忘れえぬ女(ひと)―帝政ロシアの画家・クラムスコイの生涯

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  • 蝸牛社
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784876611966

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  •  いぜん、レーピン展を見に行った話を書きましたが、ロシアスキーの私からすると、

     ロシアの美術って、もっと評価されていもいいと思う(`・ω・´)キリッ

     それでも有名な絵は何点かあります。
     そのうちの1点、「忘れ得ぬ(みしらぬ)女」実際はモデルは誰かは不肖なのだそうですが、文豪トルストイの「アンナ・カレーニナ」の主人公、アンナじゃないか、など様々な憶測を呼ぶ、今も昔も人気の絵画です。
     作者はクラムスコイ、帝政末期のロシアで活躍した画家です。

     


     クラムスコイ自画像。
     

     それにみせられた著者の、クラムスコイ探訪記。
     

     帝政末期は日本でいうと幕末のような感じでしょうか。
     長らく続いていた、ロマノフ王朝の瓦解の音が響き、王朝転覆を目指し新たな政府の樹立を望む人たちが凄惨なテロリズムの行為に手を染めたり、その被害者になっていた時代です。
     新しい時代を望む人たちのやたらなエネルギーが充満する中、芸術界でも綺羅星の如く天才たちがあらわれます。
     文学界では「カラマーゾフの兄弟」のドストエフスキー、「アンナ・カレーニナ」のレフ・トルストイ。
     絵画では、イリヤ・レーピン、そしてこのクラムスコイ等。
     日本ではロシアの文豪は有名ですが、絵画の方はあんまりですね〜、ナンデダロ。
     そんなんで、もちろん、日本語で読める、ロシア帝政末期に活躍した画家の話ってとても数が少ないのですが、その中の貴重な一冊と思います。
     「忘れ得ぬ女」はクラムスコイが活躍した時代の背景と、描いた絵画をあわせて解説した書籍で、非常に当時への理解が深まった気がしました。

     ロシア帝政末期の絵画界で有名な運動は「移動派」です。
     王朝転覆を目指す人たちが続々と現れたこのころ、美術界でも、王朝や体制側よりではなく、民衆のための絵画を描こう、という運動があらわれます。
     「移動派」はその先頭に立った運動です。
     その特徴は民衆を描くこと、そして圧倒的な「リアリズム」。
     その一つの時代をつくった「移動派」の絵画は、もちろん、ロシアのあちこちでみられますが、総本山はなんといってもモスクワの「トレチャコフ美術館」です。
     ここは移動派のパトロン、トレチャコフ氏がコレクションをおさめるためにつくった美術館です。
     所蔵量や知名度でいえば、圧倒的にエルミタージュ美術館が上ですが、こちらはヨーロッパに関心が高かった女帝エカテリーナ2世が収集したヨーロッパ絵画のコレクションが中心ですが、トレチャコフはイコン等がおさめられ、ある意味、非常にロシアらしい美術館です。
     美術館の性格ですね。

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