- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872686722
プロジェクト・マネジャーの人間術の感想・レビュー・書評
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【目的】
今現在進めているPJについても、自社関係者が増えれば増えるほど、PJ内部の人間関係が重要であると感じている。
【買ったきっかけ】
図書館にて発見。
自分が関わっているPJにたいしてプラスとなる要素が得られるか?
という期待
【得られたもの】
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○プロジェクト・マネジャーと機能部門マネジャーの違い
<機能部門マネジャー>
機能部門マネジャー⇒人的資源についてはプロジェクト・マネジャーよりも一貫性を確保することができる。
仕事を通じた関係を長期間維持することができるという性質から、機能部門マネジャーは、それぞれの部下の個性や独特の性質に関する情報だけでなく、彼らの技術的な強みや弱みにも触れられる多くの機会を持ちます。
⇒
・部下の強みをより効果的に活用できる。
・部下に対して、成功する確率が高い職務を割り当てて問題の発生を回避できる。
部下の育成の観点からは?
・部下それぞれの継続的な育成化計画を策定し育成状態をチェックすることによって、部門内の人材のレベルを上げることができる。
・自部門の要員の採用に参加することができる。
<プロジェクト・マネジャー>
・以前に一緒に仕事をしたことがないメンバーに対しては、その強みと弱みをすばやく評価するように試みる必要がある。
・プロジェクト・マネジャー以外の人がチーム・メンバーを任命することが多いので、チーム・メンバーの構成についてはほとんどコントロールできない。
・能力が劣るチーム・メンバーに対して、長期の育成計画を策定する時間も権限もない。つまりプロジェクト・マネジャーは多くの場合与えられたメンバーを最大限に活用しなければならない。
⇒必要な対人関係スキル
・初めて出会った人間の強みや弱み、個性をすばやく正確に評価する能力
・チーム・メンバーができないことを考えたり、もっと優秀な人材の配置を望んだりするよりも、それらに優先して、チーム・メンバーの強みの方により焦点を当てることができる能力。
◆⇒他責NG!
⇒これらのスキルを開発するための方法
・人間の個性の違いを表現することができるシステムについての知識を高め、これを使いこなす
・自らが楽観的なのか悲観的なのかを認識するために、自らの傾向をモニタリングする。そして職務上の悲観的な状況にあっても、前向きな側面を意識して仕事に励む
○プロジェクト・マネジャーのチームの動機付け
創造的な「アメ」をたくさん使ってチーム・メンバーの行動に影響力を与えることができる、本当のスキルを持たなければならない
1.チーム・メンバーのパーソナル・スタイルやキャリア・ステージをよく理解することによって、上手に動機付けする能力。
2.高度に洗練された対人コミュニケーション・スキルを適用する能力。
◆相手に応じてコミュニケーションを変えること
○個人的な差異の識別と評価:MBTIアプローチ
◆MBTIアプローチとは?
マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標(MBTI:Myers-Briggs Type Indicator)
個人間の差異を考慮するときに使うことができる概念的な枠組みの一つ
Carl Jung(1971)の研究に基づき、パーソナル・スタイルをさまざま要素で記述します。Jungは社会へのアプローチや理解の仕方は個人により異なると主張しました。
本質的には、MBTIは次のような性格や性向の四つのペアとなる指標で、個人の成功を計測します。
○外向的/内向的
○感覚的/直観的
○思考的/感情的
○判断的/知覚的
コミュニケーションのヒント
・外向的:直接会う機会を持ち、考えを発言させる
・内向的:情報を引き出す手助けをし、意見を伝えたあと一人で考える時間を与える。
・感覚的(現実的):あなたの主張を通すために、具体的な事実、事例、データ、現実社会における経験を示す。
・直観的:あなたの議論の重要な概念を理解させるために、全体の像を示す。
・思考的:事実の合理的な分析につながる論拠を示す。「頭脳」に訴える
・感情的(情緒的):より「心」をこめて話す。相手の価値観や本能的意思決定にも真面目に対応する。
・判断的(規範的):メッセージを秩序正しく伝え、議論が解決し、集計つに向かって進み続けるようにする。
・知覚的(柔軟的):制約をつけない自由な議論を認め、検討課題に柔軟に対応する。
タイプ毎の動機付け策
・外向的(社交的で人づきあいを楽しむ):
ステークホルダーとのミーティングなど、プロジェクトの人間関係に関わる機能を担当させる。
・内向的(物静か、思慮深い、内面志向):
一人で長期間集中して取り組む作業を担当させる。
・感覚的(実践的、現実的、堅実):
明確な期限があり、具体的に評価できる仕事を担当させる。
・直観的(概念的、対局):
組織の戦略目標をプロジェクトの目標に対応させるなどの戦略立案や設計を担当させる。
・思考的(論理的、分析的):
詳細分析や研究など数値分析能力を要する作業を担当させる。
・感情的(人間的、情緒的):
顧客関係マネジメント、人材育成、支援業務などを担当させる。
・判断的(常識的、体系的、適時、規範的):
スケジュール、予算、プロジェクト終結手順などの作成を担当させる
・知覚的(柔軟性、自発性):
問題解決が必要な状況への対応を担当させる。
○キャリア・ステージに応じた動機付け
ステージ1と2は、プロジェクトに参加する以前の段階で、初めて自分のキャリアを探し始め、その後、大学や専門学校で正式なキャリアへの準備を行っている時期です。
ステージ3は、就職して実践的スキルを獲得していく段階で、さまざまな仕事で力を発揮させ、「自分でできる」という経験をさせることで意欲を向上できます。
ステージ4では、スキルの実践適用や仕事上の付き合いを学びます。プロとしての自覚が芽生える時期でもあります。この時期は、技術や実務の詳細を身につけさせることで、意欲を向上できます。
ステージ5では、それなりの実績を持って仕事全般に参画するようになります。この時期は、責任ある役割を与えることで、自分自身を一人前で信頼される貢献者と感じさせることが有効です。
ステージ6では、チームになくてはならない存在と感じられるようになります。この時期は、多機能のチームのメンバーとしたり、チームの代表としてステークホルダー達との調整をさせたりして、その成果をアピールできる場を与えることで、意欲を向上できます。
ステージ7では、職業人としてのキャリア中間評価が行われ、キャリアの重大局面を迎えることになります。このステージでは、職務の価値や何を達成してきたかが問われ、進路の再設定が行われます。この時期は、既存プロジェクト内で目指すべき新たな方向性をみつけ、その新たな方向性が、モチベーション向上を生みだすように期待することになります。
ステージ8では、キャリア終盤に向かって勢いを維持することが課題になります。
ステージ9では、徐々に仕事の世界に関わる比重が軽くなります。この時期は、次のような役割を持たせます。
・キャリアに追加できる未経験のプロジェクト業務に集中するのを支援する。
・ノウハウを伝える教材開発など、企業や専門領域に残したい遺産のために奮闘してもらう。
ステージ10は、引退または退職です。この時期の戦略は次のようなものです。
・最後の仕事を高品質で完了させるなど前向きな姿勢で引退してもらう。
・希望があれば、退職後に自分の職業上のスキルをまとめてコンサルティングやコーチングができるように手助けをする。
○キャリア・アンカーに基づく動機付け
Schein(1990)は、さらに人を動機づけする職務価値観を検討し、次の二つの考え方に基づいてキャリア・アンカーという見方を導きました。
・特定分野における自分の価値を知ることで、仕事から得られる満足度が向上する。
・自分の価値観に沿った作業や役割に取り組んでいるときに、最高のモチベーションが得られる。
職務を選択する上での八つの価値観
アンカーとは、自分の持つスキル、目的、価値の全体を考慮したとき、自分にとって重要だと感じる基本的な振舞いのことです。八つのアンカーは動機付けに関する重要な示唆を与えてくれます。
?技術機能的アンカー
?経営管理的アンカー
?自律独立的アンカー
?安全安定的アンカー
?起業家的創造的アンカー
?サービス的アンカー
?挑戦的アンカー
?ライフスタイル的アンカー
?技術機能的アンカー
特定業務のスペシャリストになりたいと願う人はこのアンカーの良い例です。組織のマネジメントにはあまり興味がなく、専門家や職人であることに誇りを持っています。
<モチベートする方法>
・専門スキルを身につける機会を与える
・組織マネジメントやリーダーシップの実績よりも職業的進歩や技術的進歩の実績を認め、それに報いる。
?経営管理的アンカー
このアンカーを持つ人は、リーダーシップを発揮できる役割を与えられると燃えます。常に組織の上位にあがることを追求し、技術の専門家であり続けることには固執しません。
<モチベートする方法>
・プロジェクトの一部の管理を任せる。
・報奨金、地位、肩書き、上司からの賞賛など具体的な認知を与える。
?自律独立的アンカー
自律的な人は、与えられたやり方を嫌い、独自のやり方に固執します。
往々にして問題児でチームプレイが苦手だと思われています。
<モチベートする方法>
・自己完結型の仕事を割り当てる。
・グループとしての意思決定や、組織のマネージメントなどを必要とする役割を持たせない。
?安全安定的アンカー
このアンカーの持ち主は、仕事の継続性や安定性を重視するため、プロジェクト・マネジャーにとって、対応しにくいタイプです。つまり、期間限定的なぷrじょえくと環境には馴染まないのです。彼らにとってリスクの高い革新的なプロジェクトは興味の対象外となります。
<モチベートする方法>
・プロジェクトの進捗管理や事務処理など、伝統的な方法が通用する作業を割り振る。
・長期的に継続しそうなプロジェクトに参加させる。
?起業家的創造的アンカー
このアンカーの持ち主は、プロジェクトの性質によって適不適が分れます。彼らは、本能的に新規事業の立上げを意識しており、革新的あるいは創造的な仕事に向いています。日常的作業や想定内の仕事では満足できないでしょう。
<モチベートする方法>
・プロジェクトのビジョンの設定や立上げに参画させる。
・範囲の決まった作業は割り当てない。
・既存プロジェクトの終結では力を発揮しないので、プロジェクトの完了が近づいたら、早めに別の新規プロジェクトの立ち上げにまわす。
?サービス的アンカー
このアンカーの持ち主は、専門性を提供して、自分の価値観に合致した仕事の達成に役立ちたいと思っています。環境浄化活動を行っている企業での職を希望する生物学者が良い例でしょう。
<モチベートする方法>
・他のチーム・メンバーやステークホルダーへのサービス窓口の役割を与える。
・援助やサービスが必要な顧客の苦情を受けている状況での問題解決にあてる。
?挑戦的アンカー
このアンカーの持ち主の場合、職業人としての向上や挑戦をはかれると感じる機会をいつもはらんでいるような仕事についてさえいれば、動機付けの問題はほとんど生じません。彼らはいつも新たな挑戦を求めています。
<モチベートする方法>
・プロジェクト開始時に、挑戦の対象としてどのような作業があるかを話し合う。
・プロジェクトにおける大きなリスクに備える人材として念頭におき、有事に活躍してもらう。
?ライフスタイル的アンカー
このアンカーの持ち主は職業がすべてではなく、いつも仕事と私生活のバランスを考えています。彼らは、フレックスタイムや在宅勤務などを魅力だと感じます。
<モチベートする方法>
・開始と終了がはっきりとした仕事を与え、残業させない。
・プロジェクトの中で出張や転勤を必要とするような役割を与えない。
コンフリクトとその解決方法
○トーマス・キルマン・モデル
トーマス・キルマン・コンフリクト・モード法(Thomas-Kilmann Conflict Mode Instrument:TKI)は、1974年にトーマスとキルマンが提唱したコンフリクト解決の自己診断ツールです。このツールでは、個人のコンフリクト解決スタイルを
・競合
・回避
・適合
・協力
・妥協
に分類します。
?競合的アプローチ
独善的かつ非協力的な状況で用いられます。
使用例
「自分のやり方で進めたい気持ちはわかるけれど、その変更は認めるわけはいかないよ。今までやっていた通りのやり方に従ってもらいたいね。」
◆?具体的にどうするのかは謎
?回避的アプローチ
勝ち目がないとき、情報不足のとき、互いに感情的で冷却期間が必要なときなどで、問題が大したことでない場合にうまくいきます。
使用例
「それが問題ないのはわかったよ。でもとりあえず来週まで保留しようよ。」
?順応的アプローチ
特に形成初期のプロジェクト・チームにおいて他の人の意見を柔軟に取り入れるために役立つでしょう。また、この手法により些細なことで生じる無意味な競争を避けて、チーム内の調和を維持することができます。
使用例
「それは良いね。君がやりたいと言っている方法でやってみよう。」
?協力的アプローチ
両方の当事者の立場を最大限に考慮して、統合した解決を目指すものです。
「それはいい考えだ。気がつかなかった。私の考えも話すからお互いの見解をあわせて一つにまとめようよ。」
?妥協的アプローチ
より短時間で結論を出すことを重視しており、とりあえずの解決が必要な場合に使われます。
「わかった。締め切りは延ばそう。その代わり資金を増やしてもらうよ。」
○プロジェクト復旧計画
プロジェクトがトラブルに遭遇し、プロジェクト復旧計画を考慮するべき段階にあるということは、次の四つの指標で判断できます。
1.プロジェクトの顧客に、成果物、サービス、またはプロジェクトの状況に対する不満の兆候があること。
2.成果物の品質の悪化、メンバーのパフォーマンスの低下、技術的過失などのためプロジェクトに膨大な手直しが生じていること。
3.受け入れられないほどのプロジェクトの差異(時間、コスト、技術的成果など主要領域でのもの)が日常化していること。
4.標準的なプロジェクト・コントロールはうまくいかないと判断される状態になっていること。
プロジェクト復旧の具体的なステップ
4つの具体的なステップ
1.行動や代替案を特定すること
2.具体的行動や代替案を実行すること
3.計画をモニターすること
4.仕様と代替案をコントロールする
○プロジェクト復旧マネジャー
◆よく若林さんなんかがやっている
第一の使命
具体的なアクションをとるために、プロジェクト回復におけるリスクを的確に定義し、識別し、評価することです。
プロジェクト復旧計画は明確に記述し、社内の上級幹部の承認と指示を得るようにしなければなりません。
復旧計画の重要な要素は、そのプロジェクトに対する評価結果とその結果を取り込んだ復旧計画とプロジェクト復旧マネジャーがレビューすること
↓
◆復旧計画を策定したら、実行段階では、プロジェクトメンバーと頻繁に進捗レビューを行うこと!
○復旧マネジャーは進捗のレビューと将来におけるリスク評価とに重点を置かなければなりません。
↓
○復旧マネジャーは詳細な記録を行い、復旧計画中の活動項目にかかわる支出を追跡しなければなりません。
復旧マネジャーが重点をおくべきもう一つの事項は、上級幹部、機能部門マネジャー、発注先業者、その他のステークホルダーとのコミュニケーション・ラインのすべてが有効に存続していることを確認すること
復旧マネジャーは、ステークホルダーが要求するコミュニケーションのタイプや頻度を承知していなければなりません。
必要な情報をプロジェクト・ステークホルダーにタイミングよく提供するために、ステークホルダーの情報要件分析を用意しましょう。
「復旧作業の必要性や状況について話しておくべき人として他に誰がいるだろうか」
復旧作業のストレスにさらされている状況の下で、チームは日々の活動に追われて重要なステークホルダーを見逃しやすい
○復旧マネジャーに必要な個人的資質
?リーダーシップ・スキル
・チーム・メンバーを動機付けし、困難な決定をすること
・タイムリーな目標達成に作業グループが責任を感ずる状態にすること
?対人関係スキル
・コンフリクトの解消
・欠点探しや誹謗・中傷の起きないチームの雰囲気の醸成
?顧客サービス・スキル
プロジェクト復旧マネジャーはチームの過去の実績を守ろうとするのではなく、顧客のニーズや関心事を理解するよう努めなければなりません。この時点でチームを守ろうとすれば、顧客とチームの間に「そうですが・・・しかしながら・・・」という相互の関係を作ってしまい、堂々巡りとなり、プロジェクトをもとに戻すための役には立ちません。
気をつけるべき点
過大な約束をする傾向を避けなければならない
・英雄として見られたいという自己の欲求を見極め、監視すること
・達成可能なことが分かるまで、顧客にその現実的期待を持たせないこと。
・回復の可能性の限界や程度を正確に記述する一方、顧客のためにできることとやりたいことを明確化して、積極的かつ現実的なレベルのコミュニケーションを実施すること
?積極的コミュニケーション・スキル
プロジェクトふっきゅマネジャーは、積極的にプロジェクトの主要ステークホルダーに手を差し伸べてコミュニケーションをはかるべきです。このための努力としては、最新情報を定期的に用意し、経営幹部や顧客と頻繁に交流することがあります。
○キャリア・マネジメントと人間観
いつも最新の履歴書を準備する
結果重視の履歴書
・目標を設定してそれを達成できたことを示している。
・「拡大した」、「改善した」、「開発した」、「削減した」、「達成した」、「構築した」などの動詞を使っている。
・リストアップした達成事項を定量化し立証するために数字を使っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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