群青の夜の羽毛布 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1104
レビュー : 139
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877287184

作品紹介・あらすじ

家族っていったい何でしょうね?たまたま血が繋がっているだけで、どうしていっしょに暮らしているんでしょう。-丘の上の一軒家に住む女三人。家族とも他人ともうまく関係を結べずに大人になった長女と、その恋人をめぐって、母娘の憎悪、心の奥底に潜めた暗闇が浮かびあがる…。恋愛の先にある幸福を模索した、ミステリアス長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • これは辛い。読み終わってからも悲しい気分のままでした。この世界から早く抜け出したいと思ってしまいました。最後はああ良かったと思える本が好きなのです。でも母親が怖いと感じることはとてもよく分かります。仕事をするようになるまでの人生と言うのはかなり視野の狭い世界を生きていると思うのです。社会に出て初めて自分の家の内情が客観的に見えてくる。私はそれを体験したので母親に逆らえない気持ちは理解できます。でも、それにしても悲しい作品でした。

  • *若干ネタバレ注意

    カウンセリングの話と、物語の展開を効果的に並行して伝えているのがさすがだなぁと思った。当初、カウンセリングを受けているのは主人公だと思い、中盤では母親かと思った。かとおもいきや・・・。これぞ、小説だからできる表現だと思った。
    それと、最後。主人公があそこまでしなければあの家から離れられなかったということに、とても共感した。時に人は、何かと決別するために、行き過ぎる所までいってしまわなければ、どうにも自分を止められなくなる。そういう弱さを抱えながら、もがいて苦しむ様子が、心に突き刺さった。
    山本文緒さんは、弱さや卑怯さ、卑屈さを抱え、ピュアで愚直すぎるほど真っ直ぐな人間を描くことに関しては、卓越していると改めて思った。

  • 初めて読んだ山本文緒さんの作品。どこで見かけたのか思い出せないけれども、たぶんどこかでレコメンドされていたのだと思う。

    母親の恐怖政治的な支配のもとで育った二人の娘とか、その父親など、複雑な家族関係が常軌を逸しているとは思うが、でも実際にこれに近しい家族は結構いるのではないかとも思う。家族の形態はいろいろあるなぁとも思えるし、家族は一番近い存在だけに非情にもなれるという点がこの話の根底にある気がする。なかなか面白かったので☆4つで!

  • 意外と心理サスペンスだったんだけど、なんかもうちょっと掘り下げてくれても良かったかも。

  • サイコホラーかと思っちゃったよ。
    というくらい、主人公さとるの思考回路がヤバい。
    鉄男との結婚を思い詰めるところが本当に怖い。。。

    母娘の関係の異常さも生々しい。
    でもラスト前に母親が「私だってこんなに妥協してやってんのにあとどうすりゃいいっていうのよ!」「何でも私のせいかよ!」みたいに言うところは、確かにそうだよなあ、、、と思う部分もある。
    次女という立場も大きいだろうけど、みつるは何とか育ってるわけだし。

    鉄男と母親が何で寝たのか、っていうかその出来事ってストーリー上必要⁇とか思っちゃうけど、それでさとるがキレるわけだから必要か。
    でもなんか唐突な感じがした。

    そして鉄男が嘘をついてたっていうのも、は?ってなる。
    結婚しようとか、今までのモノローグはなんだったわけ?
    やはり少し唐突に感じる。

  • ただの恋愛ものかともったら、結構病んでる小説だった。

    家事手伝いのさとると、彼氏の鉄男。
    もう立派な大人なのに門限を物凄く気にしたり、母親に逆らえない様子なのに、簡単に体を許してくれたりするさとるに、不思議に思いながらも惹かれていく鉄男。

    しかし、家族には秘密があった。

    支配的な母親と、一階の座敷牢のような場所に監禁された父親。その二人から逃げる為、さとるは実家に火を放つ。

    所々入るカウンセラーとの会話が誰のものなのか気になっていましたが、あれは父親とさとるの会話だったんですね。

    なかなかヘビーな内容なので、精神的に余裕のある時に読む事をお勧めします。

  • ミステリというよりもミステリアスな雰囲気が終始漂っている作品だった。
    そのおかげで一気読み。
    この不思議な感じの正体が知りたくて。
    最初どこにでもある母子家庭なのかなと思っていた。
    母親はきつそうで、姉は精神的に病んでるのかな、妹は妹らしい子だなと何の疑いもなく読み進めていたんだけど、どこかで何かが引っかかる。小骨のようなもの。あるのかないかもわからないレベルの違和感。
    それがどこからなのかは判然としない。たぶんずっと。最初からだと思う。
    その小骨が知らぬうちに大きくなっていく。
    山本文緒さんの作品を読むのは初めてなのだが、どの作品もこんな感じなのだろうか。
    落差がない。じわじわ。本当にじわじわ不思議さが増していく。最後までそれは変わらず、違和感の正体がわかっても収縮もしない。なんだこれ、と思った。
    共感するところもあまりない。好きになれる人物もいない。
    ただ、なんか惹かれる。けれど、その正体もわからないという謎だらけの作品。
    読み終えた時に心に残ったのは虚無感と満足感。相反するのに共存しちゃっている。何度も言うけれど、本当に不思議。

  • 家族が病んでいる理由と鉄男がどういう選択・決断をするのか気になり一気読み。母親が恐ろしい…けれど、ここまでではないにしてもこのように子供を“去勢”している母親或いは父親って世の中に沢山いると思う。 真っ先に家族とサヨナラしていきそうなみつるがそうしないことが少し不思議だったけれど、あんな家族でも大事なんだろうなと…そして母親が病院のベッドで娘と夫の悪口を言うシーンで、この人もこの人なりに家族を想っているんだと感じた。

  • 歪んでても歪んでなくても家族は家族なんやろうなぁ。
    ウチは、こんな風じゃなくて良かったと安心しながらもアタシが、こんな母親に絶対にならへんかって不安も同時に出てきて、、、。
    「気をつけよう。」なんて思う事で、身動きが取れんくなるんも怖い。
    でも、気を付けよう。

  • 図書館にて借りました。

    「家族って何だろ?」がテーマだと思う。
    少し私の実家と似ていた。
    母が絶対。
    「~しなさい」「〇〇はこうしたら間違いないの!」
    良く聞いたな~。
    今では笑い話(笑)

  • 一番最初に思った事、うちの母はこんな人じゃなくて良かった!

    それくらい、さとるとみつるの母親は厳しいと思った。
    この火事を境にして、この家族がこれからどのように動いていくのか気になるところ。私としては今まで虐げられて苦労してきたのだから、鉄男と結婚して幸せになって欲しいと思う。

  • なまつめたい血が流れる一家。


    『群青の夜の羽毛布』――とても綺麗な題名で、綺麗すぎて緊張しながらめくりました。
     帯には「家族という名の暗闇」と不安をかきたてるコピー。そして、ホームドラマの恐怖が幕を開けます。よその家は秘密でいっぱい。外の人間には分からない、家の中だけで完結している世界があるのです。

     だいたい、その体に一様に同じ血が流れているということは、呪いにも似ていると思いませんか。
     さとるの家の血は、なまぬるいというよりすこし低そうで、なまつめたいとでも言いましょうか。顔色が青白いときほど魅力的な彼女。何度も起きる貧血に変なリアリティが★ 血の濃さを考えれば、一家で一番色っぽいのが母親なのも理解できます。次女みつるまで行くと血が薄まるようで、彼女の明るさやさっぱりした言動が、よどんだ空気の中で清涼剤のよう……。

     この血の結びつきから抜け出したくて、抜け出せなくて、恋人にSOSを発するさとるですが、救いの求めかたが「連れていって」ではなく「一緒に住んでほしい」になってしまう★ うまく出ていくことさえできないのです。

     きっと解放を意味する結末だったのだろうけれども、読後、まだぬるいようなつめたいような感覚が残っています。血のつながりは、スパッと切れるものではないですね~。

     この小説を著した山本文緒さんの文章も、何だか"なまつめたい"感触でした。一人ぐつぐつ煮るおでんも、夜に聞く灯油ポンプの音も、事故も怪我もみんなテンション低く、不気味な丁寧さで。黙々と書き綴っている感じに、小説家という仕事人のやることなのだなぁと感嘆します。

     で、突っこむとすれば、さとるの一家ではなくて、彼氏ですよ★ つきあってる女の子の前で、ご飯にお味噌汁をぶっかけるかな。恋人の妹や母親まで嫌らしい視線で見たり。どこまで不作法なの? やけに淡々と綴られてるから、今時の男の子はこれくらいが健全なんでしょうか……。

  • 急な坂道を登りきった小高い丘の頂上に、女三人が住む一軒家が立っている。厳しい母親と、母を恐れる余り神経症になってしまった長女のさとる、そして二人に反発しながらも家に居続ける次女のみつる。
    そんな家族に一人の男が巻き込まれていく。さとるの恋人、鉄男である。今まで付き合ってきた女の子たちとタイプの違うさとるに惹かれていく鉄男だが、この家族の異常さを目の当たりにし、何か恐ろしい秘密が隠されていると感じ始める。
    この異様な家族の中に交錯する愛情はなかなか複雑で濃い。男と女でドロドロする小説はあっても、女同士のドロドロはなかなかないのでは?

  • 「家族」という箱は外からは"ちゃんと"見えないものだ。
    きれいにラッピングしてあっても、中のものがきれいとは限らない。

    『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ 著)のレビューでも書いたが
    これもまた「おんなのひとってこわーい」という感想が(特に女性から)出そうだなあ。
    同じ事を書きますが…女なんてこんなもんでしょ。


    この作品で怖いのは女ではなく「家族」というひとつの繋がりの形であると思う。
    鉄男という第三者が関わることで、箱の中身がどろりどろりと出てきて
    読者もろとも重い渦に飲まれていく。

    「家」からそれぞれに歩き出したかのようなラストだけれど晴れやかさはなく、
    むしろ決して「家族」からは逃れられないような予感がして救われない。
    主人公のさとるが「家」を自分の手で解体したその力は、
    悲しいかな母親ゆずりの血を以って出せたようなものだと思えるから。

    終始重い雰囲気のままなので疲れるけれどそれでも読みきってしまうのは
    誰でも「家族」という箱の中にいるからなのだと思う。

  • 圧倒的な権力で家族を押しつぶす母親
    心を病む長女。必死にもがく次女

    長女の年下の恋人の素直さが救いかなぁ
    でもあんな家族を背負うのは
    もし私が男だったら、やっぱり逃げてると思う

    かなりヘビーな1冊

  • だいぶ前の作品だから携帯などなく公衆電話からの電話だったり、ディスコに集まる若者だったり、なんとなく時代を感じさせます。でも、内容は今の時代に読んでも面白かった。
    山本文緒さんの描く女性像はいつもどことなく不安定で、誰もが持っているかもしれない心の奥底の淀んだ部分を突いてくる感じ。それが、恐怖でもあり、共感するところでもあり、ついつい惹きこまれてしまいます。
    この話は母親が強烈すぎて、父親が弱すぎて、現実離れしている感がありながら、さとるの精神的弱さや恋愛に依存してしまうあたりにリアルを感じました。
    家族だからこそ甘えられる部分があったり、行き過ぎてしまう部分ってあるよな~と考えさせられます。

  • 家族っていろんな形があるだろうけど、一つくらいは他人には理解できないような部分があるよね、と。


    さとるに苛立ちながら読んだのは、彼女は私に似ているかもしれないという思いがどこかにあるからかもなあ、と。あそこまで圧迫されてるわけではないし、不安定でもないつもりだけど。


    どうして不安定な人って見てて苛つくんだろう。苦しんでいるのは分かるのに、自分が変わろうとしないから悪いんだってどうして思ってしまうんだろう。弱っているはずなのに、人の顔色をうかがう余裕があるからかな。同族嫌悪ってやつかな。それとも単に、私に思いやりがないからかな。

  • なんかひんやりしてて怖い雰囲気のお話。
    歪んだ家族のなかにある闇。
    そこから逃れようとしてる妹とか、
    人間味ある鉄男とかが救いかな。

    やっぱりこの人のお話好きだなー。

  •  怖い、とても怖かった。鉄男の環境が両極端へ飛ばされまくり、ある意味翻弄されているのが、とても怖かった。ホラー映画の恐怖とはまた別の怖さ。いろいろもっと適当にやってかないとこんな風になってしまうかも、という感じ。

  • すごい!うまい!

    ”音”の描写。
    神経質な長女をあらわしてると思ったら・・・
    父のたてる音に常に耳をそばだてていなければならなかったから。

    先生と患者の談話。
    患者は父だとうすうす気づくけど、先生が長女だったとは!!
    一番始まりのおでんの会話なんて、先生が長女だとわかるとつらすぎる。

    きれてる母。
    「何もかも、母親のせいなの?
    (略)
    そうしたら、私がこうなったのは私の母親のせいじゃない。
    その母親を育てたのは祖母よ。
    どうして育てた人間のせいにするのよ」

    「あの男は私の夫だけど、もともとは血のつながっていない他人よ。
    さとるは血の繋がった娘じゃない。面倒を見て当然よ」

    これくらい自信を持ちたいもの。

  • ぐんぐんと読んでしまった。

    ドライな小説かとおもいきや、もうダークダークダークで…それでも惹かれてしまうお話。

    最後どうなるか心配だったけれど、一筋のほんのりとした光りが見えた気がしてほっ。

    あ〜、主人公の恋人鉄男くんを好きになってもうた。あんな青年いないよなぁ。

  • 狂気的なんだけど、よくありそうでもあり、怖かった。でも面白かった。家族ってなんだろう?と思いました。

  • 悶々としてしまう小説。

  • 怖い、でも一歩間違えば有りがちとさえ思えてしまうような、家族の愛と憎悪。

  • スっと

  • 母親と二人の姉妹との確執。語り手は姉の彼氏だろうか。ヘビーだった。鬼母から逃げろと何度も思った。
    父親に関してはもうむかついて仕方なかった。
    最後は意外だった。覚悟しながら読んでた。

  • 先生、こんばんは。
    どうぞどうぞ。座って下さい。

  • 各章の最初のカウンセリング、段々と謎が解けていく。
    なんだか不思議な家族。母姉妹。
    でも面白くて一気に読んだ作品。
    なんだか山本文緒はいつも切なさを秘めた物語を書く。
    そしてそれがあたしの心にどかーんとくる。
    たまに怖さも加わる。
    でもなんだか好きなんだよねー
    ちょっと前に読んだやつだから、記憶がちょっと曖昧。
    そんなわけで星は4つ。

  • 家族の複雑さ。その裏にある秘密。
    何やら悲しい家族とその中の娘を好きになってしまった男性の物語。
    家族には家族にしか解決できない何かがあるのだろうか?人は何かを隠しながら相手を伺いながら生きていくしかないんだろうか?

  • 家族って一体何でしょう。たまたま血が繋がっているだけで、どうして一緒に暮らしているんでしょう。丘の上の一軒家に住む女3人。家族とも他人ともうまく関係を結べずに大人になった長女と、その恋人を巡って、母娘の憎悪、心の奥底に潜めた暗闇が浮かび上がる。。恋愛の先にある幸福を模索した、傑作長編小説。家族って一体何なんでしょう・・・とか疑問を投げかけておきながら、結局恋愛に視点を向けてるお話な気がした。恋愛の拗れた部分から、母は娘に対する裏切りを。父は母に対する復習を。アタシに言わせれば、卑怯な程にとても醜いやり方で。恋愛は,プラスのエネルギーを生み出してくれるものだと、今もそう信じたいアタシにとっては、何だか凹んでしまうようなストーリーだけれど、本の中の毒の具合にはまった。映画化されるらしく、本上まなみ主演らしいんだけど、ぜひ見てみたい。

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著者プロフィール

1962年11月13日横浜生まれ。 神奈川大学卒業後、OL生活を経て、87年「プレミアム・プールの日々」でコバルト・ノベル大賞、佳作受賞。 99年「恋愛中毒」で第20回吉川英治文学新人賞、 2001年「プラナリア」で第124回直木賞受賞。

「2019年 『シュガーレス・ラヴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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