中国残酷物語 (幻冬舎アウトロー文庫 O 55-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877288914

作品紹介・あらすじ

「秘密の花園で、美女の死体を肥やしにあでやかな百花を育てる男」「妻と弟の仲を疑い、弟の両手を切断、妻を生きながら壁にぬりこめた男」「憎い側室の手足を切り、鼻を削ぎ、耳を焼き、糞だめの中に放りこんだ皇后」…壮大な中国の歴史を舞台に語られる、この世で最も残忍残酷な拷問・復讐・惨殺・処刑の数々。人間はやはり悪魔だったのか。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルからして、なんだか悲惨な光景が目に浮かんでくる。ショートストーリーを「邪悪な誘惑」「怨念の冥府」など5章に分けた短編集である。ちょっとやばい挿絵付き。
    中国といえば、去勢をした後宮の役人“宦官”や、女性たちの“纏足”などが有名だが、そんなの序の口だ。人間の体を牛や鶏、いやそれ以上に残酷に扱う為政者たちのおぞましい振る舞いが、長い歴史の中では当たり前のように繰り返されてきた。その一端を覗くことが出来る一冊。スプラッタものが苦手な人は読まないほうがいいかも。

  • 人間の業とは思えない
    人がここまでできるのだと信じたくない
    事実なのか、作り話なのか
    錯覚を覚えるような内容だった

  • 残酷でどこか美しい救いのない話
    解説が作曲家の三枝成彰氏

  • 短編なので、ツラツラ読めるが、「えっ?これでおしまい?」と驚くほど短い話も多く、あっけなく終わった。

  •  もう二十年も前のことになるが、中学生の時に初めて『三国志』を読んで以来、私は中国の古代史が大好きである。そこに生きる英雄・豪傑や軍師・参謀などは、とにかく魅力的な人物が多く、少々性格に難があっても気にならないくらい、私は彼らと古代中国に愛情を感じてしまっている。

     『中国残酷物語』は、その中国の歴史の裏面に存在する、暗黒や死を、あくまで残酷な舞台装置でもって紡ぎだしている。中国好きの私でさえ、「中国人はえげつないのぅ!」と唸ってしまいそうになるほどだ。だが、あまりに残酷な話を聞くと、何故だろう、体の中の芯が痺れるような快味を覚えることがあるのも、人間の不可思議なところだが、この本もまた、なぜか官能的な香りに満ちている。

     本書は、きわめて短いエピソードの集積で、数々のエピソードが、五つのテーマに沿って振り分けられている。すなわち、
    一…邪悪な誘惑
    二…怨恨の冥府
    三…欲望と本能の猛り
    四…非情の運命
    五…凄惨な極刑
    である。

     各エピソードは、初めて読むものもあれば、(あー、コレはあの説話を基にしているんだろうな)と明確に分かるものもある。私が知らなかった話でも、もしかしたら、出典となる文学作品や歴史上の逸話があるのかもしれない。中には『唐宋伝奇集』あたりに似た話がありそうな気配もある。

     おびただしい数の美女を殺して、庭に埋めて花々の肥やしにし、えもいわれぬ美しい庭園を造る男。

     人間の胎児の生き胆で不老不死の霊薬を作る為、子を孕んだ側女が臨月になるのを待ち、その腹を裂いた始皇帝。

     専横を極めた宦官を、他の臣下へのみせしめに、生きながらにして一寸刻みにしていった清国第三代皇帝・順治帝。

     中国における世にも残酷な話は、それこそ枚挙に暇がない。
    他にも、堕胎された胎児の肉を使って肉団子を作り、自分の小料理屋で男たちに食べさせる婆さんの話などもある。

     中国史関連の本を読んでいると、人肉団子の話がちょくちょく出てくるのであるが、古代中国人はそんなに人肉がお好きだったのだろうか。そういえば、、子供の丸蒸し料理を好んで食した皇帝もいたとされているし、『三国志』の劉備だって、流浪先の民家の主人から、その妻の腿の肉料理を振舞われている。それから、これは物の本で読んだ記憶があるのだが、古代中国では食用の人間を飼育していて、その食用人間は「二本足の羊」という意味の言葉で呼ばれていたらしい。それが何という名前だったか、何の本に書いてあったのかも思い出せないのが情けないが、今度その本を見つけ出せたら、すかさず、この項に加筆しておきたいものである。こういう時に検索をかけられるように、私は読書ブログを開設したのだから。

     それにしても、私はカニバリズムにさほど、いや全然関心を持っていないが、人間って食べると羊肉のような味がするんだろうか…。

     本書のカバーデザインは鮮やかな黄色の背景色に、牡丹様の花が咲き、その中に薄物を身に纏った侍女風の中国美人が盆を捧げて佇んでいる。その盆に載っているものは、一個の、血の気をすでに失った女の首だ。口紅と花簪と歩揺だけが色を留めているのが、かえって不気味である。

  • 歴史書(ノンフィクション)かと思ったら違った…
    解説に「ポルノ」であるが、ポルノでないって書いてあってガッカリした。

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著者プロフィール

1931年、東京・神田三崎町生まれ。作家、画家、チェリスト。著書『闇の博物誌』『ドラッグストア』『ブリミアーナ』(いずれも青弓社)、『ロベルトは今夜』『雪香ものがたり』『ナージャとミエーレ』『恋寝刃地獄聞書』(いずれもトレヴィル)、『夜想30 枕絵』(ペヨトル工房)、『リラの門』(太田出版)ほか。

「1993年 『死の舞踏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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