大河の一滴 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1249
レビュー : 147
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877287047

作品紹介・あらすじ

なんとか前向きに生きたいと思う。しかし、プラス思考はそう続かない。頑張ることにはもう疲れてしまった-。そういう人々へむけて、著者は静かに語ろうとする。「いまこそ、人生は苦しみと絶望の連続だと、あきらめることからはじめよう」「傷みや苦痛を敵視して闘うのはよそう。ブッダも親鸞も、究極のマイナス思考から出発したのだ」と。この一冊をひもとくことで、すべての読者の心に真の勇気と生きる希望がわいてくる感動の大ロングセラー、ついに文庫で登場。

感想・レビュー・書評

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  • この本はずっと前から読もう読もうと思って、そのままズルズルと来てしまった本でした。今回の震災を受けて、できることなら被災した現地の方にぜひ読んでいただきたいものです。

    この本は前々から読もう読もうとは思っていたんですけれど、それがかなうことのないままに、今の今までズルズルと来てしまったので、今回この機会がすごくよかったものとして一気に読んでしまいました。あらすじの中にある
    「いまこそ、人生は苦しみと絶望の連続だと、あきらめることからはじめよう」

    「傷みや苦痛を敵視して闘うのはよそう。ブッダも親鸞も、究極のマイナス思考から出発したのだ」
    という言葉に僕は胸を打たれましてね。特に今、このご時世だからこそ、心に響くものがあると考えます。

    僕は元来ひねくれ者で、
    「そうだよなぁ、がんばれがんばれっていわれたって、何をどこまでガンバりゃいいのかね?」ということをずっと思いながらページをめくっていると「たゆまぬユーモアは頑健な体をしのぐ」と銘打たれた箇所が出てきましてね。その途中でナチス・ドイツがアウシュヴィッツでやった事が出てくるんですけれど、その中で生き延びたユダヤ人は毎日何かひとつ面白い話を作って、それをお互いに披露しあう。過酷な状況でよくそんなことを考えつくなぁ、と最初は驚いたのですが、
    「ユーモアというのは単に暇つぶしのことではなく、本当に人間が人間性を失いかけるような局面の中では人間の魂をささえていくく大事なものだ」
    という箇所がダイレクトに心に響いてきました。

    前に
    「アリサカくん。日頃マッチョイズムを振りかざしている人って、いざって言うときには案外脆いもんなんだよ。」
    という言葉を聴いたことがあって、そんなことを考えておりました。いま、テレビを見ていると、しきりにガンバレガンバレといっておりますが、そういう言葉に疲れ果てた人間こそがこういう本を読んで、明日という日を迎えてくれたら…。そんなことを切に願っています。

  • 「人生に対する無意識の甘えがあるような気がしないでもない.そもそも現実の人生は決して楽しいだけのものではない.明るく,健康で,幸せに暮らすことが市民の当然の権利にように思われている最近だが,それは間違っていると私は思う.」
    (p.13)

    この文章には心が惹かれました.

  • 「人はだれでも日々の暮らしのなかで、立ち往生してしまって、さて、これからどうしよう、と、ため息をつく場面にしばしば出会うものなのだ」


    ため息をつく最中なんかに、気付きにくいけど。

    目の前に現れたり、出会ったりするものがある(わたしには書籍だったり人だったりきっかけだったり??)

    後から考えたら、「ああ、あのタイミングで出会うべくして出会ったのか」と、良き思い出になったり、深い感謝を感じる場面は、誰にでも経験があるのかも。

    本書は、今では古い。人生本でもあるし、暴露本でもあるし、ある意味、説教本でもある。
    だから?なのか、今に通じるし、どんどん嫌われて世の中から消えつつある説教ぽくも読めるのが、心地良くてステキ。

    五木さんが、自分をさらけだし、簡易な言葉で語ってくれる。それがいい。それだからいい。

    順風満帆なときに読むと説教に聞こえ、暗雲低迷しているときに読むと希望に聞こえる。これもその人の出会うタイミングなんでしょうね。笑

    教養いっぱいの、そんな一冊でした!

    p.s.
    屈原のことを書いてるページが、好きです

  • 筆者の人生観や死生感が、読みながらにしてまるで語りかけられているかのような感覚になった。
    いくつかの「キーワード」を中心に展開されていたが、言葉の大切さ、母国語を大切にするというのは、ここ10年以上最も失われたものの一つのような気がしてならない。標準語を磨く、方言を大切にすること、いろいろと考えさせられた。

  • 人は泣きながら生まれてくるのに、何で悲しみや苦痛などネガティブなものを否定するのか。0と1の二進法で計算されつくしたパソコン社会で、全ての物事はYESとNOで判断されてとにかくプラスなものを、成長を追い求めている現代。プラスがあれば対極のマイナスも存在する。しかし、どうもマイナスな面を無視しようとする風潮がある。人間の感情や状態は振り子のようにプラスとマイナスを往復しているのが自然な状態なのに、無理矢理自然の法則を無視してプラスの方にずっといられるように引っ張ろうとしてはやはりそこに無理が生じるのは当然。プラスとマイナスを寛容に受け止められる姿勢が凄く大切。そのイメージが自分の中で身にしみて分かるように五木 寛之がやさしく教えてくれる。仏教など難しそうな思想がでてくるが、すごく分かりやすく噛み砕いて教えてくれる。

    この本はブックオフで100円で売ってたのを購読した。値段に合わないほどコストパフォーマンスの高い内容だと思う。自分は読書で大切だと思うページをドッグイヤーつけるんだけど、大河の一滴はドッグイヤーをたくさんつけた。

  • 著者は、「流れに身を預けて海へと注ぐ大河の水の一滴が私たちの命」であるとして、苦しみや悲しみ、病気や障害、本来否定的にとらわれがちな物事はもともと私たちの生の一部であるとて受け入れることを奨める。

    20世紀末に書かれているこの本は、全体を通して、現代広がる近代化と資本主義の行きすぎに対して、優しくも厳しい著者自身の言葉で、疑問を呈している。
    体にしても、生命にしても、生活にしても、部分部分を別々にとらえがちになっている現代の在り方を見直して、総合的に考えることが大事だということについて、これメアでの経験や得てきた知見をもとに論じている。

    著者の意見をそのまま丸呑みするのではなく、一つのアイデアとして、思考の材料として、得られるものは大きいと思う。
    「問題は、その人間にとってどういう生きかたがいちばん自分らしく、そして自分で納得のいく生きかたなのか、ということ」(p.188)ではないか、という点については、共感する。同時に、これを実現することはそう簡単ではないからこそ、人々はより分かりやすく単純な指南書や啓発書を手に取って解決策を何とか見つけようとしていることも事実。
    社会のハードな部分とソフトな部分の両方について改善が求められていると改めて思う。

  • 2019/04/27
    町の書店で購入。入口付近にあった”平成の名著コーナー”の中の一冊。タイトルだけは知っていたが、内容を全く知らず。「人生は苦しみと絶望の連続である」とのサブタイトルを見て購入。

  • 「人はみな大河の一滴」

  • 出だしは、良かったが、後は今一つで、読むのを中断。

  • 捏造について考える読書シリーズ(勝手に)で『風の王国』を読み、気になって購入

    【書き抜き読書メモ】
     ・ まず、これまでの人生観を根底からひっくり返し、「人が生きるということは苦しみの連続なのだ」と覚悟するところから出直す必要があるのではないか p20
     ・ なにも期待しないという覚悟で生きる p24
     ・ 人の死を「海への帰還」という物語として思い描く。そして、さらに「空への帰還」を想像し、ふたたび「地上への帰還」を空想する。 p32
     ・ 南無(ナーム)とは、帰命するという意味である。帰命とは、その前にひざまずき、頭をたれ、その手にすべてをまかせ、その存在に合一する、と誓うことだろう p36
     ・ 私は心のなかで合掌するとき、ごく自然に「ナーム・アミータ」とつぶやいている p37
     ・ 古い表現で、<面授>という言葉があります。面授というのは、流行の言葉でいえばインターフェイスとかそういう言葉なのでしょうが、要するに人間と人間が向き合い、お互いに息づかいのきこえるような距離でもってなにかを学び、なにかを伝え、そしてなにかが伝えられる。こういうことを<面授>といいます。 p249
     ・ ひとつの社会の運命を人生にたとえるとすると、中国の四神思想でいう<青春><朱夏><白秋><玄冬>の四つの季節のうち、日本も、永遠の青春のさなかにはいられないわけだし、いまは朱夏のまっただなかでもないだろうと思います。そろそろ白秋期なのだということです p275
     ・ 道教がかなり前から世界の注目を集めていますが、道教の思想の根幹は<場>のとらえかたにあるといえるでしょう。世界を丸く閉ざされた空間と考えないで、道路のようなものと考える p280

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著者プロフィール

作家

「2018年 『人生百年時代の「こころ」と「体」の整え方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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