真贋: 中居屋重兵衛のまぼろし (幻冬舎アウトロー文庫 O 29-1)

著者 :
  • 幻冬舎
3.25
  • (1)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 8
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877286781

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 偽書は増殖する、本書の最後に(偽書なんて)誰が、何のために、あれほどの膨大な資料を偽作するのか、を考えたら本物に間違いないと考える人もいるが、事実は小説より奇なりであって『椿井文書の様に、津軽外三郡誌の様に』偽作を嬉々として行うやつはいるのである
    今回は偽作により生糸で財をなした幕末商人中居屋重兵衛が「実は先祖代々ライ病の治療を行い歴代の天皇より讃を賜り、思想的に勤王の志士たちと交流をもつ」という驚愕の事実を羅列するのだが、相手側の資料には一文字も見当たらないが「中山文庫」だけに書かれたのが事実として多くの著作や学説に孫引きされて、真贋を問うたのがこの本書(ノンフィクション)

  • 幕末の商人中居屋重兵衛が幕末の著名人と多くの関わりを持ち、重兵衛とその祖先が癩病治療を行い生き神と称えられていたとする中山文庫。その真贋を追うノンフィクション。雑誌への発表と追加の薄手の文庫本。周辺や所有者の来歴など周囲まで更に深掘りして欲しい。

  • なんというか、偽書の是非や偽書製作者の断罪とはではなく。偽書を作るうえでの土台となる正史から、偽書を生み出す構造を探ることで、製作者のメンタリティ?(暗い情熱が正しいか)を見極めようとするノンフィクションであったとおもう。ええ、なにをいいたいのか自分でわからなくなってます。
    アカデミズムの専門性からではみえぬ、製作者の幅広い知識と専門性になり立つ偽書というのにも興奮を覚えた。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

松本健一(まつもと・けんいち)
1946年群馬県生まれ。東京大学経済学部卒業。
現在、麗澤大学教授。評論・評伝・小説など多方面で活躍中。
2011年3月11日におきた東日本大震災のときの内閣官房参与として、
『復興ビジョン(案)』を菅直人首相(当時)に提出。
著書に『白旗伝説』『北一輝論』(以上、講談社学術文庫)、
『近代アジア精神史の試み』(岩波現代文庫、アジア太平洋賞受賞)、
『開国・維新』(中央公論新社)、『砂の文明・石の文明・泥の文明』(PHP新書)、
『評伝 北一輝』(全五巻、岩波書店、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞受賞)、
『畏るべき昭和天皇』(新潮文庫)、『天国はいらない ふるさとがほしい』(人間と歴史社)、
『海岸線の歴史』(ミシマ社)など多数ある。

「2012年 『海岸線は語る 東日本大震災のあとで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松本健一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×