- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784874249246
作品紹介・あらすじ
なぜ皆、こんなにも「させていただいて」いるのか? 敬意不足が気になってつい使ってしまう現代人に贈る論文集。時空を旅し、辞書から漫才、食べログ、歌詞など探索し、「一人勝ち」の原動力を考えながらその正体に迫る。
■「はじめに」より
授受動詞には「やる・あげる・さしあげる」「もらう・いただく」「くれる・くださる」という3系列7動詞があり、本動詞としてだけでなく、他の動詞の後ろにつく補助動詞としても使われている。本書は、補助動詞として使われている授受動詞、特に「させていただく」に焦点を当てて、さまざまな分野の言語学者が各自の専門の視点から分析した論考を集めた論文集である。
(中略)
本書の特徴は、普段なら同じプラットホームで議論を交わすことのない異なる専門領域の言語学者たちが集結し、もっぱらモラウ系ベネファクティブ「させていただく」について論じた点にある。これほどバラエティに富んだ専門分野の研究者が一堂に会し、同一テーマを論じたことがこれまであっただろうか。執筆者の方々には、「させていただく」研究の決定版を目指した『「させていただく」大研究(仮)』への執筆を依頼した。今、その(仮)を取って、本書のタイトルとして掲げたい。(ただし、「させていただく」があまり使われていない時代や分野の分析を専門とする方には、「ていただく」を論じてもらっている。)
感想・レビュー・書評
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一般的には濫用が目に余るということで知られる「させていただく」ではあるが(私自身も好きではない)、実は敬語体系の穴を埋めるように便利に使われているのではないか、といったさまざまな視点から研究する本。
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思ったよりきちんとした研究書だった。そこまでしっかり知りたいわけではなかったので全体を流し読み。漫才の「やめさしてもらうわ」まで扱われてるのが興味深かった。
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最近やたら耳にする「させていただく」
この言葉に国語学者がまじめに考察した本である。
正直ちょっと難しい。
やや敬意不足に感じる表現で、いまだになじめないが、単語+させていただくで、どのような表現にも適応できる汎用性の高さが、多用される要因か。
いまだになじめないが、受け入れざるおえないのだろう。 -
登録番号:1026983、請求記号:815.8/Sh32
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もはや現代の日本語でこれを使わずに乗り切るのは至難の業ではないかとすら思わされる「させていただく」という表現。聞き手に許可権も迷惑影響も無いような「ご著書を読まさせていただきました」とかは「いや、まぁ公に出版されてる本なんだから勝手に読めばいいんじゃなかろうか」と違和感を覚えるが、本書はそういった過剰敬語表現をあげつらって批判するのが趣旨ではない。本書の正体は十人十色に様々な角度から「させていただく」を研究した論文集。新書のようなカジュアルなテイストを期待して読むとやや面食らうかもしれない。この表現の源流は関西にあるのではないか?という仮説をM-1グランプリや食べログを材料に検証していく第3・4章が個人的ハイライト。とても面白かった。