四畳半神話大系

著者 :
  • 太田出版
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本棚登録 : 2706
感想 : 412
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872339062

作品紹介・あらすじ

大学三回生の春までの二年間を思い返してみて、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。-『太陽の塔』(第十五回日本ファンタジーノベル大賞受賞作)から一年。無意味で楽しい毎日じゃないですか。何が不満なんです?再びトンチキな大学生の妄想が京都の街を駆け巡る。

感想・レビュー・書評

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  • 薔薇色の大学生活のスタート。様々な選択肢が目の前にある。あのときあのサークルを選んでいたらどうなっていたのか…。私も何度か考えたことがあるあの問いの答えがここに。

  • 薔薇色で有意義なキャンパスライフを送れずいじけるいっぽうの数年を過ごした全ての人に読んでほしい。

    この本を読んでいると自分が学部生だった頃を思い出して虚しくなる。しかも、なんだか自分もこういったことをやっていたような気がするから腹立たしい。

    そこで、『あぁ、じつに、生き方に工夫が足りなかった。私はなんてまっすぐだったのであろう。』(p.30)などとほわほわ考え、「もし、あの時違う選択をしていたら」、「もし、もう少しだけ運が向いていたら」などと過去を振り返る。

    そうは言っても、 『寺山修司はかつて、書を捨てて街へ出やがれと言ったと聞く。しかし街に出て何をしろというのだ、この私に。』(P.220)と思い直すと、結局自分に伝説の至宝「薔薇色のキャンパスライフ」を手に入れる事は出来なかったに決まっていると再びいじけてしまう。

    つまり、この物語体験とは、どんな選択をしていたとしても結局代わり映えのしない数年間だっただろうし、自分は自分でしかなかったのだ、という過去・現在・近未来にかけての自己同一性について洞察する極めてE.エリクソン的ライフサイクル体験ができるSF小説なのかもしれない。



    その他
    『赤ちゃんがおしゃぶりをしゃぶるように箱庭の権力をしゃぶり続け、』(P.47)

    『負けてたまるか。
    人恋しさに負けてたまるか。』(P.54)


  • 成就した恋ほど語るに値しないものはない。

  • 文体は少し読みづらいが、慣れると癖になると思う。どうしようもないキャラクターたちばかり登場するが、みな憎めない。「私」も小津も樋口師匠も強烈な個性と愛嬌がある。別のサークルに入っていたら、もっと楽しい生活が遅れていたかもと思っている大学生に是非おすすめしたい一作である。

  • 四畳半で暮らす男(21歳)を取り巻くどうしようもない環境及び友人たち。読んでいて何も得ることはなく、大学生活の3/4を棒に降った男の後悔と少しの幸せがだらだらと続く。しかも、全4編の短編がパラレルワールドになっており、共通して出てくる占い師と冒頭の主人公の語りを4回読まされることになる。

    だがしかし、悪くない。
    小津はどこまで言っても卑劣で自分のためにしか動かない奴ではあるが、なかなか可愛いところがあるし、どの平行世界でも最後は骨折することになるので少し可哀想だ。
    歯科衛生士の羽貫さんは何だか変なキャラクターだが、悪い人ではないし、樋口さんも学生とは思えない落ち着きぶりだ。蛾を忌み嫌う明石さんも可愛い。
    登場人物たちがちょっとお馬鹿で、憎めなくて微笑ましい。

    しかし、代理代理(中略)代理…戦争は止める訳にはいかないのだろうか。不毛過ぎる。小津だけは楽しんでやっていそうだが、主人公の苦労たるや。
    でもこういうくだらないことが、日常に刺激を与えてくれるのかもしれない。
    闇鍋もやらない内にいい大人になってしまったなぁ。

  • なんだろう。大学生の、まあはちゃめちゃな生活、自堕落ぶりが展開する。四話体型であるが、同じ話が少しずつ広がりを見せて進んでいく。
    これは、なかなかに、辛抱強くないと、ついていけないのか。まだ、修行が足らないと見え、最後までついていけない。

  • 初の森見登美彦さんの作品。

    私にはまだ早かったかなぁという印象です。
    言葉の言い回し?が難しくてなかなか頭に入ってこない、、
    それでも展開がおもしろくてどんどん魅入ってしまいました。
    パラレルワールドというのにも気付いた時に感嘆しました。すごい小説を書くなぁ。

    いろいろ小説を読んでからまた再読して、感想を書きたいなと思います。

  • 森見登美彦の作品は何作品か読んだことあって、これのアニメ作品も大好きでよく見てたんですが、そういえば「四畳半神話大系」は原作読んだことないなーと思って読んでみました。

    相変わらずの捻くれた文章にニヤニヤしながら読みました。

    小津かわいい。

  • パラレルワールドのお話。
    ファンタジーっぽくないファンタジー。
    青春っぽくない青春。捻じ曲がった青春を謳歌しています。

    「夜は短し歩けよ乙女」と設定が似ています。
    でも、キャラの性格は違います。
    主人公は、「夜は短し~」よりも救いようのないかんじです。
    でもこちらの主人公のほうが楽しげです。

    やっぱりこの作者さんの独特の文体は、読むのがとても楽しいですね。

  • 僕なりの愛ですよ

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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