- Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
- / ISBN・EAN: 9784875022091
作品紹介・あらすじ
イルカ、ウミガメ、うねる魚の大群…。ここは生命の海「コルテスの海」(カリフォルニア湾)。海洋生物学者スタインベックと仲間たちを乗せたウェスタン・フライヤー号が行く。スタインベックの航海日誌。
感想・レビュー・書評
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第15回アワヒニビブリオバトル「コレクション」で発表された本です。
チャンプ本
2016.07.05詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
四半世紀以上本棚に飾ってます。装丁も素晴らしいし。ワシにとっては決して断捨離できない類の本。工作舎の本には、素敵な魔法が詰まってますよね。
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ノーベル賞作家であるジョン・スタインベックによる、親友エオ・リケッツへあてたメッセージと、海洋生物を求めカリフォルニア湾・コルテス海に、エドをはじめとするメンバーとの航海記です。
海洋生物を求める旅の過程で、航海をするということ、旅に出るという事、そして異なる文化、まったく異なる生態を持つ生き物に触れる中での、人類社会への鋭い洞察が見られます。
単なる航海記でも、生物観察記でもなく、そして異なる民族への探訪記でもない、その中に印象的な文章が多く存在します。
生命への敬意と、社会への批判と、子供たちとの触れ合いを通して感じる人間賛歌と、旅行記にある全てが存在していると思います。 -
スタインベックは知っていても この本は知らなかった。
知り合いの海洋生物を研究している人が、海洋生物を研究しているのなら読んだらと勧められたと聞いて読んでみた。
これは スタインベックの文学形成を知るためには重要な本だ。
社会や人間をかたるとき人間の想念を中心に考えてしまいがちだが、
海洋生物の世界をみると、海の表面からはみえない多様性に富む世界が広がっていることがわかる。(特に沿岸域では)
すると 我々は何もわかっていないという謙虚な気持ちになるのだ。
この起こっていることをしっかり観察しようという態度がのちの大作につながるのであろう。(ただし コルテスの海の執筆は怒りのぶどうより後だが、海洋生物学を学んだのは1920年代だ)
そしてそれは今の我々もおなじ状況だ。
まずは わかっていないと 思え。
海の底の ヒトデや貝が そういうことを教えてくれる。 -
[ 内容 ]
イルカ、ウミガメ、うねる魚の大群…。
ここは生命の海「コルテスの海」(カリフォルニア湾)。
海洋生物学者スタインベックと仲間たちを乗せたウェスタン・フライヤー号が行く。
スタインベックの航海日誌。
[ 目次 ]
わが友、エド・リケッツ
コルテスの海航海日誌(ウェスタン・フライヤー号;イデアとしての舟;ハンセン印の海牛野郎;大蛇・海・月;航海術 ほか)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
本自体はカリフォルニア湾の海洋生物調査の航海記録で1940年代の海洋生物学に興味のある人には貴重(かもしれない)。
海外文学として私にとって特別なのはスタインベックの親友であるエド・リケッツ(通称ドク)の不慮の死に捧げられた「わが友エド・リケッツに捧ぐ」という文章だ。
生物学者として好奇心に満ちた人物の英雄伝エピソードは豪放でステキだ。
「ビールに牛乳を入れたらどうなるか」の研究や「多種多様な女性に魅せられた好色なキリスト」、第一次大戦・第二次大戦のユカイな従軍エピソード・・・。
「与えるのは容易であり、この上なく報いの大きい行為だ。それに引き換え受け取る行為は、自覚と優しさの絶妙なバランスを必要とする。謙遜と機転と、関係を真に理解理解する力が必要なのである。」
エドワード・リケッツとジョン・スタインベックと、私はこの人たちのようになりたい(かもしれない)。