- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877287184
作品紹介・あらすじ
家族っていったい何でしょうね?たまたま血が繋がっているだけで、どうしていっしょに暮らしているんでしょう。-丘の上の一軒家に住む女三人。家族とも他人ともうまく関係を結べずに大人になった長女と、その恋人をめぐって、母娘の憎悪、心の奥底に潜めた暗闇が浮かびあがる…。恋愛の先にある幸福を模索した、ミステリアス長編小説。
感想・レビュー・書評
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これは辛い。読み終わってからも悲しい気分のままでした。この世界から早く抜け出したいと思ってしまいました。最後はああ良かったと思える本が好きなのです。でも母親が怖いと感じることはとてもよく分かります。仕事をするようになるまでの人生と言うのはかなり視野の狭い世界を生きていると思うのです。社会に出て初めて自分の家の内情が客観的に見えてくる。私はそれを体験したので母親に逆らえない気持ちは理解できます。でも、それにしても悲しい作品でした。
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*若干ネタバレ注意
カウンセリングの話と、物語の展開を効果的に並行して伝えているのがさすがだなぁと思った。当初、カウンセリングを受けているのは主人公だと思い、中盤では母親かと思った。かとおもいきや・・・。これぞ、小説だからできる表現だと思った。
それと、最後。主人公があそこまでしなければあの家から離れられなかったということに、とても共感した。時に人は、何かと決別するために、行き過ぎる所までいってしまわなければ、どうにも自分を止められなくなる。そういう弱さを抱えながら、もがいて苦しむ様子が、心に突き刺さった。
山本文緒さんは、弱さや卑怯さ、卑屈さを抱え、ピュアで愚直すぎるほど真っ直ぐな人間を描くことに関しては、卓越していると改めて思った。 -
意外と心理サスペンスだったんだけど、なんかもうちょっと掘り下げてくれても良かったかも。
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ミステリというよりもミステリアスな雰囲気が終始漂っている作品だった。
そのおかげで一気読み。
この不思議な感じの正体が知りたくて。
最初どこにでもある母子家庭なのかなと思っていた。
母親はきつそうで、姉は精神的に病んでるのかな、妹は妹らしい子だなと何の疑いもなく読み進めていたんだけど、どこかで何かが引っかかる。小骨のようなもの。あるのかないかもわからないレベルの違和感。
それがどこからなのかは判然としない。たぶんずっと。最初からだと思う。
その小骨が知らぬうちに大きくなっていく。
山本文緒さんの作品を読むのは初めてなのだが、どの作品もこんな感じなのだろうか。
落差がない。じわじわ。本当にじわじわ不思議さが増していく。最後までそれは変わらず、違和感の正体がわかっても収縮もしない。なんだこれ、と思った。
共感するところもあまりない。好きになれる人物もいない。
ただ、なんか惹かれる。けれど、その正体もわからないという謎だらけの作品。
読み終えた時に心に残ったのは虚無感と満足感。相反するのに共存しちゃっている。何度も言うけれど、本当に不思議。 -
家族が病んでいる理由と鉄男がどういう選択・決断をするのか気になり一気読み。母親が恐ろしい…けれど、ここまでではないにしてもこのように子供を“去勢”している母親或いは父親って世の中に沢山いると思う。 真っ先に家族とサヨナラしていきそうなみつるがそうしないことが少し不思議だったけれど、あんな家族でも大事なんだろうなと…そして母親が病院のベッドで娘と夫の悪口を言うシーンで、この人もこの人なりに家族を想っているんだと感じた。
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歪んでても歪んでなくても家族は家族なんやろうなぁ。
ウチは、こんな風じゃなくて良かったと安心しながらもアタシが、こんな母親に絶対にならへんかって不安も同時に出てきて、、、。
「気をつけよう。」なんて思う事で、身動きが取れんくなるんも怖い。
でも、気を付けよう。 -
一番最初に思った事、うちの母はこんな人じゃなくて良かった!
それくらい、さとるとみつるの母親は厳しいと思った。
この火事を境にして、この家族がこれからどのように動いていくのか気になるところ。私としては今まで虐げられて苦労してきたのだから、鉄男と結婚して幸せになって欲しいと思う。 -
急な坂道を登りきった小高い丘の頂上に、女三人が住む一軒家が立っている。厳しい母親と、母を恐れる余り神経症になってしまった長女のさとる、そして二人に反発しながらも家に居続ける次女のみつる。
そんな家族に一人の男が巻き込まれていく。さとるの恋人、鉄男である。今まで付き合ってきた女の子たちとタイプの違うさとるに惹かれていく鉄男だが、この家族の異常さを目の当たりにし、何か恐ろしい秘密が隠されていると感じ始める。
この異様な家族の中に交錯する愛情はなかなか複雑で濃い。男と女でドロドロする小説はあっても、女同士のドロドロはなかなかないのでは? -
「家族」という箱は外からは"ちゃんと"見えないものだ。
きれいにラッピングしてあっても、中のものがきれいとは限らない。
『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ 著)のレビューでも書いたが
これもまた「おんなのひとってこわーい」という感想が(特に女性から)出そうだなあ。
同じ事を書きますが…女なんてこんなもんでしょ。
この作品で怖いのは女ではなく「家族」というひとつの繋がりの形であると思う。
鉄男という第三者が関わることで、箱の中身がどろりどろりと出てきて
読者もろとも重い渦に飲まれていく。
「家」からそれぞれに歩き出したかのようなラストだけれど晴れやかさはなく、
むしろ決して「家族」からは逃れられないような予感がして救われない。
主人公のさとるが「家」を自分の手で解体したその力は、
悲しいかな母親ゆずりの血を以って出せたようなものだと思えるから。
終始重い雰囲気のままなので疲れるけれどそれでも読みきってしまうのは
誰でも「家族」という箱の中にいるからなのだと思う。 -
圧倒的な権力で家族を押しつぶす母親
心を病む長女。必死にもがく次女
長女の年下の恋人の素直さが救いかなぁ
でもあんな家族を背負うのは
もし私が男だったら、やっぱり逃げてると思う
かなりヘビーな1冊 -
なんかひんやりしてて怖い雰囲気のお話。
歪んだ家族のなかにある闇。
そこから逃れようとしてる妹とか、
人間味ある鉄男とかが救いかな。
やっぱりこの人のお話好きだなー。 -
怖い、とても怖かった。鉄男の環境が両極端へ飛ばされまくり、ある意味翻弄されているのが、とても怖かった。ホラー映画の恐怖とはまた別の怖さ。いろいろもっと適当にやってかないとこんな風になってしまうかも、という感じ。
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