評伝岡潔 花の章

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  • 海鳴社
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  • Amazon.co.jp ・本 (548ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875252184

作品紹介・あらすじ

昭和4年晩春初夏のころ、インド洋をわたってフランスに留学した岡潔はパリで中谷宇吉郎、治宇二郎兄弟に出会い、人生の基調をなす深い友情を結んだ。ガストン・ジュリアに示唆を受けた多変数函数論研究に生涯の課題を定め、トノンの貸別荘で病身の治宇二郎と語り合い、学問の道標を発見して帰国したが、昭和13年6月、広島文理科大学の休職を余儀なくされ、帰郷した。郷里の和歌山県紀見村で孤高の数学研究に身を投じた岡潔を物心両面にわたって支え続けたのは、中谷兄弟のパリの友情と、大正末の青春期に秋月康夫との間に生れた三高の友情であった。
 紀見村の岡潔は父との別れに遭遇し、芭蕉や道元や佐藤春夫に親しみ、江口きちの歌集『武尊の麓』に心情を揺さぶられる日々を送り、カルタンやベンケからのときたまの便りに励まされながら独自の数学的思索を深めていった。昭和16年秋、北大理学部に赴任。12月8日、札幌でハワイ海戦のニュースに接して深刻な衝撃を受けた。翌17年9月、帰郷。昭和23年7月、戦中戦後の不定域イデアルの研究が結実して第七論文が成り、昭和25年、フランスの学術誌に掲載されたころから数学者「岡 潔」の真価は広く欧米の数学界に認識され始め、奈良に転居した岡潔のもとにヴェイユ、カルタン、ジーゲルなど、世界の数学者たちが相次いで来訪した。晩年は小林秀雄、坂本繁二郎、保田與重郎、胡蘭成らと交友し、市民大学や葦牙会の提唱など、多彩な社会的発言を繰り広げた。「リーマンの定理」という表題をもつ一連の数学ノートを遺すとともに、宗教的色彩を帯びた回想録「春雨の曲」を書き継ぎながら、昭和53年3月1日未明、数えて78歳で逝去した。

著者プロフィール

1951年、群馬県勢多郡東村(現、みどり市)に生まれる。九州大学基幹教育院教授を経て、現在、数学者・数学史家。著書:『無限解析のはじまり』『ガウスの数論』(ちくま学芸文庫M&S)、『岡潔 多変数解析関数論の造形』(東京大学出版会)。訳書:ガウス『ガウス整数論』(朝倉書店)、ヤコビ『楕円関数論序説』(講談社)ほか多数。

「2022年 『評伝 岡潔 花の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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