赤い文化住宅の初子 (Fx COMICS)

著者 :
  • 太田出版
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872337631

感想・レビュー・書評

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  • 再々再読くらいかな

    松田先生の作品はどれも、なんだか胸がキュッと締め付けられる 
    主人公と同じような境遇で育ったわけでもないのに、なんだか懐かしいような切ない気持ちになった

    「paint it blue」の方は、とにかく中年以降の男性の描き方が見事で(特に老人)女性の漫画家さんでこの表現って松田洋子先生ならではですね

    広島弁って、なんだか色気があるなぁ…
    タイプの人に広島弁で口説かれたら すぐに落ちてしまいそうな感じさえする

  •  松田洋子の『赤い文化住宅の初子』(太田出版/1000円)を読んだ。タナダユキ監督の映画版がたいへんよかったので、原作を読んでみたのだ。

     映画版は、原作に忠実に作られていた。原作は100ページに満たない中編で、描かれたエピソードのほぼすべてが映画にも盛り込まれているのである。

     松田洋子といえば『SPA!』に連載された『秘密の花園結社リスペクター』くらいしか知らなかったが、こういうリリカルで切ない(それでいて毒気も秘めた)作品も描ける人だったのだなあ。

     主人公の薄幸少女・初子と、ボーイフレンド・三島くんのあたたかいふれあいが、とてもよい。
     また、初子の兄も映画版ではただのダメ男に見えたが、この原作では乱暴な言葉遣いの底に妹を思うやさしさがほの見えるように描かれている。繊細な心のひだまで表現されているのだ。この点は原作の勝ち。

     併録作の「PAINT IT BLUE」は、地方都市のつぶれそうな町工場の跡取り息子を主人公にした軽快な青春マンガ。こちらも意外な拾いもの。
     こういう世界をいきいきと描けるマンガ家は土田世紀くらいかと思っていた。その“後継者”が女性の中にいたとは驚きだ。

     この本に収録された2作に共通の印象だが、脇役として随所に登場する中年オヤジたちのリアリティがものすごい。なんかこう、画面から加齢臭がモワっと立ちのぼってくる気がするほど(笑)。

     昔、大友克洋の『童夢』について、「老人の顔の描写がすごい。こんなふうに老人を描けるマンガ家は、これまでいなかった」 という言葉で絶賛した人がいた。松田洋子のすごさも、脇役の中年描写にこそあらわれていると思う。美少女や美少年を描けるマンガ家なら腐るほどいるが、これほどリアルに中年オヤジを描ける女流マンガ家はほかにいない。

  • 松田洋子さんの作品『赤い文化住宅の初子(2003)』を読了。 タイトル作の”赤い文化住宅の初子”が切なすぎる… 儚く・泣ける・・・

  • 中学高校で大恋愛しようと、それを続けるには人生は長すぎる

  • 「赤い文化住宅の初子」
    なかなかに救いがない。
    彼氏はいるが、きっといずれは。

    「PAINT IT BLUE」
    プレス機で指を潰してしまった場面が見ていて辛い。
    以前身近にいたので。

  • 中卒で働かなくてはならない幸薄い少女ハツコの話と経営が厳しい零細工場の小せがれジツの話。
    リアルに不幸すぎて...かなりイタイ笑いがこみ上げます。
    後ろ向きな話ではありません。
    それでも生きていくというしたたかな強さを感じるからでしょうか。

  •  言い方は悪いんだけど、表紙からして可愛くない……と思ってたのに、本編を読んで初子が可愛くて死ぬかと思った。
     この人の書く表情はものすごい情感豊かだなぁ。驚いた。

  • 久々に松田作品読んだけど…


    日本の底描かせたら天才だすね。

    くらーくなります。ふふ。

  • 「みんなして何を良いよるんかさっぱりわからん」

    自分の心の状態を映す鏡のようなおはなし。
    きっと心が健康な人はここに一筋の光を見出し
    甘酸っぱい青春ものとして読むのだろうし、
    絶望に打ちひしがれている人は希望なんてどこにもないんだ、
    と悲観しながら読むのだろう。

    わたしは、クッキーが喉につかえてうまく飲み込めないような、
    そんなもやもやを抱えながら読んだ。

  • 2010/6/28購入
    2010/7/07読了

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著者プロフィール

大阪生まれ、広島県福山市育ち。初めて描いた作品『薫の秘話』が第27回ちばてつや賞大賞を受賞し、95年『モーニング』でデビューする。以降、『秘密の花園結社 リスペクター』『人生カチカチ山』『まほおつかいミミッチ』『相羽奈美の犬』などの作品を幅広い媒体で発表し、2003年刊行の『赤い文化住宅の初子』は、2007年にタナダユキ監督により実写映画化され大きな話題を呼んだ。なお『ママゴト』は、第15・16回文化庁メディア芸術祭の審査委員会推薦作品に選出されている。

「2019年 『父のなくしもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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