図書館の電子化と無料原則(多摩DEPO6): 特定非営利活動法人共同保存図書館・多摩第4回総会(2011・5・29)より (多摩DEPO) (多摩デポブックレット 6)

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  • 共同保存図書館・多摩
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  • Amazon.co.jp ・本 (45ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877514570

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  • 図書館関係のブックレットシリーズ。
    講演をまとめたものと、付録にほぼ同内容の小論と参考資料あり。
    図書館の基本となっている「保存原則」にくらべて、「無料原則」はまだ定着しきっていない。
    その中での無料原則問題について。

    ・図書館は無料であるべき。
    ・電子化しても無料原則はつらぬくべき。
    ・そしてただそれを主張するのではなく、なぜ図書館だけが無料なのかを考え続けるべき。

    という話がされるのだけれど、最後に本人が言っているように抽象的すぎる。
    考えてどんな答えが出たのか、なぜそう主張するのか、さっぱりわからない。
    前提を共有している人の間の講演だから、一般向けに出すにはかなり省略がある。

    私は無料原則を必須だと思っている(著者と同じ答えを出している)けれど、それでもわからなかったんだから、有料化派の人をこれで説得するのは無理だ。
    私は無料原則を「知を万人にひらく」という啓蒙的な意味と、娯楽も含めた「文化に触れる機会の均等」のためだと思ってる。

    著者もそうだと思う。
    でもそこで例に出すのが「退職したインテリで死ぬ前の身辺整理を始めた老人(自分)は図書館がないと困っちゃう」というものだから、納得するのが難しい。
    この言い分だと、嫌な言い方だけど「お前の都合なんか知らねえよ金あるなら買えよ」とか「年寄が学ぶことで社会になんの利益があるの?」という「反論」に勝てない。


    図書館の価値は「役に立つ」とは距離をおいたところにある。
    教育とか文化、即戦力みたいな短期的でわかりやすい「効果」だけでは測れない。
    そういう主張も必要なんじゃないかな。


    インテリ(本好き)が死ぬと、たくさん本がのこるので遺族が処理に困る。
    故人の愛したものだから捨てにくいという心理的な負担もある。
    という話は面白かった。
    そうか、本好きはそういうことも考えなくちゃいけないのか。

  • わりと平易。
    無料原則なぁ…貫くべきか、お金取るか。

    深く考えて言ってるわけじゃないが、なんとなく、利用した人からお金とるのは違う気がする。
    公立図書館はそれをやっちゃいけない気がする。
    極端な話、貧乏人は図書館使うなってことになるから。

    国民健康保険が保険料とるみたいに、図書館運営用に一定のお金を全国民からとるとか…?

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著者プロフィール

1938年、福岡県生まれ。評論家・元編集者。早稲田大学文学部を卒業後、演劇と出版の両分野で活動。劇団「黒テント」演出、晶文社取締役、『季刊・本とコンピュータ』総合編集長、和光大学教授・図書館長などを歴任する。植草甚一やリチャード・ブローティガンらの著作の刊行、雑誌『ワンダーランド』やミニコミ『水牛』『水牛通信』への参加、本とコンピュータ文化の関係性の模索など、編集者として多くの功績を残す。2003年『滑稽な巨人 坪内逍遙の夢』で新田次郎文学賞、09年『ジェローム・ロビンスが死んだ』で芸術選奨文部科学大臣賞、20年『最後の読書』で読売文学賞を受賞。他の著書に、『したくないことはしない 植草甚一の青春』『花森安治伝 日本の暮しをかえた男』、『百歳までの読書術』、『読書と日本人』など。

「2022年 『編集の提案』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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