大河の一滴 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 2437
レビュー : 215
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877287047

作品紹介・あらすじ

なんとか前向きに生きたいと思う。しかし、プラス思考はそう続かない。頑張ることにはもう疲れてしまった-。そういう人々へむけて、著者は静かに語ろうとする。「いまこそ、人生は苦しみと絶望の連続だと、あきらめることからはじめよう」「傷みや苦痛を敵視して闘うのはよそう。ブッダも親鸞も、究極のマイナス思考から出発したのだ」と。この一冊をひもとくことで、すべての読者の心に真の勇気と生きる希望がわいてくる感動の大ロングセラー、ついに文庫で登場。

感想・レビュー・書評

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  • 20年以上も前に書かれた作品であるが、あれからますます混沌とする現代にも多くの人々の心に沁みるのではないだろうか。本作では世間の通説や常識に対する疑問、死生観、病気、メンタルの保ち方に至るまで五木氏の見解・考え方が謙虚に述べられており、私にとってはとても新鮮な考え方にも出会えた。驚くのは敗戦後に大陸から引き揚げてきた地獄を味わった著者から見ても現代というのはこれほど生きづらいと感じていること。少なくとも著者のようなしなやかな考え方をし、当然とされている価値観・固定概念をもう一度再考する時なのかもしれない。

  • 長女(中2)から面白いよ!と言われて、悔しく読んだ「大河の一滴・五木寛之」。「現在人間が謙虚さを失っているのではないか」「失敗した人生こそ価値のある人生である」「人の欠点こそ認め合うこと(寛容)こそ大事なこと」など、示唆に富む内容だった。約20年前に書かれたこの本は現在の社会病理を見事に突いてきていると感じた。柳に風という言葉があるように、敵に立ち向かう努力とともに、受け流すことも必要と思う。受け流すということは、人間の弱さを認識し、社会がお互いに寛容になって、気楽に死に向かっていこう!ということかな。

  • ◯昔、何故か母に読めと言われた本だが、この歳まで読まずにいた。ひと頃の脱力感から抜け出せていたものの、本を読むにはまだ乗り切れなかった時に、有名なフレーズを目にした。
    ◯そういえば親鸞という本を書いていたな、と思い出す。仏教徒ではないけれども、考え方は好きという点になんとなく納得する。端々に、執着せずに生きることが語られていると思う。目から鱗とか、新しい知識を得たというわけではないけれども、
    ◯わたしを苦しませるあの人も大河の一滴であり、当然自分は取るに足らない大河の一滴なのだ。悠然と、流れるようにしなやかに生きていれば良いのだと思った。

  • 芸能人の自殺が続いているので、冒頭を読んだ時に今の時代に書かれたんだっけと勘違いした。それくらい今の日本を取り巻く現状に相応しい内容だし、結局書かれた20年前から世の中変わってないのかなと思うと少し哀しい。
    私達は自分の力で生きているように見えるけれど、そうではなくて生かされていて、大河の一滴のようにちっぽけな存在。でもこの命は大河のように巡っていく。そう思うと、今が辛い時でも生かされているありがたさを実感する。

  • 仏教に倣えて書かれたエッセイだけに時代に左右されず、今回の帯に書かれたコロナだけじゃなく、混沌とした現世を通して全てに当てはまるから読んでて相槌を打ってしまう。前半に書きたい全てを投入してしまったようで、中盤からラストにかけてはラジオの垂れ流しである。
    相入れない内容もあれば老人の小言と言いたいのもあったが、仏教用語や老子や親鸞などのエピソードの解釈は楽しかった。
    人は大河の一滴。なかなか洒落たタイトルで、今の生き方の指針としては十分に満たしてるかなぁと。むしろアフターコロナの到来時にこれを読んで踏み止まって欲しいと願いたい

  • 全体的に読みやすく人生観や価値観に対することについて書かれていました。
    仏教の言葉がたまに出てきて、新しい言葉に出会えたことは面白かったです。

    全般的に少し悲観的な感じがしました、、、

  •  五木さんの本は初めて読みましたが、彼の人生における戦争体験が原点で、この本の題である「大河の一滴」という意味がよく理解でました。
     ところで、私は毎朝写経をしており、「無」とか「空」とかいう概念と日々接しており、五木さんが引用する仏教的な示唆もよく理解できました。
     人は生まれた時点で「死」に向かってキャリアを積んでいくということ。そして、地獄からの原点・発想で有意義な人生を組み立てていく。弱者への視点、寛容(トレランス)、これからの残りの人生五木さんのおっしゃたことを参考に有意義に過ごしていきたいと思います。

  • 死や悲しみはマイナス思考であり、人はそれを考えることすらなるべく避けようとする。
    しかし、プラス思考、マイナス思考両方を抱えることによって今ここにいる自分の命の尊さに気づくことが出来る。
    辛い状況に陥っているからこそ、希望の光を見ることができる。
    だからこそ、今避けがちなマイナスの思考を敵視することなくあれもこれもと抱え、所詮そんなもんだと肩を落とすことでまた次に進めると考えた。
    そして、色々な事を好きになる。自分の命の尊さを気づく。これが、人のことを考えられることだと思う。


  • 『生きる』ということに後ろ向きに感じる始まりだったので、最初はこの本を読み切れるのか不安に感じたが、最後には、生きているだけで価値があると勇気をもらい、真逆に思えるもの(事)に対しても、どっちも正解でいいんじゃない?と心を楽にしてくれる、とても優しい本。

    機会ある事に、繰り返し読みたい。

  • この本はずっと前から読もう読もうと思って、そのままズルズルと来てしまった本でした。今回の震災を受けて、できることなら被災した現地の方にぜひ読んでいただきたいものです。

    この本は前々から読もう読もうとは思っていたんですけれど、それがかなうことのないままに、今の今までズルズルと来てしまったので、今回この機会がすごくよかったものとして一気に読んでしまいました。あらすじの中にある
    「いまこそ、人生は苦しみと絶望の連続だと、あきらめることからはじめよう」

    「傷みや苦痛を敵視して闘うのはよそう。ブッダも親鸞も、究極のマイナス思考から出発したのだ」
    という言葉に僕は胸を打たれましてね。特に今、このご時世だからこそ、心に響くものがあると考えます。

    僕は元来ひねくれ者で、
    「そうだよなぁ、がんばれがんばれっていわれたって、何をどこまでガンバりゃいいのかね?」ということをずっと思いながらページをめくっていると「たゆまぬユーモアは頑健な体をしのぐ」と銘打たれた箇所が出てきましてね。その途中でナチス・ドイツがアウシュヴィッツでやった事が出てくるんですけれど、その中で生き延びたユダヤ人は毎日何かひとつ面白い話を作って、それをお互いに披露しあう。過酷な状況でよくそんなことを考えつくなぁ、と最初は驚いたのですが、
    「ユーモアというのは単に暇つぶしのことではなく、本当に人間が人間性を失いかけるような局面の中では人間の魂をささえていくく大事なものだ」
    という箇所がダイレクトに心に響いてきました。

    前に
    「アリサカくん。日頃マッチョイズムを振りかざしている人って、いざって言うときには案外脆いもんなんだよ。」
    という言葉を聴いたことがあって、そんなことを考えておりました。いま、テレビを見ていると、しきりにガンバレガンバレといっておりますが、そういう言葉に疲れ果てた人間こそがこういう本を読んで、明日という日を迎えてくれたら…。そんなことを切に願っています。

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著者プロフィール

五木寛之

1932年福岡県生まれ。生後まもなく朝鮮にわたり、47年に引き揚げる。52年早稲田大学露文科入学。57年中退後、PR誌編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門 筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞を受賞。また英文版『TARIKI』は2001年度「BOOK OF THE YEAR」(スピリチュアル部門)に選ばれた。02年菊池寛賞を受賞。10年に刊行された『親鸞』で毎日出版文化賞を受賞。『孤独のすすめ』(中公新書ラクレ、2017年)は30万部のベストセラーとなり、孤独ブームを生み出した。

「2020年 『回想のすすめ 豊潤な記憶の海へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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