暮らしのなかの妖怪たち

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  • 慶友社
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本棚登録 : 8
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784874492475

作品紹介・あらすじ

人間は現世で営みをたてるとき、妖怪に特別の感情をもって対応してきた。先行き不安な世情のなかで人びとは妖怪とどのようにかかわればいいのか?暮らしのなかに生き続ける妖怪を取り上げ、分かりやすく簡潔・明瞭に解説した妖怪案内。

感想・レビュー・書評

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  • チェック項目11箇所。妖怪とは何ぞや、妖怪と人間はどう関りをもったのかと思いを巡らせて、その一端を『暮らしの中の妖怪たち』として、平成二年に刊行された、それから二十余年、今、また不景気を実感させられるような世情となり、妖怪が世の関心を得るようになったので、ここにまた前著を増補改訂して版を新たなにして出版する機会に恵まれた。妖怪としてもっとも活躍したのは鬼と天狗で、この両者はなんといっても妖怪の両横綱である、この両者がわが国で人々の眼前に現れるのは、奈良時代を少しさかのぼったころである。河童ほど人びとに親しまれ、もてはやされている妖怪はない、女児の断髪を「お河童」といい、泳ぎ上手の人を「河童」という、少しも気にかけないこと、平気なことを「屁の河童」という、お寿司のなかにも「河童巻き」というのがある、あれやこれや日常生活のなかで「河童」という言葉はよく使われている。座敷童子の由来について、遠野地方などで、家の庭・和泉や村の川・淵から出現した童子というところからも、またオカッパ頭の童子ということからも、河童または水界の小児と関係があるとも考えられている。猫の化けるのを防ぐ手段としては、子猫のうちに尻尾を切って、根元だけをわずかに残しておくとよいという、尻尾の二本に裂けたいわゆる猫股はよく化けるので、尻尾を切るのも猫股にならないようにするためという。昔、自分の産んだ子供だけを愛し、先妻の子供にご飯を与えない母親がいた、そのため、とうとう先妻の子は飢え死にしてしまった、死んで四十九日目のこと、父親が薪を割っていたとき、誤ってこの母親の頭に傷をつけてしまった、その後、傷は少しもよくならず、やがて唇の形になり、歯が生え、舌ができ、ひどく痛んだ、そこに食べ物を入れると痛みがやわらぐので、毎日御飯を入れると、その口から「自分の意地悪から先妻の子供を殺してしまった」という声が聞こえてきた、そうしたことから、この女を「二口女」と呼んだという。妖怪とは、人知で不思議と考えられるような現象または異様な物体をいい、一般には「おばけ」「化け物」などの言葉でよばれているもので、人間に畏怖の念を抱かせるものである。共同幻想・共同幻覚・共同幻聴することによって、妖怪そのものが生活のなかにイメージされ、その妖怪が人間と交渉をもつことになるのである。わが国には古くから捨て子の習俗がある、これは庶民だけでなく、徳川将軍家においても行われていたことが「徳川実紀」などに記されている、「四十二の二つ子」といって、父親の四十二歳に子供が二歳になることが忌まわれ、また子供が産まれても早死にすることも忌まわれた、そうしたとき、その忌まわれる家の子ではなく、寿福の家の子、長寿筋の家の子とするため、産まれた子供を道端に捨て、あらかじめ拾ってくれる長寿筋の人を頼んでおいて、その人に拾ってもらう、拾った人は新しい産着を着せて、こんな良い子を拾いましたと抱いてきてくれるのである。家代々の古い道具ということになると、古い霊がこもっているという考えが生じてくる、ところがこうして再生・補強されない霊があり、また新しい道具が生まれてきて、使われないようになると、古い道具がおろそかにされる、ときには捨て去られてしまう、そうした道具の霊が人間に自己の存在を訴え、あるいは怒り、祟ろうとする。妖怪は本来神であったが、長い年月の間に人間に祀られなくなった神、すなわち零落した神で、山・海・川、里や家屋敷などだいたい棲む場所がきまっていて、そのなかでもとくに聖なる神や零落した神たる妖怪の居場所たる他界で、人間が接触する場所に現れる、それに対して幽霊は死んだ人の霊、すなわち死霊でそれも死後供養をしてくれる人がいなくなって、淋しさや悲しさをもった霊や、この世に怨みをもった霊で、生前の姿や死に望んだときの姿となってこの世に現れる。

  • 妖怪の種類別基礎知識が説話も交えて分かりやすく紹介されている。初心者向け。

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著者プロフィール

1932-2016。国立歴史民俗博物館名誉教授。帝塚山大学名誉教授。専門は民俗学、民具研究。

「2020年 『ビジュアル版 日本の妖怪百科【普及版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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