- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877286224
作品紹介・あらすじ
人はなぜ差別するのか。そもそも差別とは何か。そして被差別とは。差別に満ちた社会の実態を明らかにし、その根源を問い、さらにしばしば差別とせめぎあう「表現の自由」「言葉狩り」にまで踏み込んだ問題作。従来の「差別-被差別」といった対立的二元論にコペルニクス的転回を与え、真の人間解放に新たな地平を拓いたゴー宣差別論の集大成。
感想・レビュー・書評
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部落解放同盟の組坂繁之との対談の記録のほか、『ゴーマニズム宣言』から表現の自由と言葉狩りをテーマにしたものをまとめ、それらに対する読者からの反響の手紙を収録しています。
さらに巻頭には「差別もキャベツもみじん斬り」と題した描き下ろし作品も収録されていますが、その表現について著者と編集者の間で意見の対立が生じ、両者の主張を併記することで、読者一人ひとりがこの問題について考えることを促すような構成になっています。これは、表現の自由と抗議の自由はともに保障されなければならないという筒井康隆や著者自身の考えをまさに実現したものとなっており、興味深く感じました。
ただし私自身は、この問題に関しては絓秀実や田中克彦らの主張に与する立場に立ちます。絓たちが論じようとしていたのは、差別をなくそうとする営みそれ自体が、いわば「折り返されてしまう」ことで、被差別者を救済する高みにみずからを置いてしまうことになるという、この問題にかかわる者が必ず直面することになるアポリアでした。彼らはこのアポリアを、「差別」という主題にとって本質的な問題として受け止め、みずからをこうした「折り返し」の構造の外に置くのではなく、むしろその中にみずから巻き込まれていくことを通じて、このアポリアをどこまでも理論的に追及しようとしていたように思います。
これに対して、そうした抽象的な議論は「ためにする議論」にすぎず、現実に差別に苦しんでいる人たちを救うことにはならないというのが著者の直感なのでしょう。著者は、上記のアポリアを理論的に追及するのではなく、みずからが世に送り出している、毒を内に含んだ表現によって傷つけられる人がいることを表現者の覚悟として引き受け、同様に覚悟を持った批判者たちとの間での直接的な話し合いによって、あくまで実践的な解決をめざしていくという立場に立っているように思われます。ただその場合、著者のような強い信念と覚悟を持つ表現者の意見が、正当化の手続きを経ることなく、作家の感性として受け容れられてしまうことへの歯止めがなくなるという危険性が付きまとうのではないかと思えてなりません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なにしろ文庫本になると、漫画としては見辛い。
個人的には、突っ込みどころが薄いような気がするんだよな。 -
これ読んでみんなよく考えたらいいと思います。
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勉強になりました。
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差別はなくならない。
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部落フェスティバル構想は面白かった、下らないけど。
差別撤廃、配慮のために逆差別が起こっていることも問題だと思うがね。 -
勇気有る一冊やなあ。。。
誰もが蓋をしたいような問題を正面切って描いてます。いや、凄い!! -
西日本育ちの私にとっては、非常に興味深い問題である。
が、詳しい感想はここには書かない。 -
本作を私は漫画としてではなく、エッセイとして捉えた。『ゴーマニズム宣言』自体、予てから読みたいと思っており、文庫化になってその念願が叶ったのだが、気付いてみれば本作は一連の『ゴーマニズム宣言』シリーズの内、差別に関したエッセイを抜粋し、対談やお便りなどを多少加味して編まれた、云わば抄本であり、初めて読むのには相応しくない所が少々瑕。
しかし、内容はものすごくハードだった。