虹の鳥

著者 :
  • 影書房
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本棚登録 : 16
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877144715

作品紹介・あらすじ

「そして全て死に果てればいい。」――
基地の島に連なる憎しみと暴力。
それはいつか奴らに向かうだろう。
その姿を目にできれば全てが変わるという幻の虹の鳥を求め、夜の森へ疾走する二人。
鋭い鳥の声が今、オキナワの闇を引き裂く――
救い無き現実の極限を描き衝撃を与えた傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 描写が読んでいてひたすら辛い。残酷。
    けれども、それだけではない。

    普通の少年が不良のパシリになり、地元の不良先輩から命じられて、マユという女性の生活の面倒を見ながら美人局をさせている。
    ところがある日、マユが「ホテル」ではなく、主人公も住む「自分のアパート」に客を連れ込むことから、人生がさらに狂い始める。

    その遠因は「米軍基地にある」ということを主張したい小説ではないし、事実として物事はそう単純なわけがないが、一方で彼ら見ている風景には常に米軍基地があり、その恩恵によって生きている人たちがいて、そしてその恩恵によって狂わされる人生もある。

    普通の少年が暴力の世界にいつの間にか入り込んでしまい、抜け出したいと思いながらも他に行く場所もなく、逃げ出す勇気もなく、「なぜあのとき」と思ってしまう姿には共感をした。
    僕自身が10代の頃に不良のパシリだったからかもしれないが、とてもリアリティのある感情表現だった。

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著者プロフィール

1960年 沖縄県今帰仁(なきじん)村生まれ。
琉球大学法文学部卒。
1983年「魚群記」で第11回琉球新報短編小説賞受賞。1986年「平和通りと名付けられた街を歩いて」で第12回新沖縄文学賞受賞。1997年「水滴」で第117回芥川賞受賞。2000年「魂込め(まぶいぐみ)」で第4回木山捷平文学賞、第26回川端康成文学賞受賞。
著書(小説):『目取真俊短篇小説選集 全3巻』『眼の奥の森』『虹の鳥』『平和通りと名付けられた街を歩いて』(以上、影書房)、『風音』(リトルモア)、『群蝶の木』『魂込め』(以上、朝日新聞社)、『水滴』(文藝春秋)ほか。
小説の他に時事評論集『沖縄「戦後」ゼロ年』(日本放送出版協会)、『沖縄 地を読む 時を見る』『沖縄/草の声・根の意志』(以上、世織書房)ほか。
新聞や雑誌にエッセイ・評論などを発表。ブログ「海鳴りの島から」。

「2017年 『眼の奥の森[新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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