聡明な女は料理がうまい

著者 :
  • アノニマ・スタジオ
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877587123

感想・レビュー・書評

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  • ブックフェアのアノニマ・スタジオさんのブースでお勧めしてもらって購入しました。
    著者は桐島 洋子さん。
    1976年に発行された本の復刻版です。

    この本で初めて著者のことを知りましたが、調べれば調べるほど自由奔放でおもしろい女性です。
    そんな彼女のユーモアと機知に富んだ内容が詰まった1冊で、ここのところ料理に前向きなのは間違いなくこの本の影響です。
    冷蔵庫にあるものでささっと料理を作れる女性、心から楽しめるホームパーティを主催できる女性、素敵ですよね。

    料理が得意な人であれば、本書に書かれている食材の分量を見ながら料理が作れるのでしょうか。
    私はとてもそんなレベルではないものの、美味しそうな料理を頭の片隅にメモして、想像し、自分もまずは何か作ってみようという気にさせられます。
    そして注目すべきはこれが単なる料理本ではないところ。料理という軸を通して、世界を駆け抜けた女性の生き様に触れられます。

    初めて刊行されてから30年弱経ちますが、ちっとも古臭くなく、色褪せない1冊です。
    面倒くさいな、料理とか。なんて思ってしまう時は、この本を読んで背筋を伸ばしたいと思います。

  • タイトル通り!
    桐島さんの言う「聡明」とは、自分の目で見て確かめて自分の頭で考える人のこと。

    あらゆる家事の中でも料理は献立の組み立て、効率よい段取り、出来上がりのイメージ喚起、など仕事に通ずる因子が多く、私の周囲を見渡しても料理の手際のいい人は聡明であり仕事もデキる。
    70年代に書かれたものではあるが、本書は料理というファクターで語る「生き方」論でもあり、時代は移ろうが根本的な指針は何も変わっていないのだ。


    琴線に触れたフレーズ。
    『ぬかみそと脳みそはたまにかき混ぜないと』人と大いに会って話すべしとブレーンストーミングを説く。

    『商売繁盛の業者が”うれしい悲鳴をあげる”、判決を聞いた被告人が”ガックリと肩を落とし”といった便利で耳触りがいいけど紋切り型の常套句を使うことなく、自分なりの表現をすべし。』


    型通りのお仕着せを嫌い、イージーに流れることなかれ。
    いつの時代もカッコイイ女は「自分」を分かって持っている人なのである。

  • 題名を見たときに、これは、と思って購入した。聡明な女(一度でいいから言われてみたい)は料理がうまいなんて。1970年代に書かれたものらしく、筆者の強めの物言いには驚いたけど、自分の中でうまく読んでいけば、むしろ痛快にすら感じる。好奇心旺盛で負けず嫌いで食べることが大好きな女性(これは私だ)は、ぜひ!!

  • 1976年にこれが出版されたのは、信じられない先取り感。フェミニズムを一回りし、女ならではの強みを、世界を俯瞰するスケールで最大に楽しんでいこうとする著者の貪欲さが輝く。

  • 最初の書き出しは、かちんとくるところもありますが(飼料..)、道理な内容も多いし、後半の世界各国の料理について書かれているところは読んでいて楽しいです。
    本当に、食に対する探求心が旺盛。
    本人も書いている通り、日常で作っているものとして書かれているレシピはそう変わったものはありませんし
    この原稿自体数十年前に書かれた内容なのですが、今読んでも新鮮に頭に入ります。

  • ほとんどの本について、読むことになったきっかけは大抵覚えているのに、どういうわけかこの本に辿り着いた経緯はめっきり思い出せない。
    が、そんなあいまいな出会いにも関わらず、本当に目が啓かれる、読んで良かった一冊でした。

    会社に隠して隠密出産だの、”ツノっぽくなっちゃった”エピソードだの、何か色々奔放すぎ&胆力ありすぎで、ついてけねぇ…という感じがなきにしもあらずですが、
    未婚のまま三人の子どもを育て上げ、海外を転々と生き延びたオンナの、
    そんなブッ飛びぶりにも関わらず上品で理知的でウィットに富んだ言葉に、終始感心しまくり…
    そして何より驚くべきは、この本の初出は1976年という点。
    今から40年も前に、現代社会の最先端に生きるわたしたちが「あああ~ほんまそれ…!!」と膝を打つような名文句がのっけからボンボン飛び出すという…
    いやー、本当に強烈な一冊でした。


    以下、印象的だったところ。
    ・「たとえすべての女が社会への進出を果たしたとしても、そのかわり家に専業家政夫をかかえなければやっていけないようでは、現在の不自由な男女分業社会のネガとポジを入れかえるだけで、なんの進歩にもならない」(p.21)
    ・「男は女にできる仕事ができないのに、女は男の仕事をどんどんモノにしつつある。無能な男にオンナが追いつくのではなく、有能な”両性具有”の女に男が追いついての男女平等こそが望ましい」(p.22)
    ・「パセリ、三つ葉、しそ、さんしょうなどは、植木鉢に栽培して窓ぎわにでも置いておけば、必要に応じて新鮮なものをチョビチョビ使えるし、”観葉植物”として台所の装飾にもなる。」(p.80)
    ・「冷凍庫は(中略)人間の時間や労力の貯蔵も引き受けてくれるのだ。」(p.90)
    ・「女ってオトナになるとあとはもうだんだんバカになるだけみたい」(p.103)
    ・「うやうやしき召使までは調達不能なので、わが家の子供たち三人に因果を含め小づかいを握らせて給仕をつとめさせた。」(p.116)
    ・ハムでチーズやきゅうりを巻くオードブルは貧しい(p.188)

    この本を血とし肉とできるかは、このあとのわたし自身次第、、、

  • 確かに仕事ができる人の方が料理がうまい。それはどこでも共通することなのか?

    もっと料理を極めたいと思える本。

  • バイブルに決定!
    時々うるさい姑か?!と感じる部分もあるけれど、総じて正しく、背筋と歯ごたえがシャキッとするお料理エッセイ。ためになります。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「バイブルに決定!」
      昔、文庫で読みました(娘の桐島かれんが表紙を飾ってました)。この単行本が2012年9月刊と言うコトは、もう文庫は出てな...
      「バイブルに決定!」
      昔、文庫で読みました(娘の桐島かれんが表紙を飾ってました)。この単行本が2012年9月刊と言うコトは、もう文庫は出てないのかなぁ、、、
      しかし全然覚えてないのは我ながら情けない。
      2013/01/28
  • インスタの読書会タグでお題本になっていたので手にとってみた。頷けるところもあるけど、うーん、となるところもあり。
    各地の料理のレシピは面白かった。実家のチルケ・パプリカーシュよりも具材の種類が多くて、なるほど家庭料理ゆえの違いか、と思うなど。あと、フローズンクッキー、しばらく作ってなかったんだけど、久しぶりに作るのもいいかもと思った。

  • ふむ

  • 数年前に一読していたが、最近ラジオで一部が紹介されて再読したくなった✩.*˚
    著者の潔い文章が好き。

  • これが70年代に当時30代後半の著者が書いたことに驚く.今読んでもまったく色褪せないみずみずしい感性.武田百合子にも通じる好奇心.読書の時間がホクホク温かくなる.料理に限らないけど,オトコたとかオンナだとか関係なく,好奇心があるかどうかだよなぁ.

  • 何度読んでも、料理をしようとやる気にさせてくれる本。

  • たぶん作家自身が男っぽい雰囲気な感じ。しゃきしゃきしてそう
    粉末だしとかレトルトに頼らない生活を送りたくなる(無理だろうけど)
    料理エッセイだけじゃなく、この人の生き方を感じる。

  • 食べることは生きること。最近色々なところで聞く言葉だが、この本を読んで改めて思う。

  • きたなき台所で、もくもくと料理を作りたくなる。エネルギーが湧いてくるたのしい本であります

  • 70年代に発表された料理エッセイ。

    読んでいてわくわくする
    知的好奇心もあるし
    純粋に料理が美味しそうってのもあるし
    何よりも作者の桐島洋子が本当魅力的
    強いんだけど女性らしさもあって
    そんな女性に憧れるのは
    今も昔も変わってないってことですね

    人生ってこんなワクワクするもので満ちてるよね
    と、いい気持ちになるエッセイでした。

    そして聡明っていい言葉だな。

  • 料理に関するポジティブな意見がたくさん。朝ご飯食べた後すぐに「今日の夕飯どうしよう」とか考える暇があったら、食欲やスーパーの買い物で、食材を見繕ってパパッと作れ!みたいな。
    最初から最後まで守備一貫。

  • 2017.1.6

  • 初めてこの人の文章を読んだが、笑ってしまうくらいに言葉の使い回しが面白い。飽きない本。自分と重なる部分が遠く改善したいことも多々あり。

  • 70年代の作品? 今の世の中にも頷けることがたくさんある。

  • 桐島洋子さんはホントに良い。また料理がしたくなってきた。

  • とても面白かった。
    お料理に対するスタンスが変わりそうな気が!

    著者のことは全然知らなかったのですが
    ウィキで調べてびっくり~
    凄い方なんですね!
    妊娠かくして働き続けるって。
    妊婦の今だとしんじられない!すごすぎる

    文章からもパワーが伝わってきます
    そしてパワフルすぎるので、元気なときに読むほうがいいかも笑
    一気に読み切るタイプの本ではなく
    ちょこちょこ読む感じかなぁ

    本棚においておきたい一冊です♪

  • 大変面白かったです。
    登場する様々な料理はとっても美味しそうで、文章から味や、香りや彩りまで伝わってきます。こじゃれた見かけ倒しの料理でなく、素材を存分に活かした料理の数々に私の胃袋も盛大に反応していました(笑)

    この本との出会いは、料理のレパートリーを増やそうと図書館で本を探していたときのこと。
    様々なレシピ本や”食と健康”の類の本の並ぶ中、明らかに浮いたタイトルの本を発見。最近物忘れが悪化している自分を思い返し、もしや料理を頑張れば良い事が?!と手に取りました。

    どうやら思っていたような内容とは違うな、それにしてもなかなか偏った考え方だなと面白がりながら読み始めましたが、作者の友人もなかなか個性的な方々のようで、物語を読んでいるような楽しい気分でした。
    特にドクターの初めての料理のところが良かったです。
    その日のシェフがドクターであると知り唖然呆然とする一同…(笑)
    処女作に難しい、そしてとびきり美味しそうな料理を持ってくるというのは名案ですね!
    友達にもぜひこの方法を勧めたいと思います。私も一人暮らしを始めた当初は、「これからは自分の好きな料理をたっぷり作れる!」とわくわくしたなあ~。難度問わず立ち向かったあの気持ちが大事だったんだなと納得しました。

    五章以降はジャンルごとに様々な料理の紹介が始まります。
    その料理が、とっても美味しそうなのです。
    写真は全くないのにも関わらず、美味しそうな見た目も目に浮かびます。ああ美味しそうだな、食べたいな~とうっとりしながら読み進めました。
    作者の方は仕事で世界各地へ出かけられるようで、ルポタージュとしても楽しめました。

    そして、これだけの量のレシピをご存じで、かつ実際に食し、料理する事ができる桐島さんはすごい方だなと、
    なるほど聡明な方というのはこういう方なのだと納得。
    面白い本を見つけたな~と思いながらあとがき・作者紹介を読んでみると、こちらの本、ベストセラーだったのですね。一人恥ずかしくなりました(笑)

    今回は図書館で借りて読みましたが、手元に置いておきたい一冊です。

  • 大胆な言葉を使いながら料理について喝を入れてくれる。キッチンに毎日立って料理をする身としては、丁寧で美味しい料理を作る桐島さんの心意気が伝わる。私のずぼらな料理が浮き出てきて、恥ずかしくなってくる。女性だけではなく、料理をする男性も読めば、ここに書かれている道具を揃え、料理を作りたくなってくるはずだ。 桐島かれんさんのお母様だというのは、最後に分かった。かれんさんのファンとしては、お母様の著書に触れることができて嬉しい。

  • バリバリ働き人生を謳歌してる女性こそ、料理の本質を楽しむべきだ。
    なぜなら、料理とは食べるための行為すなわち生きるということに直結する行為だから。
    あるものでぱぱっと料理を作れたり、ホームパーティを難なくこなせる女性こそ、仕事ができる聡明な女性。
    ・・というような主旨と理解しました。

    図書館の予約本コーナーにあるこの本を見つけてタイトルにひかれ、その場で予約しました。
    一昨年くらいのCREAでこんなタイトルの特集号あったな。

  • 目新しい内容はありませんでした。言葉が美しくなかったことが残念に思います。

  • 20世紀最大の奇書…
    まだレシピという言葉がなく
    女性の自立「ウーマンリブ」
    という言葉から
    「キャリアウーマン」という
    言葉が生まれるのにそう
    時間はかからなかったが…
    70年代のベストセラーで
    当時、こんなにも情熱的に
    寝ても覚めても自分の言葉で
    料理を語っている人は
    古今東西お目にかかったことは
    ないです。
    最後の世界料理に至るまでが
    夢のように美味しい文章で
    敢えていうなら全ての
    料理人必読書です。

  • この題名に惹かれた。

  • 20150125読了
    ブックカフェに居座ってぱらぱらと。合わない箇所もあって、飛ばしながらつまみ読み。70年代のベストセラーで、2012年に復刊されたのだそう。
    20170501 文庫版を購入

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著者プロフィール

桐島洋子(きりしま・ようこ)
1937年東京生まれ。文藝春秋に9年間勤務の後、フリーのジャーナリストとして海外各地を放浪。70年に処女作『渚と澪と舵』で作家デビュー。72年『淋しいアメリカ人』で第3回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。以来メディアの第一線で活躍するいっぽうで独身のまま三人の子どもを育てる。娘のかれん(モデル)、ノエル(エッセイスト)、息子のローランド(カメラマン)はそれぞれのジャンルで活躍中である。子育てを卒業した50代から林住期(人生の収穫の秋)を宣言してカナダのバンクーバーに家を持ち、1年の3分の1はバンクーバーでの暮しを楽しんでいる。また70代からは自宅で私塾の森羅塾を主宰している。『いつでも今日が人生の始まり』(大和書房)、『残り時間には福がある』(海竜社)、『骨董物語』(講談社)、『バンクーバーに恋をする』(角川SSコミュニケーションズ)、『わたしが家族について語るなら』(ポプラ社)、『聡明な女たちへ』『50歳からのこだわらない生き方』(大和書房)など著書多数。
公式サイト http://www.yoko-kirishima.net


「2022年 『ほんとうに70代は面白い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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