてくれる。

    思考を止めて感覚に集中することは仏教の瞑想にも通じる行為で、真理をついているように感じる。

    著者が今も生きてくれていて、言葉を発信し続けてくれているのが僕は嬉しい。

  • ガチ左翼ライター鶴見済氏はサブカルチャー業界の風雲児であり、1990年前後の「完全自殺マニュアル(ミリオンセラー)」が世間に衝撃を与え、社会問題化した。

    その後も「人格改造マニュアル」など、当時の青少年の受験戦争の激化によるニヒリズム・虚無感を、「マニュアル」として人生から降りるという、終身雇用・新卒絶対主義に対するアンチテーゼ的な珍説を提示した良くも悪くも限りなく危険な人物ではある(覚醒剤所持で逮捕歴あり笑)。

    ただし、本書は我が国の教育システム(つまりレール人生、勉強の内容はどうでもいい)という弊害を、ミッシェル・フーコーを素材にしながらかなり分かりやすく解説されており、サラリーマンの鬱屈をみごとに描き出している。

    鶴見済氏は、受験勉強と部活を真面目にやりすぎたせいで、東大入学直後に即座に精神科通院を命じられただけあり、思考過程が極めて狂ってるのがまたネタ本としても楽しめる。さすがに東大社会学部でそれなりの社会学基礎理論をかじってるだけあり、指摘は正確だ。

    20年前から、「鬱などの精神障害」、「自殺問題」、「薬物問題」、「原発問題」に力を入れており、相当の先見性・洞察力があったことは確かだ(笑)

    ちなみにこの人は10年ほど前のJCO東海村原発事故の時に即時に西に逃げた輩であり、今回もそれを参考にした。

    またこういうサブカル本がでてくれだ即購入するのだが...(笑)

  • 社会学の観点から、完全自殺マニュアルの後に、出たもの?
    宮台真司も浮かんでくる。

  • お気に入りの1冊。
    六本木かどこかの本屋で買って、ワタルさんのサイン入りだったんだー。
    大事にとってる。

    オレも、ベルリンのレイヴ行ったし、反原発デモの現場にもいたし
    同じ時代に、同じ場所にいた人、というカンジがする。

    ワタルさんには、ツイッターでも、フォローしていただいたし、感激。

  • 鶴見済の(たぶん)四作目の著書。1998年刊。

    ベストセラー「完全自殺マニュアル」において、「息苦しい世の中で無理に生き続けず、見切りをつけて自殺するのも一つの選択肢だ」と豪語した彼が、覚醒剤所持での逮捕、監獄生活を経て、世界との関わりを取り戻すために見つけたものは、身体性の回復としてのダンスだった!

    本書は、わりと雑多ないくつかのテーマで構成されている。

    はじめは、覚醒剤所持による逮捕と刑務所生活(一ヶ月間)の報告と、監獄に象徴される現代(近代)社会の考察。この辺りの考察はミシェル・フーコーの議論を下敷きにしているのだが、私達が学校や会社などで日々繰り返され、はめ込めれている規律訓練のことを「ドリル」(「計算ドリル」とかのアレ)と呼んでいるのが、ちょっとおもしろい。

    次に、ヨーロッパから各国に広まったダンス・ムーブメント(レイヴカルチャー)について、国内外のレイヴイベントを渡り歩きながら、その報告をしている。
    彼も不安定な人なので、いまいち盛り上がれないイベントに参加してしまった際には、速攻でトイレに駆け込んで覚醒剤をキメる様子が書かれてておもしろいw それで、「よしっ、これで行ける!」ってなって踊りまくるという。

    「つまりこうだ。覚醒剤をやれば、何もない路地を歩いても楽しい。やらないと、どんな名所を見てもいろいろあって結局滅入る。じゃあ旅の楽しみってのは一体何なのか、わからなくなってきた。楽しい旅をしたいと思ったら、どっちを選べばいいのか?しかもこれは旅に限ったことじゃない。”人生”だって同じ事なのだ……。」(p123)

    それから、いくつかの精神疾患(強迫性障害、摂食障害など)についての記事や、ドラッグについての「正しい知識」(シャブは悪者扱いされているが、日本の啓発情報は科学的根拠に乏しい、といった話や、睡眠薬を上手く使って気持ちよくなる方法など)。

    そして、社会評論?のようなコラムがいくつか。
    個人的には、ここに載っているオウムについての記事で、鶴見が指摘している内容が、とてもまともで安心した。鶴見はオウムそのものよりも、それをとにかく大げさに騒ぎ立てて、挙句にいきり立って大誤報までかますメディアなどについて批判的に書いている。ちょっと引用してみよう。


    「結局ハルマゲドン思想も大誤報も、「あーあ、なんかデカイこと起こらないかなあ」という、この時代なら誰もがふと思ってしまう集合的な無意識に根ざしているのだ。
     今の日本社会のシステムは非常にカッチリとできあがっていて、我々に重くのしかかってくる。そこから閉塞感が生まれる。せめて一瞬でもいいからこのシステムにほころびが生じるのを見て息抜きをしたい。そんな願望が多くの人の心の底に眠っているはずだ。(略)
     そんな閉塞感のことを思うと、信者に「こっちへ戻ってきなさい」などと語りかけて効果があるのかも疑わしい。こっちに帰ってきた信者はどうするんだ?毎朝電車に乗って会社に行って、部長になるのを夢見るのか?酔っ払ってカラオケする楽しみもありますよ、なんて説得するのか?」(p290)


     ここで指摘されているのは、、オウムのような奇異に見える集団は、決して「我々一般」の社会と変わらないどころか、合わせ鏡のように似通った構造をしている、ということである。これは、森達也による指摘とも似ているし、どちらの社会の「物語」もコミットメントするにはあまりにチープなものである、という村上春樹の指摘とも似ている。
    (その辺の話は、前に雨宮処凛の「生き地獄天国」のレビューで書いたので、興味がある人はそちらを見ていただきたい)

     こうしたことをオウム事件の起きたリアルタイムで指摘できていた、ということは評価に値すると思う。

     この本には、十年以上後に出版される「脱資本主義宣言」へ繋がるような意識が既に十分に見出されていると言える。現代社会の閉塞の原因として、規律訓練型の権力を指摘している、というところも、かなり適切であるように思う。

    彼の本は、決して外野からのヤジや嘲笑などではなく、あくまで彼自身の生そのものと密接に結びついているがゆえに、その内容がどんなにぶっ飛んでいようとも共感できるし、人間として信頼出来るように思える。

  • オーナー:小辻昌平
    「ダンスを踊るなと誰がいうのだ!きっと音楽があるかぎり、いや人間が生きているかぎり、人はおどるのだ」

  • 2012/10/08
    自宅

  • 著者は少し前に「完全自殺マニュアル」を出版して
    一騒動を起こした人物である。
    あれから、麻薬取締法違反で逮捕され、数年後に釈放された。

    それから本書は書かれている。
    監獄での生活はどのようなものか。
    また、少年犯罪がおきたことによる「社会」への疑問。
    そして解放されるにはどうすればよいのか、ということ。

    著者の思考もかかれているが、大半は根拠となるデータをならべている。
    どちらかというと実録、実践にちかいものがある。

    手法を書いている本、ともいえる。

  • 第一章から第四章の間でテーマがコロコロ変わるので、結局何が言いたいんだか分からない感じ。

    一つ一つの話やエピソードなんかは、面白いんだけど、一冊の本としてはどうなんだろう。。。
    檻の中の話とか第一章だけだったし、、、。

    一貫性のない本だったなあ。

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著者プロフィール

鶴見済(つるみ・わたる)
1964年、東京都生まれ。東京大学文学部社会学科卒。複数の会社に勤務した後、90年代初めにフリーライターに。生きづらさの問題を追い続けてきた。精神科通院は10代から。
つながりづくりの場「不適応者の居場所」を主宰。
著書に『0円で生きる』『完全自殺マニュアル』『脱資本主義宣言』『人格改造マニュアル』『檻のなかのダンス』『無気力製造工場』などがある。
ブログ:鶴見済のブログ(tsurumitext.seesaa.net)
Twitter:鶴見済(@wtsurumi)

「2022年 『人間関係を半分降りる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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