- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877280789
感想・レビュー・書評
-
様々な父の姿。
そして夫の姿。
………
横向きになって娘の寝顔を見た。
眠ったまま、娘はおれがそばにいる気配を感じ取ったのか、小さな手を頬に伸ばしてきた。
娘の手はおれの顔の横を這い回り、左の耳たぶを探り当てるとぎゅっと握り締めてきた。
と同時に安心した表情になって、これまでの通りの寝息のリズムを取り戻してゆく。
娘に耳たぶを掴まれたまま、寝返りもままならず、おれの目には自然と涙がにじんでいった。
………
鈴木光司「新しい歌をうたえ」を読む前と後で、
この本の印象は違うものになるのではないでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
父親が死んだ水路にもぐる話が好きです。
最後に岩の割れ目から見る光景。そして死んでいく風景が鮮明に想像できて、感情移入マックスでしたわ。 -
【誕生した生命と、となりあわせの死。生の根源の闇と光を見据えた新世代のベストセラー作家、現代日本への警告。】と、当時の宣伝に書いてあります。歯切れの良い短編集、そしてこの作家は恐怖というものの捕らえ方がやはり上手い、と思って読み進んでいったのですが・・・6編からなるこの作品の最後の「無明」、この終らせ方は一体なん何だろう?まぁ、リングのシリーズで見せた終らせ方の拙さが凝縮されている、と言えばそれまでなのですが。途中まではテンポ良く読ませてくれたので、辛うじて星一つ!