- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872902488
作品紹介・あらすじ
長いあいだ片想いを続けていたこと、10年後のある深夜に涙の告白をしたこと、おばあちゃんがおじいちゃんのお葬式でつぶやいた切ない一言ほか、しみじみ切ないしみじみ楽しい珠玉のエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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読み終わった後に、はーー、と深いため息をひとつ。
じんわりと温かな思いに浸るのと同時に、心の奥深くにしまいこまれた切なくやるせない思い出に、ちろちろと火がついたような気分です。何十年前になるのだろう、友達以上恋人未満(あっ、懐かしい表現)の関係から、一歩を踏み出せずそのままになってしまった思い出。
SUICAのペンギンにお目にかかることの多いイラストレーターの坂崎さん。はからずもシングルライフを続けていらっしゃる状況を、よくぞここまで赤裸々に書かれたものかと感心することしきり。
「この人が好き」から「この人も私のことが好きかも」との思いに、振り向いてくれることを願って念を送ってみたり。思い切っての告白に「友達のままがよい」との返事。「そうね」とあっさり返すも、後にじんわりとこみあげてくる悲しみ。
同じことを繰り返す生活に疲れ切って倒れ込み、寝込んで目が覚め、目に入った雪景色。静かにこぼれる涙から、号泣。泣き疲れてお腹が空いて食べた、鍋いっぱいのミネストローネ。深く沈み込んだ心を癒してくれるのは本もまたしかり。
副題「恋と本とごはんのABC」の通り、その時々の思いと関連して、読んでみたい、作ってみたい本と料理の紹介がとてもなじみます。
たまには料理もしますが、喜んで食べてくれるかな?という思いを添えて作ることができる相手がいることは素直に幸せです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミムラさんのエッセイで紹介されていた本を偶然発見!
表紙がかわいくてつい買ってしまいました。
優しい語りがすーっと体に入ってきました。
この本を読んでいたら一人でもいっかぁとつい思ってしまいそうになります(笑)
片思いさん・・・各エピソードがかわいくて、切なくてもどかしくて、たまに胸がちくっと痛くなります。
その時々の暮らしや恋愛のエピソードに沿って、本や漫画、レシピがかわいいイラストともに紹介されていてよかったです。
Q「静かな生活」の雪が「降っている」ようにも「昇っている」ようにも見えるというお話、ちょっと泣けちゃいました。
片思いのお話はやっぱり切ないのですが、なぜだか本を読み終わった後はすっきりした気分になるという不思議なエッセイでした。 -
この本のあとにチーバくんを生みだして、イラストの仕事にもますます脂がのってくる坂崎さんですが、あとがきにあるような私をまるごと認めてくれる人にその後出会えたのでしょうか。
本を閉じる頃には切ない気持ちがあふれて、見たことも会ったこともない一人の女性の幸せを願う気持ちになります。 -
ひとつひとつが長くなく、サッと読める。
エッセイ×テーマに沿った本の紹介
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「チーバくん」も「Suicaのペンギン」も彼女のほデザイン、イラストです。1967年生まれ、今年で52歳。文章が上手いね。女の子だと分かることばのはこびかだ。彼女は絵本もデザインから作ってるからか、行間に映像が流れているのを感じる。なんか詩的にも思えてくる。その一端を紹介する。
「長いあいだ、片思いを続けていた。、、、
いつも理由が欲しかった。彼に電話をしていい理由。贈り物をしていい理由。これから本やCDを借りると嬉しかった。、、、彼の出てくる夢を見たいと思った」。彼女は彼とひとつになれることをいつも夢見ていた。「でも、そんなことはできないと知っていた彼は友達の恋人だったから」。
文中に本の紹介もしている。それとそのなかに登場する簡単な食べ物のレシピ。もちろん自分で描いたイラストいりだ。
「猫みたいな女の子になりたかった。しなやかでなめらかな体を持ち、音のない音楽のように優雅に歩く。自分にとって心地よい場所はどこなのか知り尽くしている。寝ること、撫でてもらうこと、愛されることが仕事。仕事とは言え、これはみんな好きなこと。好きなことしかしない。そして何よりも自由だ」。
女子の一人住まいの寂しさと不安感。でも、ひとり暮らしていくなかでも、自分を喜ばせる楽しみをみつけながら励まして今日も生きている。女の子の気持ちと気分が漂っている本でした。 -
A〜Zまで26コの可愛らしく、
胸にやさしく染みこむ小さなお話たち。
それぞれが「幸せ」だったり
「切なさ」だったり、ちょっとした瞬間を
切り取って大事に大事に、
箱詰めしているようなかんじ。
叶わない恋でも、
そのひとつひとつが
宝石のように輝いてる。
文章だけでも素敵なのに、
たくさんの本や料理のレシピが
可愛らしいイラストと共に
載せてあって、満足度120%♪
再読するたびに、
違ったところでじーんときたり、
新たな発見があったりと、
本当に不思議な一冊。 -
こんなにあっさり、短い文で、取り巻く世界を、登場人物像をイメージさせるなんてすごい。紹介されている本すべてを読んでみたくなる。
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「登場人物像をイメージさせる」
そう言ったところから、キャラクターを生み出すのでしょうかねぇ~
「回文の国へようこそ」の脱力さも好き。。。「登場人物像をイメージさせる」
そう言ったところから、キャラクターを生み出すのでしょうかねぇ~
「回文の国へようこそ」の脱力さも好き。。。2012/12/13
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第22回アワヒニビブリオバトル「失恋」で発表された本です。
2017.02.07 -
パートナーがいるって、自分をまるごと受け入れてくれる人がいるってありがたいとことだなって思わされる。でも一人でいる強さが欲しくもなった。自分の樹を大きくしたい。
著者プロフィール
坂崎千春の作品





