ケプラーの憂鬱 (プラネタリー・クラシクス)

  • 工作舎
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875021872

感想・レビュー・書評

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  • 2014年神保町ブックフェスティバルで購入。
    伝記小説ではあるが、そこはジョン・バンヴィル。なかなか一筋縄ではいかない。語り方には『海に帰る日』を思わせるところもあったなぁ。
    工作舎の『プラネタリー・クラシクス』は面白いラインナップなのだが、余り見かけないのが残念。ちょっと懐古趣味っぽい装丁も好きだな。

  •  物語は1600年2月、ティコ・ブラーエの亡命先の城館にケプラー一家が到着するところからはじまる。

     ケプラーは貧しい生まれながら大公の慈悲で大学を卒業し、グラーツの修道院付属学校の数学教師におさまる。給料は安かったが天文暦の予言でトルコ軍の侵攻を適中させ(当時の数学者は占星術師をかねていた)、天啓のようなひらめきで書いた『宇宙の神秘』という最初の著書を出版し、持参金つきのバルバラという伴侶もえて息子も生まれた。ところが子供は生後60日で死に、ルター派の信仰に固執したためにグラーツを追放される。妻の父親はケプラーを助けるどころか形だけでもカトリックに改宗しろと口うるさく要求してくる。

     妻のバルバラはもっと口うるさかった。バルバラはケプラーと結婚する以前に二人の夫と死別しており、前夫との間にできたレギーナという娘をつれて嫁いできていたが、彼女の方が収入が多かったのでケプラーは頭が上らない。

     そんな時に届いたのがティコから手伝わないかという誘いの手紙だった。ティコはプラハに亡命中だったので、ティコのもとで働くには勝手のわからぬボヘミアに行かなければならなかったが、妻子をかかえているケプラーにはそんなことを言っている余裕はなかった。

     ティコのもとでもそんなにうまい話はなかった。ティコは慇懃無礼を絵に描いたような男で約束の給料は払ってくれず、ケプラーが信奉するコペルニクスの体系を目の敵にしていた。ティコの城館はティコ一族の他、道化の小人や怪しげなとりまきでごったがえし、神経をさいなまれたケプラーはしょっちゅう癇癪をおこした。

     ティコの突然の死で思いがけず帝国数学官の職がまわってくるが、ケプラーの憂鬱な日々はその後もつづく。皇帝は給料を値切った上に、それさえろくに支払わず、占星術を信じなくなっていたケプラーに占星術の託宣を要求してくる。帝国数学官の豪勢な衣装で故郷に錦を飾ろうとしたが、母親は鼻であしらい、弟たちも知らん顔。長兄の出世を喜んだのは知恵遅れの弟くらいだった。

     ケプラーの生きがいは宇宙の真理の探求と義理の娘のレギーナの成長だけだったが、彼女はさっさと結婚し、バルバラが死ぬと遺産をめぐってケプラーに口汚い手紙をよこすようになる。

     晩年になってもゴタゴタはつづく。ルター派の信仰を守るために職を失ったこともあるというのに、そのルター派から告発され職を失うはめになったのだ。おまけに儲かりもしない民間療法をやっていた母親が魔女の嫌疑で裁判沙汰になり、ケプラーは母親を救うために奔走する破目に。

     なんとも人間くさいケプラーであるが、これだけいろいろあって82歳の天寿をまっとうし、後世に残る発見をしたのだから幸福な一生というべきなのだろう。

  • [ 内容 ]
    「初めに形ありき!」
    宇宙における調和は幾何学に基礎があると信じ、天球に数学的な図形を探し求めたヨハネス・ケプラー。
    本書は、天文学に捧げた彼の半生を追いながら、科学的真理は幻想から生まれることを描いたヒストリオグラフィック(歴史記述的)・メタフィクションである。
    1981年度英国ガーディアン小説賞受賞作。

    [ 目次 ]


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  • 2006/10/9購入

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