キャッツ・アイ

  • 開文社出版
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本棚登録 : 54
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875710851

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の人生をたどるのはおもしろかったけれど、とにかく彼女が言いたいことは全部書いてあって当人はあまり整理しない(というか画業として消化する)ので、これはみなさん読みたいように読むだろうな...感想ばらけそうだな...という本だった。

    テーマが子どもの頃に受けたいじめで、それで「自分には価値がないと思い込まされた」って主人公は言うんだけど、いじめから抜け出した後はそう思わされた人の行動はしていないように見えた。普通に努力できるし進学して仕事も得て、家庭を持って。意識する自己像と実際は違うっていう話なのかもしれないけど、じゃあなんでこんなに主人公の思ったことばっかりながながと描写されるのか、そこがぴんとこなかった。コーデリアへのこだわりは異常というか、それが彼女にとって唯一、つじつまの合わない弱点なのかな、と想像したりはしたけれど。

    ある時点で解消されなかった痛みはそのまま固定されて見えなくなる、という話なのかもしれない。けどちょっと長かったわ~

  • カナダで生まれ育った画家イレインの半生。動物研究者の父とスラックスを履く母に育てられた彼女は幼少期にいじめにあう。いじめの首謀者コーデリアとは大人になってからも関係が続く。読んで、こんなにも過去は人生に影響を与えるのか!としんどくなる。でもそれは自分の半生も自然となぞってしまうからかもしれない。家族も親友も、距離が近いからこそ負の感情もある。蓋をしている心の底をほじくられたような気持ちになった。楽しくなれる本ではないけれど、書く、描くという表現行為は癒しを与えてくれる。そこが救い。

  • 画家が個展を開く。展示される作品は彼女が歩んできた人生に伴う感情が現れていて、少女の時代からの回想が始まる。家族、学校生活、結婚してからの家族とランダムに少しずつ表記される。圧倒的に彼女を揺さぶるのは同世代の女性達であり、自分の子供や旦那、血縁者に対しては興味というか記述が少ない。学生の頃の絵画スクールで講師と体の関係を持つが、別の学生と講師の関係を講師自身がより重要に思っていて、その女性が講師と別れると自分もさっさと見切りをつける。彼女は自分を取り巻く同世代の女性が自分をどう思うのかがいつも気にかかる。

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著者プロフィール

マーガレット・アトウッド(Margaret Atwood):1939年カナダ生まれ、トロント大学卒業。66年にデビュー作『サークル・ゲーム』(詩集)でカナダ総督文学賞受賞ののち、69年に『食べられる女』(小説)を発表。87年に『侍女の物語』でアーサー・C・クラーク賞及び再度カナダ総督文学賞、96年に『またの名をグレイス』でギラー賞、2000年に『昏き目の暗殺者』でブッカー賞及びハメット賞、19年に『誓願』で再度ブッカー賞を受賞。ほか著作・受賞歴多数。

「2022年 『青ひげの卵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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