耳ラッパ: 幻の聖杯物語

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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875023739

作品紹介・あらすじ

老女マリアンが友人から贈られた奇妙な耳らっぱを手に、老人ホームで痛快な冒険を繰り広げる。92歳のアリスの大冒険。

感想・レビュー・書評

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  • 92歳で息子家族から厄介払いされるように老人ホームに入れられたアリスお婆ちゃん。その部分のやさぐれた心情描写もクスクス笑えたが、入った老人ホームは想像とはどこか違った雰囲気、個性的な面々になぜか引き寄せられるウィンクする尼僧の肖像画、そして大事件が起こり...その後は聖杯伝説に地球の天変地異とあれよあれよという展開。非常に楽しかったです。幻想というよりファンタジー寄りかしら。こんなにとんでもない展開にもどこか動じないのは、皆お婆ちゃんだからかな、と今1人納得。

  • シュルレアリスム文学。一見すると洋風物語と見分けがつかないので細部に気を配る必要がある。

  • “意識やばい読書会”課題本です。
    面白かったです。
    7歳以上70歳以下は信用ならない……。
    おばあちゃんたち強い。そして素敵。
    何があってもどっしり構えられる、そんなおばあちゃんたち。
    まさか、終末がくるとは思わず、世界は終わって、そしてまた始まるみたい。
    92歳のアリス、楽しかったです。

  • 友人の勧めで図書館で借りてきた。正直、ちょっと期待はずれ。出てくるシンボルも使い古された陳腐なものだし、「フェニストによるキリスト教批判」というテーマとして読んでも、主張内容が古臭くて目新しさも驚きもなく、拍子抜けさせられた。

  • 9/10 読了。
    女性シュルレアリストが書いた聖杯奪還小説。主人公は、キノコや鳩時計を模した棟に変な婆さんばかりが住む老人ホームに押し込まれた老婆マリアン。親友のカルメラに貰った補聴器代わりの耳ラッパを手に、老人ホーム内で起きた毒殺事件の犯人を告発し、食事をボイコット。賛同者たちと夜な夜な集まってビスケットを食べては踊る魔女の集会じみたことをしているうち、元は修道院だったというこのホームの秘密を知る。
    一行ごとに話がぶっ飛んでいくのであらすじを書くのが難しい(笑)。マリアンはかつて修道院を仕切っていたシスターが異端に通じていて、男装してテンプル騎士団にまぎれ込んでまんまと盗んできた聖杯をローマ教皇に奪われてしまったということを知る。そしてホームの地下に続く階段を降りて大釜をかき回し、もう1人の自分=シスターの姿を見るのだが、地上に戻ると他の老婆も全員同じイニシエーションを受けていたのだと語る。錬金術的な話なんだけど、肝心の聖杯は三行くらいであっさりと奪還する(笑)。
    シスターが起こした数々の奇跡はブッツァーティの「モレル谷の奇跡」みたいだし、カルメラの趣味は電話帳で見つけた適当な名前からその人の細部に渡るプロフィールを勝手に妄想して手紙を書き、実際に送りつけることで、そのために大使館から名簿を盗んだりしてる(笑)。おばあちゃんファンタジー(というジャンルはないと思うが)が好きな人は絶対に好きだと思う。

  • 息子夫婦から邪魔もの扱いされ、老人ホームに送り込まれる老女マリアンの一人称ナレーションで語られる、実に楽しい小説らしい小説。

    序盤は、いかにも老人らしい突飛な連想と、耄碌したとしか思えない(しかし、ストーリーを追うのが辛くならない程度に)脈絡のない筋運びが、人生を達観したマリアンの老境をいきいきと描いて秀逸。老人ホームの食堂に飾られた妖しい尼僧修道長の正体を明らかにする作中作あたりから物語は不思議な色を帯びはじめ、やがて世界に地軸変動による天変地異が訪れて、いつの間にかあのほのぼのとした老人ホームは、聖杯、7人の魔女、大釜、蜜蜂、人狼、箱舟などが跋扈する完全な幻想小説の世界へ。年老いた女性の霞がかかったような一人語から、同じく霞がかかった幻想世界へのトランジションが見事だ。

    著者のレオノーラ・キャリントンはシュールレアリズムの画家としても有名な人らしいが、さもありなん。

  • 今年はシュレアリスム宣言90周年。
    記念すべき年の幕開けは幻想たっぷりの本から。こういうの大好きと言いたいけど変人扱いされるから黙って楽しもう、そんな茶目っ気たっぷりの内容でした♪(´ε` )

  • 何だこりゃ。90オーバーの老婆マリアンが家族から邪険に扱われ、老人ホームに送られるペーソス漂う物語の思いきや中世の古書が登場してから一変、マリファナに興味を示しハンストを決行するハイパーおばあちゃんと化し、天変地異やら聖杯戦争が飛び出しては唐突に終わるという、耳ラッパどころか頭パッパラパーなぶっ飛び小説。シュールレアリズムの影響下にある反キリスト的モチーフを忍び込ませた幻想小説という枠に該当するのだろうが、なぜか読了後はコンピュータおばあちゃんの曲が脳内で流れ出してました。しかし耳ラッパの語感の良さは反則

  • 聖杯やアーサー王伝説だけでなく、ギリシア神話やエジプト神話、その他もろもろをぶっ込んでキリスト教を嘲笑うシュールな展開に唖然。またその勢いを担うのが老婆たちときた。老人ホームに追いやられる身を嘆くことから始まるものの、文章がもうすでにせわしなくあちらこちらに飛び跳ねて足が地につかない状態のため、結局最後まで落ち着かないまま引きずられるはめになった。個人的にはモチーフなどは非常に好みだし、予想のつかない方向へぐいぐい押しだされるぶっ飛んだ流れも好きなのだが、癖のあるノリだけについていけるかどうかで評価が分かれそうだ。

  • 過去に読んだ本。

    シュルレアリスムの画家の展覧会に行って、その時に買ってきた本だったように思う。

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