ヒュウガ・ウイルス: 五分後の世界2 (幻冬舎文庫 む 1-8)

著者 :
  • 幻冬舎
3.59
  • (129)
  • (208)
  • (335)
  • (37)
  • (5)
本棚登録 : 1853
感想 : 126
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877285852

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 面白かった!
    シンプルな事だけど大事なことを教えてくれる。ハッとする。UG兵士かっっっこいいなぁ。毎日毎日うじうじいらいら悩んでる自分が馬鹿みたい。大事なことはもっと目の前にあるのに。

    私は五分後の世界よりヒュウガウイルスの方が楽しめた。Ⅰを読んだ上でだから状況が何となく掴めてる上にⅡで端的に補足説明してくれてるからわかりやすいし、ドラマティックで読みやすかった。でもどちらもまたもう一度読みたい。コウリーとミツイの関係性を想像するのが楽しかった。最後コウリーがまさか。。でもそれって。。。なんて想像しちゃったりして。。
    恐ろしいウイルスで人々が次々感染し死んでいく。
    コロナ禍に読めたのもよかったかも。危機感なくぼんやり生きてたらだめなんだよね。

    アンダーグラウンドの世界が想像するのは難しいけど地下にそんな、たくさんの、トンネルがあって人が住んでて……ってその世界観が面白すぎる。読むのに時間かかるけど、Ⅲもあったら絶対読みたいのになぁ。


    ------------------
    「他の場所やよその国へ旅をしてみたいと思うことはないのですか?」
    「行ってみたいと思います。 でも、すべてのことを実現できるわけではありません、 一番に大切なことを実現して、他はその後です」
    「一番に大切なこととは何ですか?」
    「自分が一番大切に思う人間と共に、その日を生き延びることです」
    「二番に大切なことは何ですか?」
    「大切なことを、それを知らない人に伝えることです」


    UG兵士はシンプルな原則で生きている。最優先事項を決め、すぐにできることから始め、厳密 に作業を行ない、終えると次の優先事項にとりかかる。 悲しい時にただ悲しい顔をしていても事態の改善はないことを彼らは子供の頃から骨身に染みて学んできたのだ。アメリカのテレビでのおなじみの光景、災害や事故や犯罪の現場でレポーターが被災者や被害者の家族に聞く、悲しいですか? 悲しいでしょう? 最優先事項がなく退屈な人々はそれを見て今自分が悲しくないことを確認して安心する。


  • 1996年5月8日 第一刷 (これも文庫ではないんだけど、文庫も欲しい。) 再読

    5分後の世界Ⅱですので、世界観を見失う前に連続で読まないと。

    致死率が100%に近い未知のウィルス「ヒュウガウイルス」と生存への戦いを挑むUGの日本人兵士。
    それはもう、美しいほどに屈強で聡明。
    作品内のウィルスはフィクションであるが、生物学的な情報はかなりの取材とプロの監修があったと思われ、緊張感が続く。
    20年以上前の小説なので、多少の学術的差異はあるだろうけれど、コロナ禍での医療逼迫を経験した現在でも充分楽しめる。

    もう、続き書いてくれないのかな。


  • 前作の世界を引き継ぎつつ、主題と登場者はガラリと異なる。いわゆるバイオハザードモノで迫力や緊迫感、バイオレンスな描写は力量も相まって相当なもの。
    ただ村上龍の悪い部分が濃く、彼の理想とするもの・敬愛するものを密度の高い文字で押し付けられた様な感覚。ミュージックカルチャー・完全無欠の日本兵など絶対に作品に入れたいのが丸分かりの要素にしばしば首を傾げた。
    作者の良い作品も無論あるが、個人的にはことごとくハマらなかった5分後シリーズ。

  • コロナに翻弄されてる今読むとさらに感慨深いな。圧倒的な危機感を持っているかが生死を分かつのはまた皮肉が効いてる。単純にアンダーグラウンド日本の続編が読めたのも嬉しい。なんかいろんな暗喩があるけど、エンターテイメントとして楽しんだ。

  •  新型コロナウィルスが流行している今、正に読むべき名著。この本がたった20日間で書かれたということに驚く。
     さて、本作においてパンデミックをおこす「ヒュウガ・ウィルス」は、致死率99%を誇る凶悪なものである。しかしウィルスには善意も悪意もない。ウィルスは遺伝子の流動性を高め、ただ進化を媒介する役割を果たすだけなのだ。作中に登場する架空の向精神薬「向現」は、副作用のない完璧な薬物である。そしてこの薬物の精製にもウィルスの関係が示唆されている。つまりウィルスはある種、人類、はたまた生物全体への福音でもあるのだ。
     現実問題と絡めると、ヒュウガ・ウィルスはその致死率等から考えて、コロナウィルスというよりもエボラに近い。だが、パンデミックというのはその原因に類似性が認められるのである。
     その類似性の一つが、感染流行初期の情報統制である。ヒュウガ・ウィルスは政府の介入を受けない歓楽都市「ビッグ・バン」で発生した。政府の介入を受けないからというだけの理由ではないが、感染症の流行は隠蔽され、潜伏期間にある人々が世界中に広めてしまった。これは新型コロナウィルスにも大いに当てはまることであろう。
     『五分後の世界』では、日本は戦争でしか世界と繋がっていない。それが感染流行を抑えられなかった一つの要因であると言えると私は思う。しかし現代は平和で世界と繋がっている。ならば今後の感染症対策には、平和の維持と情報の共有が必要を進めることが必要なのである。そのことをひしひしとか感じさせるのが本作だと思う。
     てかUG兵マジかっけえ。
     

  • 久々の村上龍作品はとても刺激的で文庫本を開くたびに脳が活性化されて目がギラギラした状態で、かつ腰を据えて読んだ。この作品自体が向現のようなものだと思う。

  • 五分後の世界の続編とはいえ世界観などを生かした別の話として捉えられる。一作目が好きだったから期待して読んだ。なかなかだが一作目の方が好み。村上龍のあまり責任を持たず言うところや、リアリティやイメージを喚起させる描写力が活きる物語。

  • 専門用語が多い

  • 村上龍が40台半ばの頃に幻冬舎のために20日で書き下ろした作品。パラレルワールドの日本は、ジャパンアズナンバーワン的な著者の願望を反映した世界。完全無欠の日本軍とともに行動するCNN記者の視点で物語が進行する。戦闘シーンの描写、ウィルスに感染した人間が発症するシーンの描写は悪趣味なぐらいスプラッターだった。全体としては平成初期の日本のリフレクションって言えるんではないかと。

  • タイムスリップした昔、そこには違う昔があった。通常は過去の延長が今となり未来ということですが、それぞれのイベントによってその区切りがさまざまなんだ。昔を昔と認識した段階で何かが変わってる。ところが物心つく前、産まれてもないころとなると昔という認識が働かない。むしろ今として働く。主人公の都会的暮らしがこの小説ではひと昔まえになっていて、そこに至る過去が違う過去であり違う過去が今となっているのだ。

全126件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村上龍の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
フランツ・カフカ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×