完全版 ビッグツリー~自閉症の子、うつ病の妻を守り抜いて~

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  • WAVE出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872905496

作品紹介・あらすじ

妻の入院43回、6度の転勤、激務・家事・看護、自殺未遂、そして…。働きながら家族再生を果たした感動の物語。大幅加筆の決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 自閉症の長男の下に年子の男の子と女の子の3人の子供がいて、妻が肝炎を中心に43回の入退院を繰り返したうえにうつ病を併発し、何度か自殺未遂を図る。その間に、本人は東京と大阪の間の転勤を6回繰り返す。仕事は手を抜かず、優秀でもあったのだろう、東レという大きな会社で、事務系同期の中では、トップで取締役に就任する。
    一読、「自分にはこの生活は無理」と感じる。よくも、本人がつぶれずに、こういうことを続けられたものだと思う。素直に尊敬する。

    が、読みながら微妙な違和感があったのも確か。感情移入できないのだ。
    ところが、見事だな、と思ったのは筆者自身が「あの頃の自分は悲劇のヒーロー気取りだった。仕事をするのと同じような完璧さを求め、たった一人で家族を全て支えている気になっていた」、というような自己分析している点で、これで自分の違和感の正体も分かったような気がした。
    取締役就任から2年後、筆者は東レの関係会社であるシンクタンクの社長に就任する。サラリーマンであれば分かると思うけれども、これは明らかな左遷だ。ところが、この頃から筆者の妻のうつ病が好転し始め、今では普通の人に近いところまで回復している。筆者の忙しさが減り、肩の力が抜けて、それが妻に対する態度に変化をもたらし、それがひいては妻の病気に好影響を与えた、というようなことなのだろう。
    悲劇のヒーローのつもりで肩を怒らせながら、出世も家族の世話も必死でやっていた時よりも良い結果をもたらした、というのは、やや皮肉な気もするけれども、そんなものかもしれないな、とも思う。

  • 東レの役員であった佐々木さんの訪問。家族がうつ病になったり自殺未遂を起こしたりなどとする非常に厳しい状況の中でも仕事に正面から向き合ってこられた佐々木さんの自叙伝。内容として感じる事は多かったが、自分とは状況が違うためどのように自分に反映させるかについて少し考えが必要だと考えながら読んでいた。

  • 「運命を引き受けよう」という言葉が力強くて心に残った。

  • 三人の子供に恵まれたものの長男は自閉症、妻は肝硬変と鬱病を併発し数度の自殺未遂、末の娘も自殺未遂。家族を支えながらも東レの取締役まで出世した人の実話。

    家族を諦めない姿に脱帽


    自分の家庭のマネジメントを放棄している男性が、会社の中だけで女性のマネジメントをしようと思っても、土台、無理な話である。

  • できる夫,父,職業人としての役割を責任もって果たしている.確かにやることはやって何の文句があるんだという感じながら,一緒にいるのは疲れるなぁと思った.

  • やっぱり肝は徹底的な効率化と計画、ってことか。しかし…半端ないな。
    他の本も読んで見たい

  • 佐々木常夫氏の講演を聴く機会があり、この著書を購入。著者の生き方の全てに共感する分けではないが、この本は私にとっては読む価値は十分にあったと感じた。何を優先と考え生きていくか、改めて考えるきっかけとなった。

    家庭の事情は壮絶としか言いようのない状況であったが、効率重視の仕事術を徹底し、会社の中でも成功しつつも、精力的に家族の支えとなる行動をしてこられた姿は、並大抵な覚悟では真似はできないものと思われる。少なくとも気力はあっても私自身は実践するだけの体力に自信がない。

    仕事のスタンスについては非常に共感する部分があり、目標にしたいと思っているが、残念ながら家族に対するスタンスは、著者の方法がベストだとは思えなかった。子どもへの対応は素晴らしいものではあったものの、奥様に対しては少し疑問を感じる。奥様が最終的に一命を取り止めてはいるものの、その結果は運によるものであり、著者も鬱についての正しい理解をしていたとは思えない。もし理解していたとするなら、奥様のことはあきらめていたものと考えられる。人が自殺を試みる心境はやはり尋常ではなく、決して放置して良いものではない。奥様の命と仕事を天秤にかけて仕事をとっていたことは否定できないだろう。最終的に著者は奥様の回復により、より多くのことを学ばれ、結果本書を執筆されているとは思う。

  • この人凄いなぁ。でも誰でも真似できることでは無いと思うが、理路整然とした考えの持ち主なんだろうなと思う。運命を受け入れる生き方は真似したいと思う

  • 「実践 7つの習慣」を読了し、佐々木常夫さんご自身の人生についてとても興味が湧き、購入。
    大企業東レで出世街道を驀進しながら、ご家庭で起こる数々の困難について赤裸々に著されている。
    格好付けた自叙伝でも、成功体験の過程の苦労話でもなく、起きたことをありのままに書かれているという印象。
    この本に著されている内容そのものだけでなく、そのエピソード1つ1つの、決して順風満帆ではないであろうバックグラウンドを更に想像させられる。
    良くも悪くも、数十年の間に起きたとても濃い内容を、僅か230ページ少々の本にエッセンス的に並べられているような印象を受けた。
    この本の内容ありきで、佐々木さんのビジネス系統の御著書を読むと深みが出るのだろうな・・・ということも思う。

    家族とは何なのか、家庭とは何なのか、運命とは何なのか、人生とは何なのか。
    波乱に満ちた佐々木さんの半生を垣間見て、良く考えさせられた。

  • 会社人間が美徳とされてきた日本社会。
    結果、戦後の日本の繁栄を見れば結果的には素晴らしい発展を遂げてきたことはわかる。
    しかしながら、その裏で「声をあげてこれなかった」人々が多くいたいたのではないだろうか?
    筆者が自分の家庭事情を世間に発表した後の、反応を見れば今まで陰に隠れていた日本社会が見えてきた気がする。
    自分ももう一度家庭とは・家族とはどういったものがいいのか考えてみよう

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著者プロフィール

秋田市生まれ。株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役。
69年、東京大学経済学部卒業後、東レ株式会社に入社。家庭では自閉症の長男と肝臓病とうつ病を患う妻を抱えながら会社の仕事でも大きな成果を出し、01年、東レの取締役、03年に東レ経営研究所社長に就任。内閣府の男女共同参画会議議員、大阪大学客員教授などの公職も歴任。「ワーク・ライフ・バランス」のシンボル的存在である。
著書に『ビジネスマンが家族を守るとき』『そうか、君は課長になったのか』『働く君に贈る25の言葉』『リーダーという生き方』『働く女性たちへ』(以上、WAVE出版)、『ビジネスマンに贈る生きる「論語」』(文藝春秋)『それでもなお生きる』(河出書房新社)『実践・7つの習慣』(PHP研究所)『上司の心得』(角川新書)『50歳からの生き方』(海竜社)などがある。
2011年ビジネス書最優秀著者賞を受賞

「2022年 『佐々木常夫手帳 2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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