- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872338973
作品紹介・あらすじ
日本ロック雑誌興亡史。星加ルミ子と『ミュージック・ライフ』。中村とうよう音楽年表。渋谷陽一やつあたり論争史。『宝島』特集一覧。キャプテン・レコードリリース一覧。阿木譲、伝説の全仕事カタログ。URCレコードと『フォークリポート』。パンクを支えた雑誌メディア。「オリコン」というビジネス。日本版『ローリング・ストーン』の数奇な運命。
感想・レビュー・書評
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雑誌文化が終演を迎えてから久しい。
当然"ロック雑誌"もその例外にはなりえないわけで、年代記というよりも回顧録の趣が強く感じられてしまう。
それはロック雑誌を読んで育った世代だから、そう感じるのであろう。
雑誌というのは雑なんだとはいとうせいこうがHot Dog Press時代に先輩編集者から言われたとのことだが、編集者の主観により雑に編まれた情報によって脇道にそれることが(一見ムダなようで)実りのあるものになっていたのだろうなと振り返る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本のロックのクロニクルではなく、ロック雑誌のクロニクル。ずいぶんニッチなテーマである。『クイック・ジャパン』誌での連載を元にしたもので、2004年刊。
なぜいまごろ読んだかといえば、一昨日、『ロック・マガジン』編集長だった阿木譲が逮捕(元交際女性へのストーカー容疑)されたというニュースに接して、いろんなロック雑誌を熱心に読んでいた少年時代を思い出したから。
私は『ロッキング・オン』派だったから阿木譲に思い入れはないが、忘れ難い名前ではある。
『ベストヒットUSA』にも先駆けた洋楽番組の草分け『ポップス・イン・ピクチャー』に阿木はレギュラー出演しており、当時最先端だったパンク・ロックなどをさかんに称揚していた。その姿に、私は強い印象を受けたのだ。
「みんな、そろそろこれに気づかないとヤバイんじゃない?」という阿木の決めコメント(?)もよく覚えている。ロックの最先端ではいまスゴイ革命が起きており、それに気づかないのは「ヤバイ」というのである。
本書は、阿木譲と『ロック・マガジン』について一章を割いて紹介している。阿木へのインタビューもなかなか強烈で、よくも悪くも只者ではないという感じを抱く。
ほかには、『ミュージック・ライフ』と星加ルミ子、『ニューミュージック・マガジン』(現『ミュージック・マガジン』)と中村とうよう、『ロッキング・オン』と渋谷陽一、(ロック雑誌だったころの)『宝島』などに、それぞれ一章が割かれている。
関心のない雑誌についての章は斜め読みしたが、『ロッキング・オン』と『ロック・マガジン』についての章は読みふけってしまった。ちなみに、渋谷だけは「メリットがないから」という理由で(!)著者の取材依頼をことわったという。
ロック雑誌をフィルターとした日本のロック受容史としても、読みごたえある本だった。筋金入りのロック・ファンとしてロック雑誌を読みあさった者ならではの熱意も、行間からひしひしと伝わってくる。
随所に資料的ページが挿入されており、ごま粒のように小さな活字が使われたそれらのページはいずれも労作だ。
「『宝島』特集一覧」、「『URCレコード』リリース一覧」、「『キャプテン・レコード』リリース一覧」、「阿木譲全仕事カタログ」などなど……。ゆえに資料的価値も高い(ほとんどなんの役にも立たない「資料」だが)。
著者もあとがきで書くとおり、すでに「ロック雑誌は事実上消滅」しており、本書はクロニクルというより「墓碑銘を刻むような」本である。かつてロック雑誌が果たしていた役割は、いまやすべて無料のネットで代替できるし。
刊行後8年を経たいま、中村とうようは自殺し、阿木譲は逮捕され、ロッキング・オンはイベント屋のごとき存在になり……。諸行無常ですなあ。
対象読者層が非常に狭いマニアックな本であり、いまの若いロック・ファンが読んでも面白くもなんともないだろうが、私は面白く読んだ。 -
タイトル見て、図書館で借りてみた。
著者が影響を受けたロック雑誌の歴史と思い入れの強い本。
2005年刊なのに、あとがきに『ロック雑誌は事実上、無くなった』とあるけれど、それは著者にとってであって、別に私は無くなったとはおもわないですが何か?
な、読後感でございます。
やっぱり、音楽というのは語るもんじゃねえや、感じるもんだろ?
と泉谷っぽく書き逃げ‼