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- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784873761053
感想・レビュー・書評
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「ミツハル、滔滔数万言の文字としゃべくりにもかかわらず、おぬしが最後のことばを保留しつづけた気持ちをわかっている人間はそれほど多くはいない。二番手の札は惜しげもなく威勢よく切って見せて、とことん一義的な真実の札はかくす。肉親や恋人や親友にはいっそう深くかくす。それが井上光晴という人間の構造の急所、存在をぎいとあげる際の鍵穴の暗さだからな。おい、ミツハル。生死の谷をわたる窪地の演説で何をしゃべった。ここにいる人間たちのことをどういった。わかっているよ。一人の例外もなく全員に向かって赤い舌をぺろりだろう。だが最後の一頁をわざと白いままにしておいた作家は、ほんとうに作家なのだろうか。おもしろい問題だねぇ。」
谷川雁の弔辞より。詳細をみるコメント0件をすべて表示