- Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872907414
感想・レビュー・書評
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ものたりないところもあったけど、気軽にハイデガーのことを知りたかったので面白かった。
ハイデガーが唱えたことは大したことではないように感じるかも知れない。
けれど、それは今だから言えるんだろう。
最初に発見した人は偉大だ。
私が私としてこの世界で生きて感じていることの中には、ハイデガーがいたからこそあるものもあるんだろうな、と思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『存在と時間』に何度も挑戦して、挫折しています。イギリス人らしく、冷めた目線で、広い視野を感じさせます。ハイデガーの生涯にそって、その哲学的思考を追います。もちろん、ハイデガーが理解できるようになるわけではありませんが、心理的に開放感がありました。人間的には、とても嫌な奴だと(前々から感じてはいましたが)納得しました。
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ハイデガーの哲学は難しいと言われるが確かにその通りで、何を言っているのかよく分からなかった。ただ、言葉の選び方、使い方を見ると、どうも本人でさえ何を言っているのか分かっていなかったようにも思える。漠然と感じている不安、おそらく「どうしてここに居るのか」の類と推測できるが――をどうにか伝えようとした、ただそれだけのようである。
ハイデガーといえば思想そのものだけでなくナチ党に入党したことも批判されている。ナチ党に関しては多くを語っていないため想像するしかないが、おそらくこれも「存在」に対する不安によるものではないかと思う。WW Iの敗戦や、それにともなう非ドイツ的なもの流入によってドイツ人の存在が脅かされているとハイデガーは感じていたようで、民族衣装をまとって講義をするなどことさらドイツ人であること強調していたが、これも不安の裏返しだったのだろう。自身の存在をどうにかして繋ぎ止めるための抵抗だったのかもしれない。とにかくドイツ人であろうとしたことは間違いなく、そのようなときに、ドイツ人の優越さ、強さを掲げたナチ党にシンパシーを感じたとしても不思議ではない。
その人生を振り返ってみると、当時のドイツを覆っていた不安を体現したかのような存在であるように感じた。ハイデガーの難しさはテーマの難しさだけでなく、その時代を体験していないためにハイデガーの感じた不安(疑問)を共有できないために生じる難しさのように思えた。