破戒 (まんがで読破)

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 432
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872578126

作品紹介・あらすじ

封建的身分差別が残る明治時代。青年教師・瀬川丑松は父の戒めを守り、素性を隠し暮らしていたが、同じく被差別部落出身の解放運動家・猪子蓮太郎の生き方に感化されてゆく。ある日、丑松の素性を疑う人物が現れ、生活は一変する…。「差別」という人間に根ざす社会悪を描き、漱石からも激賞を受けた自然主義文学の傑作を漫画化。

感想・レビュー・書評

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  • 島崎藤村の破戒。いつか読もうと先送りにしてきて、漫画で読めるというので手に取り一読。ストーリーは追えた。
    あっという間に読めてしまうので、我が身に置き換えて考えるとか、味わうとかするには漫画は不向きだなと感じた。
    活字を追いながら、頭の中で立体的に人物を想像し、彼らが動くのを見て、話すのを聴いて、物語の中に自分も入っていく。そのプロセスを普段はしていて、そこに喜びがあるのだと分かった。
    臨場感がたまらない。活字の力、想像力の力は、素敵だ。
    でも、漫画でなければ知らないままだったかもしれないので、これはこれとしてありがたかった。

  • 人間は差別する生き物
    今も昔も変わらない

  • 「まんがで読破」シリーズはまだ数冊しか読んでいないが、どの作品も素晴らしく感じている。まさに我が国の漫画文化の高さを証明してくれていると思う。本作も同様である。原作は28年前に読んでいるのだが、あまり覚えていない。初読とほとんど変わらない。印象が薄いのは部落問題が身近に感じられなかったせいだろう。私は北海道出身で、被差別部落なる存在を知ったのは社会に出てからだ。ただ結構な長編であったのは記憶しているので、この程度の厚さの漫画で収めきれるのかと初めは思った。しかしそれは杞憂であった。この漫画作品には感情を揺さぶられるものがある。登場人物に絵が与えられ、漫画的手法で情感が表現されると、読者は共感しやすくなる。明治の時代背景と、瀬川丑松の苦悩が直裁に伝わってくる。覚えていないから、原作と比較することはできないが、この作品単体でひとつの名作と言えるのではないか。原作の性質上、トーンは暗いが、救いのない暗さではない。丑松、猪子蓮太郎、土屋銀之助、お志保・・・それぞれがあの時代を必死に生きている。この作品には人間への信頼がある。愛がある。そして立ち止まって考えさせられる。もう一度原作が読みたくなった。

  • 再読

  • 島崎藤村の本で読みたくなった。

  • 「僕は絶対にあの戒めを破りません」
    穢多であることを隠してきた主人公の話。
    身分を隠し通せという父からの戒めを守っていた時の主人公。身分がバレさえしなければ普通の暮らしを送れることに理解しつつも、隠し通そうとする姿は苦しそうであった。

  • 制度と現在の差を感じる本であった。弱者と感じている生まれや身分だからこそ、同胞のために勇敢に世の中に対して叫ぶ必要は必ずしもあるわけではく、そもそもその人自身がどう生きたいかを決められるということをわたしに気が付かせてくれた。

    読みやすさがあり、文庫本もまた内容を少し忘れかけた頃に読みたい

  • 明治時代
    身分がなくなった世の中でも
    エタヒニンは差別されていた
    →屠殺を行ったりするひとたち

    決してその素性をばらしてはいけない
    という父からの戒めを
    最後の最後で、主人公は破る
    →それが「破戒」

    一生に秘訣とはこの通り簡単なものであった。「隠せ」
    →この小説はこの一語(ひとこと)に尽きた。

    ■思うこと
    差別をいじめを完全になくすことは難しい、それは人間の本質的な仲間になりたい、そして異質なものから傷つけられたくないという心の裏返しのように思う
    →何よりも痛みを知ることが大事

    ■豆知識
    三人の子供を餓死させながら書いた小説らしい。。まじか。。

  • こんな話だったんだ!
    差別ってなくならなものだなぁ

  • 初めて読んだ。差別はなぜ起こるのだろうか。今も色んな形で差別はあるけれど、結局みんな同じ人間。誰かが上で、誰かが下なんてそんな組織だけの話。ある人は幸せで、ある人は生きづらいそんな社会であってはいけない。相手の立場になって考える人が増えれば、差別に加えて誹謗中傷もなくなってみんなが生きやすい社会になるんじゃなかろうか。

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著者プロフィール

1872年3月25日、筑摩県馬籠村(現岐阜県中津川市馬籠)に生まれる。本名島崎春樹(しまざきはるき)。生家は江戸時代、本陣、庄屋、問屋をかねた旧家。明治学院普通科卒業。卒業後「女学雑誌」に翻訳・エッセイを寄稿しはじめ、明治25年、北村透谷の評論「厭世詩家と女性」に感動し、翌年1月、雑誌「文学界」の創刊に参加。明治女学校、東北学院で教鞭をとるかたわら「文学界」で北村透谷らとともに浪漫派詩人として活躍。明治30年には第一詩集『若菜集』を刊行し、近代日本浪漫主義の代表詩人としてその文学的第一歩を踏み出した。『一葉舟』『夏草』と続刊。第四詩集『落梅集』を刊行。『千曲川旅情のうた』『椰子の実』『惜別のうた』などは一世紀を越えた今も歌い継がれている。詩人として出発した藤村は、徐々に散文に移行。明治38年に上京、翌年『破戒』を自費出版、筆一本の小説家に転身した。日本の自然主義文学を代表する作家となる。

「2023年 『女声合唱とピアノのための 銀の笛 みどりの月影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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