普通のデザイン: 日常に宿る美のかたち

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  • Amazon.co.jp ・本 (138ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875024026

作品紹介・あらすじ

刺激的で普通でないものが溢れ続ける現代文明…このままでは、デザインの被害者が続出する。デザインの本来を問い、デザインの将来を読む…世界各国で行われたUCHIDAデザイン講演録。

感想・レビュー・書評

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  •  著名なデザイナーによる講演集。「第一章 森林に覆われた風土」では堂々と日本文化論に踏み込んでいたので購入した。

    【書誌情報】
    日常に宿る美のかたち――普通のデザイン
    著者:内田 繁(1943-) インテリアデザイナー。
    編集:米沢 敬
    編集協力:長谷部匡+佐賀麗菜(内田デザイン研究所)
    エディトリアル・デザイン:宮城安聡+小沼宏之
    定価:本体1800円+税
    版型:A5変型/上製 140頁
    発売日:2007.6[2019.4.10 第5刷出来]
    ISBN:978-4-87502-402-6

     刺激的で普通でないものが溢れ続ける現代、日本人は本来の美しさを忘れたのか? 身体感覚や感性を活かした「普通のデザイン」を提唱。世界を舞台に活躍するインテリア・デザイナーの講演録。

    “普通のデザインなどというと、「そもそもデザインとは普通でない特別なことを目指すのではないか」、あるいは、「普通というテーマはデザインの主旨にはずれるのではないか」というような疑問を持たれるでしょう。/〔……〕普通が退屈であると考える思考の背景には、近代がつくり出したステレオタイプがあります。今日の私たちの生活の周辺、あるいはデザインに目を向けてみると、あまりにも過剰なデザインの氾濫が、都市環境、生活文化を侵していることに気がつきます。” (本文より)
    https://www.kousakusha.co.jp/BOOK/ISBN978-4-87502-402-6.html


    【目次】
    はじめに [002-005]
    目次 [006-009]

    第一章 森林に覆われた風土——日本のデザイン・コンセプト 011
    日本の現代デザインの固有性
    靴を脱ぐ文化と坐る文化
    仏教的世界観と日本固有の風土
    日本人の死生観
    マレビトとしてのカミ
    外来文化との共生
    日本における空間の特性 025
      ◎床の重視  ◎仕切りの構造  ◎仮設文化
      ◎水平の感覚  ◎空白の領域


    第二章 方法の記憶——変化、微細、いま 035
    日本固有の方法 036
    茶の湯とは何か
    「殿中茶の湯」から「わび茶」へ
    茶室という建築
    山中の山居
    囲み
    微細なものに目を向ける感覚
    「変化の相」としての空間
    文化の根源へ


    第三章 弱さのデザイン——ウィーク・モダニティ 057
    弱さの背景 058
    弱さの多様性
    「弱さ」という感覚世界
    弱さをめぐる考察
    「弱さ」という感覚世界を生みだす状況や状態 074
      ◎自然性  ◎可変性
      ◎瞬間性  ◎境界性あるいは周縁性
      ◎フラグメントあるいは断片性  ◎装飾性
      ◎身体性  ◎記憶性  ◎日常性
    「弱さ」という感覚世界のデザイン・ボキャブラリー 085
      ◎微細性  ◎不明瞭性  ◎非固定性  ◎有機性


    第四章 普通のデザイン——時間、空間、記憶、自然 091
    普通とは何か 092
      ◎普通をめぐって  ◎デザインと時間
      ◎時間と空間  ◎記憶とデザイン
      ◎デザインと自然
    近代がつくり出した文化 110
      ◎科学万能主義的世界観
      ◎近代化とは何か
      ◎アヴァンギャルドの思考
    日常性・身体性の回復 122
      ◎普通に関する考察
      ◎近代合理主義によって失われた普通
      ◎美は普通のなかにある


    おわりに…デザインと一九六八年問題(二〇〇七年五月 自宅の書斎にて) [131-138]



    ■著者紹介:内田 繁 (うちだ・しげる)
    インテリアデザイナー。1943年 横浜生まれ。毎日デザイン賞、芸術選奨文部大臣賞等受賞。紫綬褒章受章。専門学校桑沢デザイン研究所所長を務める。メトロポリタン美術館(NY)、モントリオール美術館等に永久コレクション多数。日本を代表するデザイナーとして国際的評価を受けるなか、世界各国での講演、国際コンペティションの審査、ミラノ、ニューヨーク、ソウル等での展覧会、世界のデザイナーの参加するデザイン企画のディレクションなど、つねにその活動が新しい時代の潮流を刺激し続けている。
    代表作に山本耀司のブティック一連、ホテル イル・パラッツォ、神戸ファッション美術館、茶室「受庵・想庵・行庵」、 クレストタワー一連の内部空間、オリエンタルホテル広島他。著書に『インテリアと日本人』、『茶室とインテリア』『普通のデザイン』『デザインスケープ』『戦後日本デザイン史』など多数。

  • 『文献渉猟2007』より。

  • 普通という感覚は、考えなくても身体が反応する状態のことだと思います。
    その人がもっている文化的価値は、3つの感覚に分解できそうです。

    ①宗教感覚=何を信じているか?
    ②自然感覚=何を心地よいと感じるか?
    ③身体感覚=何に自然と反応してしまうか?

    その他にも弱さのデザインを考える上での要素は下記のように紹介されています。

    ・自然性
    ・可変性
    ・瞬間性
    ・境界性あるいは周辺性
    ・フラグメントあるいは断片性
    ・装飾性
    ・身体性
    ・記憶性
    ・日常性

    デザインをするためには、日本人(デザイン対象の国民)が持つ感覚的要素を理解することが大切。

    一歩外から自分たちの感覚を理解するのに役立つ内容でした。

  • 資料番号:011002524
    請求記号:757/ウ

  • 藤沢図書館で予約。

  • 全般にすんなり納得できる内容ではあるが、で結局なに?、というところに帰着してしまうのは読むタイミングが悪かったのかもしれない。でもそうは言っても次からデザインする物になにがしかの影響の痕跡をきざみそうな予感はあるからややこしい。

  • 著者からの案内で通読。

  • 文化的な背景からデザインとは何かを紐解く内容。デザインを仕事にしている人なら、かなり共感できる内容だと思う。

  • 『柔らかいデザイン』『弱さのデザイン』、『奇をてらい過ぎない』・・・。より良い物を目指して忘れてしまった、“デザイン”の意味を思い出させてくれます。

  • 日本のデザインは座るという日常からきているという。弱さのデザインや茶の湯など、著者が展覧会や講義を元に書いた21世紀のデザインを考える上で共感できる面白いデザインの本だった。

  • 日本人としてのデザイン。

    『家づくりは夏をもって旨とすべし』
    つまり、『日本の家づくりは高温多湿な夏のことを考えていた』吉田兼好を知った。
    風通しのいい空間、住居を目指そう。

  • うんそういう事なのかもしれないな。講演聞いた。

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