【新版】ビッグツリー~自閉症の子、うつ病の妻を守り抜いて~

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  • WAVE出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872904215

感想・レビュー・書評

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  • 図書室のお楽しみ袋に入っていた本。きっと自分では絶対選んでいなかった本だと思う。

    2009年に発行のもの。
    サブタイトルに「守り抜いて」という言葉があったので、ちょっとその言葉に引っかかっていた。自分は家族を守っているぞ〜アピール系かと。すみません、出版社はそんなにアホではないと思います。

    著者が結婚して最初に授かった子どもが自閉症。しかも年子で3人の子どもを育て、そこへ妻の浩子さんが肝硬変を患い、自閉症の息子さんのこともあり、ひどいうつ病にもなる。その間を家事と息子、妻の世話をして仕事もバリバリこなしてたんだから、そりゃ確かにこのタイトルになるよなぁ〜と思いながら読んだ。
    元々佐々木さんが前向きな思考の方だったこともあるけど、物事の解釈の仕方がやはり聡明。中途半端に賢くてプライドが高い人だったら、こんな生き方できないかも。この本出版時は東レの取締役でいらっしゃり、上に立つならこんな人が上司であってほしいと思う。
    ご自身が家族のことでご苦労されたこともあると思うが、家庭に問題を抱えてそれを外に口に出せない人たちがいかに多いか。もっと口に出して助け合うことができれば、どれほど楽になり、救われるか。
    「職場に家庭のことは持ち込むな」と言われることもあるんだろうけど、ある程度大変な状況のときは職場に理解してもらえるように公表しておくのも大事だと言う。ただ、実際に多くの人が家庭の悩みや問題を隠すのは、人のうわさ話のネタにされたくないとか、未だに理解されないうつ病やひきこもりや、癌だって隠しておきたい人もいるだろうし、自分の足をすくわれるようなことは言いたくないからじゃないだろうか。心無いことを言う人はたくさんいるし、それを流せるだけの懐の深い人ならいいけど、私は自分の病気のことは直属の上司にしか話していない。
    そういう理解が進まず生きづらさを抱えてる人が多くなってしまっている社会のあり方が、そもそも問題なんだと思う。佐々木さんみたいに、地位のある人がそれを語って実践してくれることが、社会の前進になるんじゃないだろうか。

    出版から10年。依然生きづらさは増すばかりだが、こういう考え方をしている人がトップにいるということが、救いであり、希望にもなる。
    ちなみに今はご自身で会社を立ち上げ、全国でご講演されているとのこと(ネットで検索)。
    いつかうちの職場でも講演してほしいな。

  • 書評】ビッグツリー/佐々木常夫

    最初に佐々木常夫さんの本を読んだのは仕事術の本でした。その頃私は管理職になり仕事術に興味を持ってさまざまな本を読み漁って仕入れた仕事術を試してみて、その成果をブログに書いたりしていました。

    その中で佐々木常夫さんの本「部下を定時に帰す仕事術」「そうか君は課長になったのか。」は大変わかりやすく様々な知見に溢れていたのです。そもそもマネジメントで1番大事なのはタイムマネジメントだと思っていたのですが、佐々木さんは自閉症の息子さんとうつ病の奥さんを抱えて、いやがおうでもタイムマネジメントをして早く帰らなければならなかったのです。そのタイムマネジメントの実践は大変参考になりました。

    感想をTwitterか何かに書いたところ出版社の担当の方が見つけて、会社に来てお話をしたことがあります。その時にこの本「ビックツリー」を献本していただきました。

    しかし私は今までその本を積読していただけでした。自閉症の息子さんとうつ病で自殺未遂をした奥様のお話を読む事はなんとなく気が重かったからです。

    先日佐々木さんの講演会がありました。佐々木さんはもう74歳になられ、思っていたよりも老人だったので少し驚きましたがそれだけ時間が経ったと言うことです。佐々木さんの新しい著作「人生は理不尽」は70代になられた佐々木さんが自らの体験に基づいて晩年の生き方を指南する、老後が明るくなる本でした。佐々木さんの話を聞いて、改めて佐々木さんの人柄を感じ、積んであったこの「ビッグツリー」を読みました。やはり佐々木さんの半生は想像以上に大変なものでした。それなのに常にポジティブで「いつか必ず良い時が来る」と信じて前向きに生きていました。

    「ビッグツリー」には家族の方が書かれた手紙もそのまま掲載されていて、通勤電車の中で読んでいた私は思わず涙が流れました。素晴らしい家族です。

    自分の半生を振り返ってみると、こんなにも家族への愛情を注いではいなかったと残念に思いました。まだ時間はありますから、これからは家族のことをもっと考えて、大事に時間を過ごしていきたいと思います。そして超ポジティブに、つらいことがあってもめげることなく、生きていきたいと強く思いました。

  • 「働く君に送る25の言葉」、
    「そうか、君も課長になったのか。」
    に続いて、手にした本書。

    自閉症のお子様と
    鬱に悩まされ自殺、入退院を繰り返す妻。
    一生懸命働き、家事をし、東レグループの社長になり、
    家族の再生を果たしたスーパーマン。

    本書の最後に、作家のよしもとばななさんが、
    著者をこのように評しています。

    愛とはひたすらに責任をとること、
    人生とはひたすらに健全なもの。

    人としての素晴らしさが溢れています。
    著者の苦労に比べれば、自分の苦労なんて、
    ちっぽけで、まだまだやれることがある!と励ましてもらえます。


    運命を引き受けなさい。それが生きるということです。

  • 佐々木常夫さんのはじめての本。
    『部下を定時に帰す仕事術』を読んでいたときに
    「なぜこのひとは妻の鬱・病気や息子の自閉症をあっけらかんと… というか当人たちへの配慮が足りないほど明るく書くのだろう」と、すこし嫌悪感を抱いたため、『部下を定時に帰す仕事術』を中断して読んでみました。

    あっけらかんとする前の苦悩や、家族みんなで乗り越えてきた壁などが書かれています。

    本田健風に言うと、「人間関係は対角線にプロットされる」ってカンジのご夫婦かなぁと感じました。


    家族みなさんとても文章が素敵なのが印象的です。

    オススメします。

  • チェック項目19箇所。自閉症の子供のことでの幼稚園での理解・・・当時は難しかった。記憶力は抜群。IQテストで100を超えていたので障害者手帳を認定してもらえず・・・精神障害で認定を受けられた。朝5時半起きで朝食作り、出社は一時間早い。家事も仕事もマネジメントしている。長男のいじめ問題にはクラスの生徒を全員自宅に呼んで話すこともあり(いじめがなくなることはない)。母親の不調と子供の不調・・・。未来志向の佐々木さん、妻は過去を引きずる。子供たちの協力。妻の本当の気持ちを理解できなかった。人としての生き方に信念があり、説得力がある(娘より)。長男の話を愛情を持って聴けたのが次男。家庭の悩みを隠さず会社に相談する。最低7時間は睡眠をとる。うつ病・・・推定500万人、アルコール依存240万人、引きこもり、不登校120万人認知症180万人。知的障がい者はどの国も国民の2%くらいの割合でいる。周囲の人たちに優しさや思いやりを教えるための”神様からの贈り物”。

  • この人がこんなに動いているのに対し、私は一体何をしているんだろうと思わざるを得ない。著者の仕事に対する執着心(愛情)は並々ならぬものがあった。
    情熱、愛とはどういうものかを感じ、守るものがあると強くなれるのだと痛感した。著者のおっしゃるとおり、幸せの形はさまざまであり、著者ほどの繁忙に耐える自信はないが、バタバタとあわただしい毎日の中、戦友ともいえる家族がいて、つかの間の幸せがあるというのも憧れるものがある。

  • 佐々木さんとは状況が全く違うが、うちは精神的病を抱えた嫁と
    元気3歳の娘がいる。嫁の病気が治らず困っているけど、この本を読んで自分の足りなさが分かった。仕事に家庭に全力で向き合っている佐々木さんに感銘を受けた。

  • 以前から読んでみたいと思っていた東レ経営研究所社長の本。よくぞ辛い時期を頑張ってきたとも思うし、仕事が心の救済場所だったからこそ、副次的に出世したのだろうなとも思う。

  • 凄いの一言.こんなに苦労人がいたのかと感銘した.楽して出世しようと思っている人に読んでもらいたい.

著者プロフィール

秋田市生まれ。株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役。
69年、東京大学経済学部卒業後、東レ株式会社に入社。家庭では自閉症の長男と肝臓病とうつ病を患う妻を抱えながら会社の仕事でも大きな成果を出し、01年、東レの取締役、03年に東レ経営研究所社長に就任。内閣府の男女共同参画会議議員、大阪大学客員教授などの公職も歴任。「ワーク・ライフ・バランス」のシンボル的存在である。
著書に『ビジネスマンが家族を守るとき』『そうか、君は課長になったのか』『働く君に贈る25の言葉』『リーダーという生き方』『働く女性たちへ』(以上、WAVE出版)、『ビジネスマンに贈る生きる「論語」』(文藝春秋)『それでもなお生きる』(河出書房新社)『実践・7つの習慣』(PHP研究所)『上司の心得』(角川新書)『50歳からの生き方』(海竜社)などがある。
2011年ビジネス書最優秀著者賞を受賞

「2022年 『佐々木常夫手帳 2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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