ゲームストーミング ―会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム
- オライリージャパン (2011年8月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784873115054
感想・レビュー・書評
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プロセス思考からゲーム思考へ知識労働(ナレッジワーク)を実践する「やり方」のヒントがある。
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BAのフローを、開幕⇒探索⇒閉幕という3つに大分した中で、それぞれのフェーズで使える87のゲームが満載。ゲーム、という言葉自体の定義もきちんとなされている。普段使用している付箋⇒共有⇒分類⇒考察、といった手法などにもきちんとその目的や効果などが説明されている。実践向きの本。
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本書のポイントは次の二つ.
ワークショップやファシリテーションをゲームという視点からとらえていること (第1~3章). もう一つは, よく知られたものもあまり知られていないものも含めて, ワークショップやファシリテーションのやり方の広範なカタログ (87種類) になっていること (第4章).
ただしカタログはそれぞれについて1~4ページ割かれているいるだけなので, ゲームの「本当のルール」を知って, 実際にゲームをするには足りない部分も多いだろう.
もう少し「ゲーム」の意味を掘り下げて欲しかったし, 個々のやり方に帰着させてしまうよりもより一般的な「ゲーム」について知りたかったという意味では, 謳い文句ほどには自分の期待を満たさなかったが, ワークショップやファシリテーションの必要性を感じている人にとっての入口としては悪くないと思う.
基本的には知識労働をある種の (ゴールもルールも固定されていない創発的/即興的な) ゲームと考える, いわゆる「アジャイル」な手法 (特にA.コバーンなどの) と通底するものだ.
もっともワークショップやファシリテーションをゲームとしてとらえてしまうこと自体についてはいい点も悪い点もあるはずだが, 悪い点についてはあまり書かれていない.
本書内でも取り上げられているが, 「問題解決のための高速思考ツール」は, もっと具体的なカード・ゲームを問題解決という視点から紹介しており, 次にはこちらを読むのもよいかもしれない.
(「パタン」と「ゲーム」という二つの考え方には共通点がありますね. その宣伝的な使われ方にもね) -
(感想)
創造的な仕事ではゴールを前もって正確に定めることができないため、従来の原因と結果の確実な連鎖をつなぎ合わせるプロセスは通用しないという。
あいまいなゴールへ向かうためにはゲームやシミュレーションが有効だと著者は主張し、創造的に発想するのための手法やワークショップを「ゲームストーミング」と呼ぶ。
1,2,3章が考え方と組み立て方を解説し、4章からは様々な手法を紹介している。膨大な方法が紹介されていて、かなり役に立つと思う。
実は個々の手法よりもなによりも、実践におけるファシリテーションや、手法をどのように組み合せゴールに適したものとして構成するかが重要で、ゲームストーミングを「使いこなす」には実践を重ねてそれなりに経験を積む必要があると感じた。
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