女性を弄ぶ博物学―リンネはなぜ乳房にこだわったのか?

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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875022718

作品紹介・あらすじ

リンネの「哺乳類」(ママリア、字義どおりには乳房類)という新しい分類名は、当時定着しはじめた(乳母ではなく母親自身の)母乳による子育ての流行を色濃く反映していた。革命の象徴でもあった乳房は、いつしか中流家庭内のつつましい良妻の象徴へと後退を迫られてゆく。本書は乳房の形や性器の形状を科学の名の下にうんぬんする博物学者の虚妄と、「自由、平等、友愛」をうたった啓蒙の世紀のジェンダーの罠をあばく。

感想・レビュー・書評

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  • 18世紀の博物学界隈を例に、科学というものは当時の社会規範や常識からの影響から逃れられないという話。なぜ数ある哺乳類の特徴から、リンネは「乳房」を名前に使ったのか。言われてみたら確かにという感じ。

    タイトルの「女性を弄ぶ」というのはちょっと本の内容からずれている。内容を反映させるなら「女性を拒む博物学」と言ったところだろうか。それでもまだ半分しか正しくない。拒まれていたのは女性だけでなく、有色人種も、である。こうしてみると、この本のタイトルもまたジェンダー観の影響から逃れられていないように見える。

    昨今、ダイバーシティがなぜ叫ばれているのかということについて、この本は一つの答えとなるように思える。一方でこの発想は、同じ属性を持つ人は同じ考え方をするということが前提にある。これはこれで役割の押しつけだとか、ステレオタイプがどうとかで批判されないのだろうか。ほら、女性らしい発想を求める、とか嫌いな人多いだろ。

  • 和光460.2//17 2F

  • さまざまな疑問から科学のあり方を考える、読み物としても学問書としても価値のある一冊。

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著者プロフィール

スタンフォード大学科学史教授。科学史および科学にジェンダーの視点からメスを入れ、「普遍的かつ公正な科学」幻想を明らかにし、来たるべき方向を示唆する。性差に配慮した技術革新、「ジェンダード・イノベーション」を提唱し、欧州委員会の協力のもと、プロジェクトを展開。

「2022年 『科学史から消された女性たち 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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