イノセントワールド (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.04
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本棚登録 : 763
感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877284213

作品紹介・あらすじ

知的障害のある兄との性交、グループ売春、そして明かされる出生の秘密。さまよい、新しい現実感で生きぬく女子高生アミ。危険な生の輝きを伝える鮮烈なデビュー作の文庫版。

感想・レビュー・書評

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  •  これがこの人のデビュー作みたいです(苦笑)
     すごい人だ……。

     えーっと、主人公の女の子、アミは、知的障害者の兄と支えあうような関係の延長線上で、性的関係を結んでいる女の子。
     けれど、やがて、その兄の子をアミは身ごもってしまう……。

     というのが、物語の本筋。
     で。
     基本的には、この話の主人公である「アミ」が、桜井亜美さん自身なのかは未だになぞのまま……という。
     これが実体験だったら、すごい人だよな……。
     と思うわけですよ。
     まぁ、ないこともないと思うけど。

     世の中さ。
     感情が大事なのか、理性が大事なのかは微妙なところなんだと、この人の話を読むたびに思うよ。

  • 支え合うように快楽でむすぶ、知的障害者の兄との関係。「テレファックス」と呼び合う売春。精子ドナーによる自己の出生の秘密。
    やがて、兄の子をみごもってしまうーー。さまよい、新しい現実感で生き抜く十七歳の女子高生<アミ>。
    朝日新聞を始め多くの紙誌で絶賛された、危険な生の輝きを伝える桜井亜美の鮮烈なデビュー小説。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    なんか家にあったから読んでみたんだけど、正直何を伝えたいのか全然よくわからなかったww

    うーん…特別つまらんというわけでもないけど、面白みが私には理解できなかった。

    むしろ、この文庫の裏にあった、多くの紙誌で絶賛されたっていう記事を読みたい。
    どういうところが魅力で、何を絶賛したのか私にわかるように教えてけろ(╹▿╹)

  • 多分「リアル」なんだろうけど、イマひとつピンとこなかった。女の子の話だから余計にそうなんだろうな。あとがきや解説に宮台真司が出てきたり、最初作者が本当の女子高生だとか何とかいう噂があったりと、何となく戦略的なものを感じてしまい、一寸胡散臭い。女子高生ものはもういいから「14 fourteen」を読んでみようかな。

  • 1990年代末の「女子高生」をめぐる言説の象徴のような作品です。もっとも、宮台真司と速水由紀子によるマッチ・ポンプというような印象もあります。

    宮台の「解説」には、アミは「今日的イノセント」=「世界の不受容」を象徴していると書かれています。身勝手な両親に背を向け、「テレファックス」という風俗で働き、DJキム・Dが主催するパーティでレイプされることになる彼女は、そうした世界の汚れにまみれながら、少しもその世界を受け入れない、イノセントな存在としてえがかれており、「セックスを一万回しても、マスターベーションを百万回しても、結局何の救いにもならない」とつぶやく彼女の「イノセント」な世界を、知的障がいをもつ兄タクヤとの性的な関係にかさねられています。

    イノセントな存在どうしの「つながり合う環」が、「遺伝子」をめぐる空想のなかで求められるのは、「家族」という現実的なつながりに回収されてしまわないための著者の戦略だということができます。アミは偶然、自分が体外受精によって誕生したことを知って、「あたしの家族なんてものは最初から存在しなかったのかもしれない」と考えます。やがてアミはタクヤの子を宿すことになりますが、その子はアミの代わりに生まれるはずだった、両親の娘の生まれ変わりではないかという想念が、アミのなかに芽生えはじめます。

    その後、アミは精子ドナーの男性と接触することになります。彼は、同棲していた女性と心をつなぐためのツールをもたず、そのことが理由で彼女をうしなったあとで、彼女の存在が彼の「心そのもの」だったことに気づきます。彼もまた、世界との現実的なつながりをもたない存在だったのであり、アミと出会うことで「袋小路」から抜け出すことになります。その後、彼とアミ、アミとお腹の子のつながりは、「実像の見えない幽霊のような存在」によって結ばれ、物語の締めくくりとなります。

  • 私が書き、こないだ上梓したとある小説の原点です。その小説の主人公の女の子のキャラクターは、かなりの部分でこの作品の主人公「アミ」に依拠するところがあったりします。今回久々に読み直してみました。

    ずば抜けたエロティックさと、鉈で乱暴に切り刻まれるような心抉られる感じ、どす黒い太陽のような輝き=「イノセント」は健在ですね。ただ、やはり、文章は下手です。デビュー作ですもの。そこは大目に見られる範囲内でしょう。むしろこういう小説をデビュー作でよく出版したものだと思うと、尊敬の念が湧きます。

    80年代から90年代辺りの援助交際・売春を扱った近親相姦モノです。ポケベルとかニフティの掲示板、というあたりが時代を感じさせますね。「テレファックス」並みに当時の売春をやっていた中高大学生が互いにバランス良く連帯していたかも、当時の「バーチャル・リアリティー」空間についても、私は知る由がありません。ただ、読んでいて恰も手触りや匂いの感覚として感じているかのように、当時の生々しさというのが伝わって来るようです。ただ、女性作家が書いたにしては妙に文章が観念的というか、有り体に言えば屁理屈っぽ過ぎますね。男性がゴーストライターとして居てもおかしくないレベルですが、それは悪意的解釈なので止しましょう。

    多分、当時の生々しさを知ってたり肌身で実際感じた人は好きになれるのでは。ただ決して一般受けしない筈です。ここでの男性は殆ど「屑」として否定的に描かれているし、かと言って女性も褒められたものではない。出版当時の評判もこれまた知る由がないですが、好評を博したとすれば、それは宮台真司に依るところが大きい気がします。

    私は、この小説での重要な示唆があるとすれば、純粋な、「イノセント」である自分(あるいは自分の中核の部分・深層・魂)を守るために、身体(表層・うわべ)はいくら傷ついても構わない、ということにあると思います。「アミ」と、それを取り巻く人々にはそういう所を強く感じます。深層を温存するために表層だけを取り替え変更していく、とも言い換えられますが、これは一つの社会の本質です。現実世界での人の流れやその中に渦巻く人々の心の流れを深層とし、当時出たての「バーチャル・リアリティー」、今で言うインターネットとIT技術・サイバースペースを表層とすると、同じことが社会に対して言えますね(今はその境目も、どっちが深層か表層かも怪しいですが)。

  • すっごい薄い本です。行間も広くて一時間くらいで読めちゃいます。でも扱っている内容はかなりヘビー。残酷なレイプシーンなんかもありますので苦手な方はご注意を。

    知的障害を持つ兄と肉体関係に陥り、別々に引き裂かれても会いに行くために体を売ってお金を稼ぐ。

    若干「この子馬鹿の子なんじゃないの」と思わせられますが、ここは物語として読むべきでしょう。自分の遺伝子上の父親を探して会うシーンなんて馬鹿馬鹿しくて見てられませんでした。

    でもこれが若いって事なのかなぁ。

  • 現代の暗い闇の部分にスポットを当て、危険で鮮烈な17歳が描かれている。

    どろっとした、何だか胸にぬめりのように残る読後感。

    扱っているテーマは難しく、ひとつ間違えばただの官能小説にもなりかねないのだけれど、
    非常に深く掘り下げていて、こういった性をテーマにした作品にしては秀逸だと思いました。


    …しかし次は読んでて楽しくなるようなのを読もう。

  • ガールを先に読んだので、こちらは多少物足りない印象でした。
    そして、特にこれと言った感想も、読み終えた時にはありませんでした。

    以降の作品は、まるで別人の作品です。

  • 新感覚なのかな?感想の言いようも無い。年代の違い?

  • 恋空などが好きな方は読みやすいのかも?

    自分の印象としては、良くも悪くも「ケータイ小説」の雰囲気って感じでしょうか…。
    (「ケータイ小説」が流行る前の作品ではありますが。)
    自暴自棄気味の主人公が全然好きになれませんでした。
    なんというか、色々痛みにあふれた作品。
    主人公の名前が著者と同じなので、自伝的な感じなのでしょうか?
    表紙の写真とタイトルの美しさに惹かれて購入しました。

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