幼な子われらに生まれ (幻冬舎文庫 し 4-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877287689

作品紹介・あらすじ

三十七歳の私は、二度目の妻とその連れ子の二人の娘とありふれた家庭を築く努力をしていた。しかし、妻の妊娠を契機に長女は露悪的な態度をとるようになり、『ほんとうのパパ』に会いたいと言う。私も、長女を前妻との娘と比べてしまい、今の家族に息苦しさを覚え、妻に子供を堕ろせと言ってしまう-。「家族」とは何かを問う感動の長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • いちばん近くの人を愛する、大切なことですね。家族や父親について深く考えたことはなかったですが、少しだけ覚悟というか心構えのようなものが芽生えた気がします。

  • めちゃくちゃ良かった。
    めちゃくちゃ泣いた。

    子連れ再婚て難しいとは想像してはいたけど、
    特に思春期の女の子になると、
    扱いにくいよね、
    ましてちょっとひねくれてるような子だと更に。

    主人公が長女に暴力を振るってしまったり
    妻に冷淡な態度をとってしまう部分は
    すごく辛くて、家庭崩壊、
    もう限界別れたいと思う気持ちにも共感でき、

    長女が実の父との約束を破って
    すっぽかされた父の気の毒さや
    プレゼントのセンスの無さにも
    切ない気持ちになって、
    後半はめちゃくちゃ泣けた。

    アンジーの
    一番近くにいる人を一番好きでいること、
    って、すっごくいい考えだよね。
    なかなか難しいとは思うけど、
    こういう考えに出会えてよかった。

  • テーマは家族。
    バツイチ同士の結婚。
    それぞれに子供が。
    奥さんもタイプが全く違う。
    そこに新しい命も。
    複雑な家族の中での少し頼りない「おとうさん」目線での苦労と成長。
    さすが重松氏 という、最後は勇気を与えてくれるいい作品でした。
    世のお父さんにお勧めの一冊です。。

  • まずこの多感な小学校高学年の長女の表情から感情の描写のリアリティの高さに圧倒された。
    夫婦も元は赤の他人、連れ子だって「私」からしてみれば半分血の繋がってない他人。その中で「私」はいい父を演じる。
    1990年代の「複合家族」をそのまま忠実に表現した題材。当時の社会問題を訴えるような作品。
    「私」の立場となって読み進めると、もどかしさで胸がウズウズした。父親って複雑な立場だと思った。

  •  バツイチ同士の結婚。妻の連れ子と暮らしていて、いい家族になりたいと思っている。妻は妊娠し、もうすぐ5人家族になる。しかし、自分の本当の娘への想いが強く、難しい時期に差し掛かった連れ子の反抗に、家族とは何か分からなくなっていく。 
     こういった家族を複合家族と言い、フランスではとても増えてきているそうだ。そして、日本でも増えているのかもしれない。
     連れ子の薫の反抗に、ものすごくイライラしてしまったけれど、薫が悪いのではない。この複雑さに、明るくまっすぐ生きていける方が普通ではないのかもしれない。
    どのように収まっていくのか、最後が知りたくて、あっという間に読むことができた。

  • 「親の都合」で離婚、残された子供たちは全員が犠牲者なのだ。特に思春期を迎えた少女にとっては「父親」と言う存在はちょっと違う感覚なのだろうか、「本物の父親とそうでない父親」を認めたくないのだ。子供への気持ちをどのように理解し、慰めればいいのか。現実とても難しい判断だと感じる。結局「親の都合」は親が対応しなければ治らないと言うことになる。

  • バツイチで二度目の結婚をした37歳の主人公。妻も二度目の結婚で、ふたりの連れ子の娘がいた。理想的な家庭を気付こうとしていた奮闘した主人公。家族とはなにかを問う作品。

  • 同僚がオススメと言って貸してくれたので読んだのだけど、途中で「あ、これ読んだことあるな・・・たしかこの子ホットドッグ食べるよね・・・」と思いながらも結末が思い出せなかったので最後まで再読。
    連れ子のいる女性と再婚した主人公は、二人の子どもを、離れて暮らす我が子とどうしても比べてしまう。そして罪悪感を抱く。
    そして、妻との間に新しく命が宿った。大丈夫だろうか?この家のバランスは保たれるだろうか?上の子はわかりやすく父親に反抗し始め、下の子はまだ状況を理解できない。なんでも頼ってくる妻と、キャリアウーマンだった前妻をつい比べてしまう。
    男性目線で書かれているので、時々、今の奥さんを馬鹿にしているようなところとか、本気で腹が立ってしまった。
    心理カウンセラーとして活躍する研究者でもある前妻が、雑誌に寄稿した文章、という設定で、「自分が思い描く将来が、確かだとは誰にもいえない」というようなメッセージが書かれているが、この部分が今の私には一番印象に残った。
    一生懸命仕事と家事・育児を両立しながら毎日を過ごし、それもこれも、思い描く未来のためだから・・・
    10年後、20年後の子どもの成長を楽しみにしながら、日々を生きているから・・・
    それは、確かな未来だと思いたい。

  • 「一番身近な人を好きでいることが幸せ」→そうなんだろうな。好きでいることが幸せ、と言うのか、好きでいられたら、それは間違いなく幸せ。だけど難しいよな、、、近いからこそ。

    賢い女に憧れる。鈍い女はイヤだと思う。これ、自分のイヤなところなんだろうな。

  • ツギハギだらけの家族。
    家族を演じているだけなのか。
    途中からダメになったんじゃない。
    初めからダメだったのだ。
    スタートすらしていなかった。
    それでも、ツギハギだらけでも嘘でも嫌いでも家族になれる。
    途中でダメになったら、そこからまた、スタートすればいい。
    それぞれが違う方向に向かうスタートでもいい。
    一歩でも踏み出せれば。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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