おこりんぼさびしんぼ: 若山富三郎・勝新太郎無頼控

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877282424

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  • 若山富三郎、勝新太郎のお茶目なエピソードが盛り沢山で、満足した。

  • 「人生には、年相応のドラマがある。70代には70代の、80代には80代のヒーローがいてもいいじゃないか。若い世代のドラマや映画ばかりでは、おかしいということだろう」

    「男女の仲というのは、世話を焼くのが好きな人と、世話を焼かれるのが好きな人との組み合わせになればうまくいく」

    「二人が親しんでいた歌舞伎の台詞、長唄の詞を調べてみると、いわゆる現在の差別用語とされる言葉なしには成り立たないものが多い。二人(勝新太郎と若山富三郎)にしてみれば、新しい基準で作られた差別用語よりも、芸として、歴史として身についているものの方がピンとくるのは、当然だろう。
     だからといって二人が、人を差別するということに鈍感だったわけではない。どちらかといえば、二人とも、人が人を差別する気持ちには敏感だったと思う。おやっさん(若山富三郎)は、ある俳優が差別する言葉を発した時に『失礼なことを言うな』とことばと同時にその俳優を殴ったことがあった。おやっさんの判断基準は、その気持ちがあるかどうかだった。たんなる言葉狩りをしても無意味だ、ということを二人とも本能的に感じていたのだろう」

    私の場合、世代的に若山富三郎といえば『魔界転生』の柳生但馬か『悪魔の手毬唄』の磯川警部で、任侠映画や「子連れ狼」などは大人になってから見たわけで。で、先日『現代やくざ 与太者の掟』を見ていたら、若山富三郎が撃たれるのだが、勢いもつけずにその場で前に一回転して倒れて「うそだろ!?」と思い巻き戻して観たくらいである。
    『魔界転生』の殺陣では千葉真一を喰っていたくらいだから、その身体能力はすさまじいもとだったことはわかっていたのだが……。
    享年62歳、弟の勝新ばかりクローズアップされるが(彼も天才だけど)、若山富三郎、見直されてしかるべき役者だと思う。

  • 若山富三郎も勝新太郎の映画も見たことない。山城新伍のことも、なんとなく食わず嫌いしていたかも。緒形拳曰く「こいう人は、もう出ないね」

  • 778.2
    若山富三郎、勝新太郎兄弟との思い出

  • 水道橋博士「芸人春秋」に触発されて手に取る。若山富三郎、勝新太郎の役者兄弟とどっぷりつきあった、自分ではこずるく醒めたところがあったと書きつつも、めんどうくさいひとだけどかわいくて仕方ない、一生をのっとられたと、笑いながら、懐かしみながら、哀切も込めて描かれる語り口。芸ごとはバリッと一流だけど、熱くて、子供のようなところのある二人に振り回されながらも、眼が離せない。/ぼくは、この二人の影響以外、誰の影響も受けていない。影響とは、影が形に従い、響きが音に応じることだという。p.20/「信頼できる人が揃ったから」そんな理由で、健さんが子分のみんなに一緒にお墓に入ろうと言い出したのだ。p.55/普通の世界の常識を否定し、権威を否定してきた男は、自分の中に自分にしかわからない常識と権威をつくっていたのだ。p.90/男というものは、誰もが親分を欲しがっているのではないだろうか。その人の生きざまを見て「羨ましいな」と言えるボスがいないと、男のダンディズムは貫けないような気がしてならないのだ。p.113/黒い交際ではない、明るい交際なのだ、と言い切ってしまうのも、今の感覚に照らせば、どうかと思うという話しになるが、確かにそういう時代だったのだ、と言われればそうだったのだろう。大スターの役者が徒弟制のように一家を成し、時には拳をふるったり、破天荒なことをしても、許され、愛され、といった時代が確かにあったのだと思う。それが受け容れられる素地がなくなりつつあることを感じつつ、書き残さずにはいられなかったんだろうな、と思った。

  • 水道橋博士が「本業」で誉めていたので読んでみた。
    若山富三郎も勝新太郎も良く知らないが楽しく読めた。
    潮健児の「星を喰った男」を思い出した。

  •  こちらもプロ書評家、吉田豪が復活させた山城新伍が若山富三郎と勝新太郎兄弟のとんでもないエピソードを語ったナイスなエッセーです。

     本来、山城新伍は若山組の人(自身ではフリーランスと言ってますが)で、根っからの東映俳優です。あまり、勝新太郎との接点はないと思うのですが、やはり、仲の良い兄弟なので、いろいろと接触もあったのでしょう。

     かなり以前に読んだので細かい内容は忘れてしまいました。

     面白かった記憶だけはあるので、も一度読んでみよう。

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