- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877287689
作品紹介・あらすじ
三十七歳の私は、二度目の妻とその連れ子の二人の娘とありふれた家庭を築く努力をしていた。しかし、妻の妊娠を契機に長女は露悪的な態度をとるようになり、『ほんとうのパパ』に会いたいと言う。私も、長女を前妻との娘と比べてしまい、今の家族に息苦しさを覚え、妻に子供を堕ろせと言ってしまう-。「家族」とは何かを問う感動の長篇小説。
感想・レビュー・書評
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いちばん近くの人を愛する、大切なことですね。家族や父親について深く考えたことはなかったですが、少しだけ覚悟というか心構えのようなものが芽生えた気がします。
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まずこの多感な小学校高学年の長女の表情から感情の描写のリアリティの高さに圧倒された。
夫婦も元は赤の他人、連れ子だって「私」からしてみれば半分血の繋がってない他人。その中で「私」はいい父を演じる。
1990年代の「複合家族」をそのまま忠実に表現した題材。当時の社会問題を訴えるような作品。
「私」の立場となって読み進めると、もどかしさで胸がウズウズした。父親って複雑な立場だと思った。 -
バツイチ同士の結婚。妻の連れ子と暮らしていて、いい家族になりたいと思っている。妻は妊娠し、もうすぐ5人家族になる。しかし、自分の本当の娘への想いが強く、難しい時期に差し掛かった連れ子の反抗に、家族とは何か分からなくなっていく。
こういった家族を複合家族と言い、フランスではとても増えてきているそうだ。そして、日本でも増えているのかもしれない。
連れ子の薫の反抗に、ものすごくイライラしてしまったけれど、薫が悪いのではない。この複雑さに、明るくまっすぐ生きていける方が普通ではないのかもしれない。
どのように収まっていくのか、最後が知りたくて、あっという間に読むことができた。
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「親の都合」で離婚、残された子供たちは全員が犠牲者なのだ。特に思春期を迎えた少女にとっては「父親」と言う存在はちょっと違う感覚なのだろうか、「本物の父親とそうでない父親」を認めたくないのだ。子供への気持ちをどのように理解し、慰めればいいのか。現実とても難しい判断だと感じる。結局「親の都合」は親が対応しなければ治らないと言うことになる。
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バツイチで二度目の結婚をした37歳の主人公。妻も二度目の結婚で、ふたりの連れ子の娘がいた。理想的な家庭を気付こうとしていた奮闘した主人公。家族とはなにかを問う作品。
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「一番身近な人を好きでいることが幸せ」→そうなんだろうな。好きでいることが幸せ、と言うのか、好きでいられたら、それは間違いなく幸せ。だけど難しいよな、、、近いからこそ。
賢い女に憧れる。鈍い女はイヤだと思う。これ、自分のイヤなところなんだろうな。 -
ツギハギだらけの家族。
家族を演じているだけなのか。
途中からダメになったんじゃない。
初めからダメだったのだ。
スタートすらしていなかった。
それでも、ツギハギだらけでも嘘でも嫌いでも家族になれる。
途中でダメになったら、そこからまた、スタートすればいい。
それぞれが違う方向に向かうスタートでもいい。
一歩でも踏み出せれば。