- Amazon.co.jp ・本 (683ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877372613
感想・レビュー・書評
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『百合子、ダスヴィダーニャ』を読んだときから、こっちの往復書簡も気になっていたのだが、近所の図書館に所蔵がなく、ついつい後まわしになっていたのを相貸でようやく借りてくる。小さな字の2段組で700ページ近くある本は、枕みたいであった。
表紙装画は『はなげばあちゃん』の作者でもある山田真奈未さんで、山田さんから「内容も抜群に面白い!」とうかがっていたし、いわば『百合子、ダスヴィダーニャ』の元ネタのようなものなので、読んでみたかった。
百合子の手紙は、すでに公刊されたものがあったが、この本では、百合子の手紙と芳子の手紙の双方を、ほぼ時系列に収録し、注釈がつけられている。おさめらている手紙が二百数十通。
本の大半をしめるのは二人が共に棲みはじめる前の1924年の手紙。元号でいえば大正13年、20代の後半の二人は毎日のように手紙を交わしている。郵便が届く時間にはそわそわし、相手からの手紙がこないとがっかりし、がっかりした気持ちを正直にまた次の便りに書く。郵便局で、集配時間がいつかと訊いたりもして、その時間に合わせて急いで書いている日もある。書いて書いて書きまくっている。
私も十代の後半から二十代の前半のころ、ずいぶん手紙を書いたなあと思う。毎日のように書いていたこともあるし(これはペースの合う相手がいないとなかなかできないが)、毎日のように顔を合わせながら、互いにハガキを出しあっていたこともある。長い長い手紙を書いていたころもあったなあと思う(大量に書くので、一番安い白い便箋を使っていた)。思い出すと、「青春」という感じである。
二人の手紙を読んでいると、東京で、ものを書いたりする女、機関誌の編集をしていたような女がどんな風に暮らしていたのかも、ぼんやりわかる。このころは温度は華氏なんやというのも発見だった。
二人の話を、浜野佐知監督が映画にする。
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