堕落論,白痴 (まんがで読破)

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  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872578683

作品紹介・あらすじ

本当の人間らしさとは何か? 美しさとは何か? 武士道、天皇制、道徳など、古代からの為政者たちが制度化してきた「カラクリ」を暴き、人間の再生を説く… 敗戦後の焼跡、闇市に象徴される混迷の日本に衝撃を与えたエッセイ『堕落論』。 その小説版とも言える異色作品『白痴』。 無頼派作家・坂口安吾の存在を世に知らしめた代表作2編を漫画化。

感想・レビュー・書評

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  • 墜落論を前後編に分け、間に白痴を挟み込んでの漫画化。
    坂口安吾の視点も現代から過去に飛んで描かれている構成になっている。

    第二次世界大戦が終わって、日本は急速に変化した。
    戦時中にあんなに一体化して、虚しい美しさに溢れていた。
    「あの偉大な破壊の下では 運命はあったが 墜落はなかった 無心であったが充満していた」「しかし人間の真実の美しさではない」「人間の正しい姿とは何ぞや?」

    ・・・まず、戦時中が美しいかったということにも、そして、人が墜落してゆくのは戦争のせいではない、と言うのにも驚いた。
    人が墜落するのは人だからだ。人間は元来、そういうものだ。
    墜ちて墜ちて、そして這い上がれと。
    時代が変わって価値観があべこべになったように見えても、それは上面の皮の上だけのこと。
    天皇の制度についても、「祭り上げる」ほうが実権を握るに楽だからだと。

    今読んでもなかなか刺激的な内容でした。

    白痴についても、現代では描きにくい題材だと思う。けど、空襲の最中、サヨの死を願いつつも見捨てては行けず、未来に不安を抱えつつも、捨てていけるほどの張り合いもないと一緒にいる井沢にホッとする。

  • 学生の時に読んでいたが、もう一度読み返して見ようと思った。
    でも、読み返しみても分かったような、分からなかったような、とにかく内容が難しい。
    人間は流されて生きている、というのを言いたいのかな、とそんな曖昧なことしか感じ取れなかった。
    もっと色んな本を読めば分かるようになるだろうか。
    学生の時もあまり意味を理解できていなかったと思う


  • 与えられた思想や観念に囚われないで生きること、つまり堕落すること。
    自分の頭でしっかり考えて生きよう。

  • 終戦後の1946年4月・6月に天皇制を批判した本。『堕落論』がエッセイという形をとり、『白痴』が小説の形を取る。「妾」や「淫売」など、女性蔑視的な表現が多い。現代であれば、発禁本だろう。

  • まんがで読破シリーズ。坂口安吾が書いたのは堕落論と文学史で丸暗記しただけで、原著は読んだことはない。
    堕落論はエッセイで、白痴は小説でともに終戦すぐに発表されたもの。その二つを組み合わせてまんがにしているんだけど、特に堕落論の部分が原著をオマージュにして現代につなげた書き方で書いているものだから、余計にわかりにくい気もする。
    とりあえず、先の大戦を生き抜いた人たちがどんな思いをしていたかということを、終戦の日直前に、胸に刻んでおこうと思う。

  • 人間は生き、人間は堕ちる。
    人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。
    人間という生のどうしようもない弱さ、その冷徹な事実と共にそれでも生きる一筋の光を観ている。

  • 堕落論って、ちょうど戦争前後の話か。文豪の話で戦争が出てくるのは、このシリーズではちょっと珍しいかも。

  • Kindle

  • 原作で是非読みたい。人間の愚かさに気付いてかえって生きていても凹まなくなる感じ。

  •  いつかは読もうと思ってずっと読んでない坂口安吾。大学の時からだから、かれこれ20年近くこの状態でした。今回この本で、読んだ気になってしまいそうですが、やっぱりいつかは読みたいと思います。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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