- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784874984284
作品紹介・あらすじ
警察予備隊発足から60年、核武装を主張し、空自イラク派遣の違憲判決に「そんなの関係ねえ」とうそぶく航空幕僚長が出現、そして、突出する自殺者数・暴行事件・脱走…。いま、自衛隊の中で何が起きているのか-。
感想・レビュー・書評
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ずっと自衛隊員の自殺を追いかけて来た三宅氏の最新刊。その元凶を自衛隊の「腐敗した軍隊体質」にあるというまで突き詰めているのが本書である。
自衛隊の自殺者は多い。2004年度が100人、05年度101人、06年度101人と3年続けて過去最悪を記録し、2006年度の10万人あたりの自殺率は38.6で、一般職国家公務員の自殺率17.1の2倍以上にあたるという。
また、2007年度の数字を見ると、暴力事件での懲戒処分80人。わいせつ事件での懲戒処分60人。脱走による免職326人、そのうち半年以上も行方が分からず免職になった自衛隊員は7人。病気で休職している自衛隊員は500人にのぼっている。
自衛隊という組織の中にある「暴力の闇」。男性の自衛隊員から殴打も含む虐待を受け、声を出すこともできなくなり自殺に追い込まれた女性自衛隊員。異動のはなむけとして15人を相手に格闘訓練と称したリンチを受け亡くなった自衛隊員。先輩の暴行を受け左目を失明した自衛隊員。上司からセクハラされた上に退職強要を受けた女性自衛官の裁判闘争。その上、“臭いものにフタ”をして隠蔽する。
また、制服幹部一佐の年収は1,000万円以上、退職金は4,000万円。そして納入業者に役員待遇で再就職。防衛省との契約高トップの15社に在籍しているOBは2006年4月に475人もいて、三菱電機98人、三菱重工62人、日立製作所59人、川崎重工49人などとなっている。2008年度の1年間で、防衛省と取引のある企業に再就職した制服幹部一佐以上は80人。三菱重工と防衛省との年間契約高は2,700億円にのぼっている。その中で、氷山の一角が贈収賄事件として暴かれている。
そして、そのさらに上に、国会議員になったヒゲの隊長の佐藤正久や田母神空幕長などの組織を私物化する体質と「愛国心の鼓舞」がある。
これらが全て戦前の軍隊組織の体質だと著者は云う。だから、いじめの末の自殺は、結局はこの体質自体を変えない限り止むことはない、というのが素人の私でもわかる処方箋だろう。しかし、その体質は民主党の「政権交代」があっても少しも揺るがなかった。むしろ強化された。ならば、せめて普天間基地の日本からの撤退まで行くような徹底的な「政策交代」が必要だろう。
2013年7月12日読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
3冊目。一章は暴行殺人事件についてと暴行による被害者原告へのインタビュー。二章は上層部の腐敗について。なぜこんな異常が習慣として咎められないか?は、旧日本軍の体質いまだに残しているから、とトップであった田母神俊雄の発言を引いている。女性自衛官をホステス代わりにする?いやこのおっさんには引きますね。
情報非公開を盾にずっと正されない不正の伝統には暗澹とした気持ちになります。こういう指摘を継続する報道は大事だと思う。 -
自衛隊内の暴力やいじめ、腐敗などについて。いじめとかは片方の見解以外の事情があったんだろうとも思うけど、まぁ田母神やら佐藤正久なんかの腐りっぷりはありえんとしか思えんな。自衛官が軍人で軍人は偉いとでも思っているのか?