観光コースでないベトナム 新版: 歴史・戦争・民族を知る旅

著者 :
  • 高文研
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本棚登録 : 36
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784874984574

作品紹介・あらすじ

小国が超大国に勝ったベトナム戦争。あれから40年、戦争の傷跡がいまも残る中、果敢に、ダイナミックに新たな国づくりに励むベトナムの「今」を伝える。

感想・レビュー・書評

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  • 基本的には氏の思想通り、反米・反資本主義・民族主義・伝統重視の視点なのだが、それはそれで良い。一度徹底的にベトナム人視点の戦争の歴史 - フランス、日本、アメリカ、カンボジア、中国との戦争、を勉強してみたい。
    テト攻勢で11人の少女の決死隊、生き残った3人のうちの一人トゥイさんの物語「以前は国を侵略したアメリカを憎んでいました。でも今は平和な世の中になりました。戦争などないのが一番いい」
    虐殺の村ソンミ「いつもなら女性のためにドアを開け老人に席を譲るアメリカの若者が、戦場では女性をレイプし老人を井戸に放り込んだ」

  • ハノイに旅行する前に、ベトナムのことを予習しておこうと図書館にあったこの本を借りた。ベトナム視点で書かれているので、ベトナム戦争の時にアメリカや韓国がやった悪行についても書かれているが、太平洋戦争中に日本がやった悪いことも、誇張して書かれいた。そんな左巻きに偏った本ではあるが、それはそれとして置いといて、ベトナムの歴史や民族を知るためにはいい本だと思う。本の後ろに高文研の他の本の宣伝があったが、従軍慰安婦とか日本軍の毒ガス実験とか、いかにもねえという本が宣伝されていた。

  • e

  • ベトナムの人がいかに強くたくましく、戦争の時代を生き抜いてきたのかがよくわかった。
    著者の語り口、ちと結論付けが早すぎやしないか?と思う節もあるけど、いい本だと思う。勉強になりました。

  •  ベトナムの首都ハノイ、まだ地雷が埋まり、山越えをする密輸商人がいる国境の町ドンダンといった北部から、朱印船貿易時代の日本人町が残るホイアン、チャンパ王国の歴史があるミーソン、ベトナム戦争時代に虐殺の行われたソンミといった中部、そしてホーチミン、ゲリラの使ったトンネルのあるクチ、枯れ葉剤が大量に撒かれ、現在はカオダイ教という新興宗教のメッカであるタイニンといった南部まで、ツアーの観光コースとは一味違う、ベトナム史やベトナム人の生の姿を感じさせるスポットを巡るエッセイ。ベトナムというテーマを扱うこと自体に思想の偏りが出てしまうのかもしれないけど、随所に左向けの記述が出る。
     断片的ではあるけれどもベトナムの歴史もよく分かる、読みやすい本。おれはもともと言語に興味があるので、言語や文字の話がやっぱり面白いと思った。清を破って「ベトナムのナポレオン」と呼ばれたグエン・バン・フエという人物は、「漢字を改造したチュノムを採用して民族意識を高め」(p.32)たらしい。それがフランスの植民地政策によって、「それまで使われていた感じや、漢字を変形させた独自の文字チュノムの使用を禁止し、字体をローマ字に変えたクオックグ(国語)を強制した。以後、一般のベトナム人は漢字を読めなくなる。」(p.80)ということらしい。あとホー・チ・ミンは有名だけれど、ホー・チ・ミンは「精神面でのベトナムの指導者」(p.40)で、ヴォー・グエン・ザップという「実戦での指導者」がいるということを知らなかった。ディエンビエンフーの戦いやベトナム戦争時代のゲリラ戦略、テト攻勢、サイゴン陥落など「すべて彼の軍略」らしい。ちなみにこの人物も「ベトナムのナポレオン」と呼ばれるらしく、ナポレオンはベトナムに2人はいるらしい。読むだけでも特に虐殺の話や国境付近の緊張状態の話などは生々しく、印象に残るものが多い。あとは、いくら仕事とは言え、よくこの人はこんなところに行って色んな人と話ができるんだなあ、とただただ感心するばかりだった。
     おれは今年1月初めに初めてベトナム旅行をし、ホーチミンに行った。3月末にはハノイに行く予定。ホーチミンよりも前に読んでおけばよかった。ベトナムの歴史を知るきっかけとしてとても良い本。(16/01/10)

  •  旅行に行く前に読んだほうがいい。ベトナムの言葉は、漢字でかなり表せるということを知っていればもっと学習が早くできるであろう。

  • タイトルに「観光コースでない・・・」とありますが、本書に限らず本シリーズはどの国の本も観光に活用できます。
    観光というのが買い物やレジャーに特化した定義ならば本書のタイトルは正解ですが、ある国を旅するのに、また街歩きをするにしてもその国の歴史、街の歴史、そしてそこに暮らす人々の歴史を事前に知っていくことは旅(旅行)を充実させるために欠かせないものです。
    前置きが長くなりましたが、本書は大きく五部構成となっており、まずベトナムの現代史からは切り離せないベトナム戦争にまつわる話から始まり、中三部は南北に長いこの国を三地域に分けそれぞれの地域の特徴的な歴史的背景を絡めつつ各地域を紹介しています。最後はベトナム社会のこれからということでベトナム戦争後のベトナム社会、日本との関係について紹介されています。
    全体としてベトナムという国を知るには平易で手に取りやすくおすすめな本書ですが、著者の伊藤氏が随所でベトナム人の素晴らしさを褒める際に、対比として日本とりわけ第2次世界大戦当時の日本というもの、戦後の日本人というものに批判的かつ卑下するようなコメントをしているのが、読んでいて気になりました。

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著者プロフィール

ジャーナリスト。1949年、山口県生まれ。東京大学法学部卒業。1974年、朝日新聞に入社。サンパウロ支局長、バルセロナ支局長、ロサンゼルス支局長などを歴任、40年にわたり主に国際報道の分野で取材を続けた。2014年に朝日新聞退職後も、フリーのジャーナリストとして各国の取材を続け、精力的に執筆と講演を行っている。「コスタリカ平和の会」共同代表。「九条の会」世話人。

大学時代、キューバで半年間、サトウキビ刈り国際ボランティアとして汗を流した。4年生の夏休みに朝日新聞社から内定を得るが、産経新聞社が進めていた冒険企画に応募。スペイン語とルーマニア語の知識があったことから「東大ジプシー調査探検隊」を結成して東欧へと旅立った。東欧では「日本のジプシー」を名乗り、現地のジプシーと交わって暮らした。日本初のジプシー語辞書を作り、帰国後は新聞にルポを連載、ジプシーを扱った映画『ガッジョ・ディーロ』ではジプシー語の翻訳を担当した。ジプシー調査でジャーナリズムの醍醐味を知り、1974年、再度入社試験を受けて朝日新聞社に入社した。

朝日新聞時代も、学生時代の突貫精神そのままに、市街戦の銃弾をかいくぐりながら、そしてときには会社とも闘いながら取材を続けた。フリーになった現在も変わらない記者魂を、本書の随所で感じることができる。

「2019年 『世界を変えた勇気 自由と抵抗51の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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