魔法の声

  • WAVE出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (637ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872901719

作品紹介・あらすじ

少女メギーの父モーは、物語の登場人物をこの世へ呼び出す魔法の声を持っていた。9年前、その声に呼びだされてしまった登場人物と引き替えに、母親が物語の世界に消えてしまった。そんな事情を知らされていないメギーは父と叔母とともに『闇の心』というおはなしから飛び出た悪者に連れ去られ、悪と立ち向かうはめに。名作がたくさん出てくる「本」をめぐる冒険ファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • 本の世界から人物や物を出現させられる魔法の声。その能力ゆえに、自分が出現させてしまった極悪人に狙われてしまう魔法舌。

    幼い頃に母を失い、父モーと二人暮らしのメギーのもとにある日見かけない男が訪ねてきて…モーを魔法舌と呼ぶその男(ホコリ指)を不審に思うメギーの嫌な予感は当たり…

    久々の長編ファンタジー。話に入り込むまでは読み辛かった…!ピーターパンや宝島、千夜一夜物語、ジャングルブック等懐かしいお話が登場してからは加速出来たけど、映画化もされているようなので映画で観る方が魅力的な作品なのかもしれない。子供の頃のようにあちらの世界にトリップできないと醍醐味は薄れてしまうのかな。

  • さすがコルネーリア・フンケ!
    ドイツの著名な人気作家の作品です。
    本好きのハートを鷲づかみにする内容。
    児童文学ですが、子どもだけに読ませておくのはもったいない!

    少女メギーは、父親のモー(モルティマ)と二人暮らし。
    母は幼い頃に遠くへ行ったと聞かされています。
    大好きなモーとすばらしい本と一緒なので、メギーは寂しくはありません。
    色々なお話をしてくれる優しいモーですが、本の読み聞かせだけはしてくれたことがない。
    モーは本の修復が仕事で、小型バスに乗って各地へ移動。
    まるで何かに追われるかのように、突然、転校することも度々でした。

    ある日、「ホコリ指」と名乗る火を操る大道芸人が訪れます。
    それが恐ろしい事件の始まりでした。
    モーはすぐにメギーを連れて、メギーの母の叔母だというエリノアの邸に向います。
    古い大きな建物には本がいっぱい。一人暮らしのエリノアは、ちょっとブルドッグに似た気難しいおばさんでした。
    ところが、落ちつく間もなく、モーが何者かにさらわれてしまいます。

    カプリコーンという悪者が欲しがっている貴重な本。
    「闇の心(インクハート)」は一緒に持って行かれたはずが、実はエリノアがすり替えていたのです。
    メギーとエリノアは、ホコリ指と共に、モーを助けるため、カプリコーンの住む村へ。
    カプリコーンは山賊の首領のようなもので、一味以外には住む人もいない寂れた砦に暮らしていました。

    ところが、見るからに冷酷なこのカプリコーンは、もともと問題の本の中の登場人物。
    9年前のある日。モーがその本を読んだときに、あまりにも臨場感たっぷりに読んだためか、登場人物を呼び出してしまい、その代わりに、メギーの母が本の中に入ってしまったらしいのです。
    モーのことを魔法舌と呼び、魔法使いと信じる一味。
    カプリコーンの要求は、もっと役に立つ存在を呼び出すこと…
    モーの代わりに少し力のあるダリウスという男を見つけていたのだが、大した物は呼び出せなかったのだ。
    カプリコーンの狙いは、人ならぬ恐ろしい物を呼び出すこと。
    決して、やりたくはない。
    しかも、モーには自由自在に出来るわけではないのです。
    カプリコーンはメギーを人質に、脅しにかかります。

    二転三転する冒険の中で、試される勇気と機知。
    子どもなりに、父親を助けようと必死のメギー。
    一度は逃げ出しますが…
    何とか打開する方法を見つけようと、本の作者フェノグリオを訪ねるモー。
    フェノグリオは孫が3人いるおじいさん。
    一味は作者のことなど大昔の人としか思わず、まさか近くに住んでいるとは考えていなかったというのも面白い。

    いい加減そうなホコリ指が信頼していた砦の下女レサ。
    舞い戻ったホコリ指の頼みで動いたのを、カプリコーンに見つかってしまいます。
    5年前に本の中から出てきたという女性の正体は…?!

    ホコリ指がいつも連れて歩いている角の生えた毛むくじゃらのグィン。いたちと言われていますが~挿絵だとちょっと違う感じ。もともと本の中の生き物なのですが、猫のようにつかず離れず、時々甘えるのが可愛い。
    「千夜一夜物語」の中から呼び出され、ホコリ指に懐く少年ファリッドも泣かせます。

    作者の愛する有名な本がいろいろ登場して話題になり、印象的な引用が各章ごとに。
    懐かしい本もつぎつぎに。どれもすぐ読んでみたくなります。
    はらはらの展開で、リーダビリティがあり、親子の愛情は心にしみいるよう。
    面白かったです!

    • まろんさん
      おお!これ、映画になっているのを観ました!
      映画も楽しかったけど、sanaさんのこのレビューを読ませていただくと
      やっぱり原作のほうが心躍る...
      おお!これ、映画になっているのを観ました!
      映画も楽しかったけど、sanaさんのこのレビューを読ませていただくと
      やっぱり原作のほうが心躍るエピソード満載でおもしろそうですね!
      登場する数々の本や引用も、気になります♪
      2012/09/25
    • sanaさん
      まろんさん、
      あ、映画化されてるんですよね。
      ご覧になってましたかー!
      確かに、映画になりそう…
      ちょっと検索してみたら、なるほど、...
      まろんさん、
      あ、映画化されてるんですよね。
      ご覧になってましたかー!
      確かに、映画になりそう…
      ちょっと検索してみたら、なるほど、これホコリ指ね~とか、わかりやすい。
      映画は少しは端折ってあるでしょうね。
      それに、本のタイトルや一部の引用がまた、わくわくするんです♪
      「グリーンノウの子どもたち」に始まり…
      翻訳されていないのもあるのかなあ。わたし、気になります?!
      オススメですよ~!
      2012/09/26
  • ひさびさに読み応えのあるファンタジーが出てきたぞ、とわくわくしながら読む。懐かしい香りもするし、「はてしない物語」を力尽きそうになりながら読み通した人には、こちらもどうでしょう。エンデと同じドイツの作家さんです。
    ホコリ指が気になる。    (10/23)

    読み終わった!これは面白かった!
    どこもかしこも納得の終わり方。登場人物それぞれが、いいなあ。
    この作者さんの他の本も読みたい。これから楽しみです。   (11/8)

  • 分厚い本だったけれど、どきどきしながら飽きることなく読んだ。とても恐ろしいことがたくさん書かれているけれど、登場人物たちがそれぞれの個性を失うことなくいきいきと行動しているので、こわくなって続きを読むのがためらわれると言うほどではなかった。
    様々な本の引用が各章の頭のところに書いてあるのが良かった。今まで読んだことのある本の文章を改めて見返して、気付かなかったけれどよい文章だな、と思ったり、今度この本を読んでみよう、素敵だな、と思ったり。また、素敵な本がたくさんあるよ、ということを示すことによって、物語を大きなテーマとしたこの本が、ますます面白く読めるようになっていると思った。
    登場人物たちの気持ちは、すごく自然で、いとしいものに思えた。魔法のない世界だって、愛と言葉によって素晴らしくワンダフルなものなのよ、と作者に言われている気がした。

  • 魔法の力を必ずしも自分のために使うことができなかったモー。
    その娘のメギーは、父親と同じ力を持つことを知らないでいた。
    「なんでも思う通りになるのが魔法だ」ということではないことを、嫌と言うほど思い知らされる。
    親娘が、不思議な世界の中に取り込まれていってしまうのと同じように,
    読んでいる自分も不思議の世界の中にはまって行きました。

    続刊の「魔法の文字」まで、一気に読みました。
    ダレンシャン、ハリーポッター以来の速読できた物語です。

    映画も出たので,先に映画を見てから読むのもよいかもしれません。

  • 「どろぼうの神様」でコルネーリア・フンケを知り、期待して読んだ「竜の騎士」で多少裏切られ、期待せずに読んだこの「魔法の声」、星5つ!とにかくシチュエーションが良い!うちの家族も本が好きで、ストーリーに親近感を持ちながらワクワクして読み続けることができた。スローテンポだったので、ラストシーンを読みながら想像できて楽しかった。子供のために本棚に残して置く予定。

  • 本が好きなファンタジーを読む人だったら絶対にハマる。
    各章ごとにその章に合った様々な本の名台詞が記してあってその本全てが読みたくなる。
    帯にも書いてあったが、この作者凄い。
    ホコリ指の行方が気になる。

  • 自分が書いたキャラクターが出てきちゃったらどんな気分になるでしょう(笑)
    とりあえず、さわってみたりして…?
    このお話は本好きにはたまらないです。
    とにかく、あげられる本のタイトルに共感しました。

  • この本は中学2年のときにサンタクロースからもらったんですよ!!
    すごく、不思議な話です。

  • 先に映画を観ていて、原作が気になって読み始めた。
    大雑把な流れは覚えているものの、ハラハラして何度も本を閉じてしまい読むのに時間がかかった。
    怖がりなので特に夜に読んでいると怖さが増した。

    長く楽しめてよかった。

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著者プロフィール

1958年ドイツの西部、ヴェストファーレン州の町ドルステンに生まれる。ハンブルク大学で教育学を修め、卒業後、教育者としての仕事のかたわら、専門大学で本のイラストレーションを学ぶ。当初は子どもの本のイラストレーターとして出発。28 歳の時からは自分で文章も書くようになり、
以後フリーのイラストレーター、作家として活躍している。ドイツでもっとも著名な児童文学作家の一人であり、ウィーン児童文学賞、チューリヒ児童文学賞などこれまでに数多くの児童文学賞を受賞している。
著書に『どろぼうの神さま』『竜の騎士』『魔法の声』『魔法の文字』『魔法の言葉』『鏡の世界』(WAVE出版)などがある。

「2016年 『ゴーストの騎士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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