童話物語

著者 :
制作 : 宮山 香里 
  • 幻冬舎
4.13
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本棚登録 : 795
レビュー : 137
  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877282929

感想・レビュー・書評

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  • 圧倒的に面白かった。
    何回泣いたかわからない。
    名前だけ知ってたけど、今まで読もうとしてなかった本。
    とりあえず少しだけ読むつもりが、結局、1日かけて読破してしまった。

    たったひとりで生きる12歳のペチカ。
    序章は、いきなり壮絶ないじめと虐待から始まる。
    6歳のときから、貧困と孤独の極限で生きてきたペチカを思うと、
    あらすじにあるような「極めて性格の悪い少女」だなんて思えなかった。
    「お母さんー!お母さんー!」
    母の写真を唯一の宝物、心の支えとして生きてきた少女。
    炎に包まれた小屋を前に、魂からの叫びをあげるペチカに、心揺さぶられ。
    もう、だだ泣きです。

    ひねくれっこで、人を恐れ、疑うことしかできなかったペチカ。
    心とは裏腹に、ペチカをいじめぬいてきたルージャン。
    永遠の世界からやってきて、人間社会に嫌悪感さえ抱いていた妖精のフィツ。
    それぞれが変わり始める。

    「永遠じゃないから変われるんだよ」
    「変われるってことはいつだって可能性があるってことなんだ」
    「変われるってことは今日がだめでも明日はうまくいくかもしれないってことなんだ」
    「変われるってことは絶対にあきらめるなってことなんだ!」

    おばあちゃんに出会って、初めて人に心を開いたペチカ。
    オルレア・ハーディンからペチカに注がれる温かなまなざし。
    そして、最後のペチカの言葉。

    どれも素敵で胸がつまるというかもう(涙)。

    ルージャンが、煙突掃除の仕事をしながら、自分がペチカにしたことを激しく後悔するシーンが印象的。
    会ったときから意識していたのに、このツンデレっぷりがたまらない(なんというボキャ貧)。
    でも、一番好きなシーンは、ペチカが地割れに落ちそうになるシーンでしょうか。

    “今にも足元の闇の中へ消えていきそうなペチカを、ルージャンはひたすら大声で叫び続けた。――あの日、霧の中を教会へやってきたペチカを呼んだ。落ちたキャラメルパンを裏庭で食べていたペチカを呼んだ。燃え上がる小屋へ走っていくペチカを呼んだ。時間と、誤解と、取り返しのつかない言葉たちの壁を越えるほどの大きな声で、ペチカの名前を呼んだ。”

    あー、こんな本に出会えて幸せ。今日は寝れそうにない。

    • 九月猫さん
      マリモさん、こんばんは♪

      すごい!一日で読破ですか!
      けっこうなボリュームですよね。

      わたしもこの本、好きです。
      読み始めた...
      マリモさん、こんばんは♪

      すごい!一日で読破ですか!
      けっこうなボリュームですよね。

      わたしもこの本、好きです。
      読み始めたときには驚きました。
      ペチカが受けているいじめ・虐待にも驚きましたが、なによりペチカの物語の主人公と思えない行動。
      「性格が悪い」なんて書かれていても、「辛くても心優しい」みたいな、ステレオタイプの女の子を想像していたのですよね。
      ところが、なかなか堂に入ったひねくれっぷり!ぶっとびましたー。
      そのあともどんどん不幸に襲われるし、好転しかけても「逃れられないよ」とばかりに不幸がやってくるし(ノω・、)
      (あのおばさんの執拗さ、コワイです)
      でも、だからこそ、おばあちゃんに出会って人の優しさを知り、オルレアさんハーティーさんの愛にとまどう後半のペチカの不器用さが可愛くて。
      マリモさんが書かれているように胸につまるシーンだらけです。

      わたしは全体からは番外編っぽいルージャンのアルテミファでのエピソードが好きです♪

      世界のどこかにあるという残りの8巻も気になります~。
      2013/02/27
    • マリモさん
      九月猫さんこんにちは♪

      コメントをありがとうございます!
      童話物語はすごく好きな作品です。日本にこんなファンタジーがあったの?というような...
      九月猫さんこんにちは♪

      コメントをありがとうございます!
      童話物語はすごく好きな作品です。日本にこんなファンタジーがあったの?というような傑作でした。
      ペチカが最初の方で、子猫を蹴るシーンは衝撃ですよね。
      普通の主人公なら、「お前もお腹が減ってるの?」と言いながら食べ物を分けるんだろうなぁと思います。
      「堂に入ったひねくれっぷり」…、まさにそのとおりで(笑)
      そんなペチカが、おばあちゃんやオルレアさんたちと出会って愛されるということを知り、少しずつ変わっていく…。
      「健気」とは離れた子ですが、生きることに必死で、ずっと頑張れ頑張れと思いながら読んでました。

      ルージャンも最初は超絶いじめっ子で、全然ヒーローっぽくないのに、アルテミファで変わっていく。その様子がとても好きでした。
      妖精フィツよりも、ペチカとルージャンの印象がすごく強いです。
      また読みたくなってきました♪文庫版を入手しようかな♪
      2013/02/28
  • 最初の方は、読んでいてつらくて本を閉じてしまったほど。これでもかと不幸になっていくペチカ。
    おとぎ話なら、主人公は不幸であっても心映えは美しく…というものですが、こちらは人間不信で攻撃的です。
    そんなペチカがどういう風に変わっていくかというのが見どころです。 
    最初の方に仔猫が出てきますが、その仔猫への仕打ちがあまりにもひどくて、そのシーンだけでこの本が嫌いになりそうでした。読み終わった今でこそ、また読んでもいいかも、いや、また読んでしまうかも、と思っていますが、そのシーンだけは読めないかもしれません。 (猫好きとしては耐えられません)
     しかし後からじわじわと余韻がくるような不思議な読後感です。クセになるかも^^;
    ファンタジーっていいなぁ♪

  • プロフィールにも書くほどボクは涙もろい。
    例えば「ドラえもん」の映画なんかは高確率で泣いてしまう。
    テレビアニメ版「クレヨンしんちゃん」ですら泣いたことがある。

    でも泣かなかった。

    今まで読んだ(そんなに多くはないけれど)他のジャパニーズファンタジー、
    例えば『十二国記』、『ブレイブ・ストーリー』、『獣の奏者』などは、
    ストーリー構成や世界観の複雑さ、精密さ、奥行きに感嘆したけれど…
    それらには及ばない(と思う)。



    だけどなんだろう。

    先のどの作品よりも物語へ引き込まれる。
    その引き込まれ方は本当に半端ない。
    まるで登場人物のすぐ傍らに立っているかのような…
    同じ時間を過ごしているような…。

    目を瞑りたくなるようなリアルな音や描写、
    いたたまれない境遇や扱いなども多々あるのは間違いないけれど、
    どうしてか、読んでとても良かったと思わずにはいられない。
    思い返せば濃密で素敵な時間を過ごしていたな…。


    本の作りや付記などはどことなく同人誌臭が漂うけれど嫌ではなく、
    この本に関わる人々がその時精一杯良い作品を作ろうとしたのが伝わってくる。

    不思議な本だと思う。

  • ふとおもいだして、10年前に買った文庫本を引っ張り出して、一日がかりで読み返した。「朝はまだ世界の裏側だった」という書き出しの一文に惹かれ、この本を手に取ったことを思い出した。中学二年生だった私、新品の本を買うことなんてめったになかったのに、そのとき衝動的に手にとっていらい、ずっと特別な存在として本棚にありつづけている。

    当時はファンタジーとして楽しんだけれど、今読むと、「ひとりぼっちの女の子が冷たくて厳しい『社会』のなかに居場所を見つけようともがく話だったのか」と思った。

  • 本屋でふと出会ったあの日のことを忘れはしません。
    その日は徹夜で読みました…(遠い目

    とにかく!
    こんなにすばらしいファンタジーはあまりない。
    折しも世界ではハリー・ポッターが話題に。
    いやいやいやみなさん、日本にもこんな素敵な小説があるんですよ?
    当時の知名度の低さに悲しくなり、周りにすすめまくった記憶が。

    涙もろいひとなら5回は泣きます。
    ラストなんて嗚咽ですわ。
    もう何回読み返したかわからないくらい。

    ジブリで映画化して欲しいとの声も多いですが、私としては見てみたい気もするけど、小説の自分のイメージのままそっとしておいて欲しい。

    にしても著者はなぜ他にも小説をどんどん書かないのでしょうか!

  • あなたが一番好きな本は何ですかって聞かれたら、この本以外に思いうかばない。好きすぎてここには書かないというか書けないだろうなと思ってたけど、久し振りに読んだら好きだと再確認したので書く。

    世間の評価とか人気とか文学的ななにかとか心底どうでもいい。ていうか、そもそも、そういうのに左右されるのは『好き』って感情じゃないよね。

    泣きたいときや凹んだときや疲れた時に読む本。そもそも涙腺詰まってるような生活送ってるので、たまに泣くと癒されるもんで。

    生きる支えにはならないけれど、確実に、私が『がんばる』支えになっている本。

    ヤヤさんのセリフは、初見から何年もたった今も特別。きっと自分も、自分が思ってるよりすごい人間なんだって、頑張って思えるようになりたいね。

    誰だって、自分が思ってるよりすごい人間だよ。
    ヤヤさんがそう言うなら、信じたいな。信じられるような人になりたいな。

  • ハイ・ファンタジィの大傑作。
    少女と少年の成長譚であり、人間という生き物の可能性を示してくれる一冊です。

    人生に疲れた時に、この本を開きます。
    自分という存在を見失いそうになった時に、この本を開きます。
    ここには、忘れてはいけない気持ちが、たくさん詰まっているから。

    ここまで感動出来た作品は他にありません。
    ただただ夢中で頁を繰りました。
    世界の、いや、人間の醜悪さと美麗さ。
    それをとことんまで描き切った作品です。

    この本の帯には、こんな言葉が書かれていました。<blockquote>「M.エンデ+J.クロウリー+宮崎駿を連想させる圧倒的な筆力!!」</blockquote>大袈裟な、と思いつつ、興味を引かれて買いました。
    そして、読了後、この言葉は嘘偽り無いものであったと、深く納得しました。

    文学は、ただの娯楽ではない。
    そこには、「世界」が詰まっている。
    そしてファンタジィとは、その究極の形である。
    それを、分からせてくれる作品です。

    この本の魅力は、読んでもらわなきゃ伝わりません。
    断面を切り取ることが出来ません。
    言えることは、読まない人は、確実に損をしている、という事だけです。
    さっき、何回目か分からない再読をしました。
    そしていつものように、中盤過ぎ辺りから、幾度と無く涙を流しました。
    その涙は、悲しいもの、辛いもの、嬉しいもの、いろいろです。
    読後に、やっぱり、いつものように、心に光をもらいました。

    本書の魅力は、随所に挿入される挿絵にもあります。
    <a href=http://www.studioetcetera.com/staff/kaori/>宮山香里さん</a>が描く、その美しい版画の世界。
    著者の<a href=http://www.studioetcetera.com/staff/mobs/index.html>向山貴彦さん</a>と、その世界観を共有しながら描いた「クローシャ」の風景。
    そして、登場人物たちの表情。
    とても活き活きとしていて、物語の側面をしっかりと支えています。
    この挿絵を堪能するためだけに、単行本を選ぶ価値は十二分にあります。

    僕には出来ないことだから、この本に頼りたいのです。
    いま、たくさんの絶望を抱えている人へ、この本を贈りたいのです。
    この本に書かれていることは、きっとたくさんの力を与えてくれるから。
    文学の持つ、希望を与えることの出来る力が、たくさん詰まっているからです。<blockquote>アンティアーロ・アンティラーゼ</blockquote><blockquote>「誰だって、自分が思っているよりはすごい人間だよ」</blockquote><blockquote>「変われるって事は素晴らしいことなんだ」胸がドキドキするのを感じていた。やっと自分が何を言いたいのか気づいた。自然と声が大きくなっていくのを止められない。
    「変われるってことはいつだって可能性があるってことなんだ。変われるってことは今日がだめでも、明日はうまくいくかもしれないってことなんだ。変われるってことは絶対にあきらめるなってことなんだ!」</blockquote>ぜひ、読んでください。
    読み終わった時、あなたの世界を見る目は、すこし優しくなっているはず。

    <<追記>>

    3/5 著者である向山貴彦氏が永眠されました。享年47歳でした。
    http://studioetcetera.com/main/archives/5012

    メディアマーカーの前に使っていたサービスで、コメントを頂いたことを思い出します。
    まさか著者に読んで頂けるとはという驚きと気恥ずかしさ、そして何よりも嬉しかったです。

    この素晴らしい作品を生み出してくれたことに、心からの感謝を。ありがとうございました。
    どうぞ安らかに。

  • 虐げられる主人公…ある日出会う人外…う~ん様式美

  • 冒頭はハウス食品の名作シリーズを彷彿とさせる内容。
    妖精フィツと共に運命に翻弄される少女ペチカの大冒険。

  • 辛くさみしい過去を送っていた主人公の心がだんだんと人を信じられるようになり、最後は、みんなを救う。
    涙なしでは読めませんでした。

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