突破者 下: 戦後史の陰を駆け抜けた50年 (幻冬舎アウトロー文庫 O 30-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877286804

感想・レビュー・書評

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  • 『突破者』とは関西では「思い込んだら、一途で、がむしゃらな、無茶者」のことを指す言葉らしい。あの“グリコ・森永事件”の「キツネ目の男」に疑われた著者の半生記だ。
    この本はベストセラーにもなり、ハードカバーでも読みたかったのだが、機会を得ないまま、結局、文庫で上下巻読み切った。
    けんかに明け暮れた少年時代から、左翼運動の尖兵となった早大時代、そして『週刊現代』の雑誌記者、生まれ故郷に帰っての土建解体業、それが破綻してからの地上げ屋の用心棒など闇の世界に生きるアウトローの半生は“壮絶”の一言では言い表すことができないほど物凄い。
    著者はグリコ事件が起きた時、「あれだけのことができる男は日本中には宮崎以外に考えられない」と呉知英に言わしめた快男児だ。
    また、バブルの成り行きから崩壊までを闇の世界に生きた男の目を通して冷静に分析、東アジアの中の日本という国家の所業、今後の中国、韓国、朝鮮とのかかわりを「来るべきアジア的混沌と再編に向かって放たれる最初の鉄砲玉になり得る夢想」と結んでいる。このシリーズは最近、いくつか文庫化されているようで、読んでみたい本のリストに入れておこうと思う。

  • ドキュメント映画、「ヤクザと憲法」。
    その映画には俺と同世代でヤクザの組員になった男性がでてくる。その男性が極道の門を叩いた時、唯一手にしていたもの、それが、この本だった。
    本書の内容は、戦後の裏社会を駆け抜けた筆者のスリリングな半世紀。身体で獲得した言葉ならではの熱量に溢れており、あっと言う間に読み終わった。
    この本にでてくるのは
    ・この社会では自分ひとりで生きていくしかないことを肌身で知っている
    ・ハードな原理原則を受け入れて生きている
    ・「男」の「侠」を実践している
    そんな人間である。
    ワイルド・サイドを歩く者たちの物語。自分にまだ歩けるのだろうか、と思った。
    とにかく彼らはみな、格好良かった。

  • 上巻は読み終わっても興味のある60年代学生運動の事が
    沢山書いてあるのでまだ持っておきます…

    下巻は伏見の寺村土建に戻ってからの資金繰り、
    グリコ森永事件容疑者、抗争に巻き込まれ銃撃、
    地上げ屋としてバブルの狂乱に身を置き、
    そして暴対法についてアウトローとしての意見と
    これぞアウトロー文庫か!(笑)

    浪花節で任侠で、勿論全面的に肯定は出来ないけど、
    一本筋の通ったロマンがあることも確かだね~。

  • 会社の破産を阻止すべく奔走するがその甲斐なく破産。用心棒や地上げ屋稼業で食いつなぐが、その後グリコ事件のキツネ目の男に擬されてしまう。

    著者の目を通した戦後50年史は、常に巨大な権力と戦い続ける、孤独で過酷な50年であった。
    登場人物のほとんどが間違いなく悪者なんだけど、一本筋が通っている。その生き様が魅力的で、むしろ憧れすら覚えた。

  • 熱い!!!
    頭も身体も動かして生きるかっこよさ。

  • 清潔でデオトラントな時代は生きにくい。アウトローも引きこもりも表現の方法は違っても根っこの根っこは似たようなものかも。もちろん全部が全部がとは言わないが。

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著者プロフィール

写真家。1949年長野県生まれ。精密機械会社勤務を経て、1972年、プロ写真家として独立。自然と人間をテーマに、社会的視点にたった「自然界の報道写真家」として活動中。1990年「フクロウ」で第9回土門拳賞、1995年「死」で日本写真協会賞年度賞、「アニマル黙示録」で講談社出版文化賞受賞。2013年IZU PHOTO MUSEUMにて「宮崎学 自然の鉛筆」展を開催。2016年パリ・カルティエ現代美術財団に招かれ、グループ展に参加。著書に『アニマルアイズ・動物の目で環境を見る』(全5巻)『カラスのお宅拝見!』『となりのツキノワグマ』『イマドキの野生動物』他多数。

「2021年 『【新装版】森の探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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