雪を待つ八月 (幻冬舎文庫 い 7-8)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877287597

作品紹介・あらすじ

「他に好きな人ができた」という年下の恋人・雪道の告白で、二年にわたる同棲生活が終わろうとしている。彼が出ていく日まであと一カ月。恋のはかなさを嘆き、彼が好きになった人を想像する優美は、八月の空に雪が降るような奇跡が起こることを祈る-。世界中で一番近くて遠い二人の切ないけれど暖かい恋物語。文庫書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 優しく流れる川みたい。
    ゆるやかに寄り道しながら
    広い海に飲み込まれていくような。


    ***


    「つらい」「くるしい」を
    素直に的確に口に出せる人って
    実はそんなに多くない。
    それ故の葛藤とか悲しみとか
    そういうものが描かれた一冊。
    いろんな恋の形がある。
    そして必ず
    それに意味を見出す人がいる。
    例えそれが、客観的には
    「バカじゃないの」と思っても。

    読んでいて、煮え切らないのに
    どうしてか優しい。
    この人の文章、好きだなぁ。


    (菜美姉よりオススメしていただきました)

  • 小学生の頃、ティーンズハートというピンク色の背表紙が書店の棚で存在感を発揮しまくっていたレーベルにハマっていました。

    今でも第一線で活躍されている作家としては、小野不由美先生や藤本ひとみ先生なんかが有名ですね。
    当時は小野先生が学園モノのミステリ、藤本先生がフランス風ファンタジーを書かれていたので、近年の著作の前身を生み出したレーベルといっても過言ではないのではないでしょうか。

    で、本作の著者である狗飼先生がティーンズハート出身の作家ってわけでもないのに、なんでこんな話をくだくだしく述べたかと言いますと。

    文体はティーンズハートを彷彿とさせるライトな読み口なのに、どっこいヒロインが異様にヘヴィな女のラブストーリーだったんですよね。。。。。(震)。

    子供の頃の読書体験を思い出しつつ、私自身の経験を重ねたりして、なんだか複雑な気持ちになったのでした。





    恋って、どんな風に始まるものだったろう。誰かが教えてくれたらいいのに。

    私が彼女に、彼女たちにかなうわけなんかない。だからいつも、最初からあきらめた。

  • 200pくらいの短い小説。
    失恋しているのに柔らかい話。

  • 8月に降る雪の奇跡を願うように、恋人の離れてしまった気持ちが戻る奇跡を願う1ヶ月。もうどうにもならないことを受け入れていく過程で気付かないくらい少しずつ強くなっていく女性。せつない、悲しい、苦しいけれど、少しあったかい。

  • 女って怖い。というか、こんな感じでたくさん恋してたら疲れそうだね。

  • 他に好きな人ができた。



    同棲していた年下の彼氏から告げられた優美。


    彼が出ていくまであと一か月。


    それまでに彼の心を取り戻したい。


    高校時代大好きだった作家さん。

    たくさん読んでいたはずなのに、この作品は読んでなかったのかな。

    この人の書く恋愛小説は自分にぴったりとハマるものが多くて、よく読んでいました。


    5年くらいたちますが、ますますこの人の書く女性に似てきたような感じがします。

    最初の一節で、私もかつて似たようなことを付き合っていた人に言ったことがあるなって思い出させられました。

    ストーリーというよりは感情の揺れが細やかに表現されていて、切なさがこみあげてきます。


    優美の必死な姿をなんとなく自分と重ねてしまってところどころ一息入れながら読みました。


    でも、絶対に忘れないっていう彼の言葉は物語の中だから理想どおりだけど、現実はあっさり忘れて思い出されることもないんだろうな。

  • 今読むのはきついけど、いつか読むかも読まないかも。

  • 「他に好きな人ができた」。
    年下の恋人、雪道の突然の告白を冷静に受け止めようとする優美。しかも別れを決めた後でも、あと一ヶ月は一緒に暮らそうと申し出る。
    昨日までぴったりと寄り添っていたはずの二人に、今日から距離が生まれるなんて…。いつでも突然にやってくる別れに、やりきれなさが募り、過ぎ去った恋を忘れることができない。その思いが、知らず知らずのうちに相手を追い詰めていくという悪循環。
    別れるときまで限りなく優しい雪道くんに救われる。男の人がみんなこんなふうに思ってくれているならいいのになぁ、と思ってみる。

  • 別れ話からはじまる物語。彼に次のバイト代が入るまでの一カ月、一緒に暮らす。恋の終わりなんてすっぱり切ってしまったほうがいいのにとおもうけれども、思い切れないのもわかる。やさしくみまもりたくなる元恋人たち。

  • 最初から最後まで胸が痛かった。
    恋の終わりからエンドロールまでの切ない切ない物語。

    狗飼さんの他の作品を読んでみたいかも。

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